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講演会原稿

97年3月に品川プリンスホテル内で行われました、ジョンソンフードサービスサニテーションセミナーから

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外食産業でのHACCPの導入方法

飲食業でのHACCPはセントラルキッチン(CK)と店舗の両方で導入されなければならない。今回は店舗に於けるHACCPを中心に説明する。セントラルキッチンについてはより高度な管理が必要であり、表1のような詳細な資料の作成を行わなければならない。

店舗ではまず、メニューと使用する原材料を明確にし、予想される危険を分析する。次にCKでの原材料の受け入れ時のチェックから始まり、各行程での品質に影響を与える重要な管理項目を定め、重要管理項目ごとに、管理内容を明確にしていく。最終商品に問題が発生したときには、重要管理項目ごとに問題点を明確にする。各重要管理項目ごとに管理をしっかりしておけばその先に品質の問題が発生することが少なくなる。つまり、商品の各行程において関所を数多く設けて問題商品が間違っても消費者に届かないようにするのだ。

食品製造行程の流れのそれぞれのステップには食品が汚染される可能性がある。汚染とは許容限度を越えた細菌による汚染、毒物の残存などである。そこで食品の製造行程の中で汚染の可能性の高いセクションつまり、重要管理項目(Critical Control Point)を決定する。重要管理項目は、作業、準備、調理手順を含む全てから洗い出すのだ。

具体的な食材の管理にはいる前にまず、どんな危険がありうるのか、それはどんな状態であるのかなどの衛生管理の知識を正確に知っておく必要がある。

そのためには厚生省統計協会で発行している年度別食中毒統計でその傾向を知る必要がある。食中毒の内容と具体的な対策については、

等を読むと良い。

「資料その1」に93年(平成5年)までの食中毒の分類と過去の発生データーを添付するので参考にしていただきたい。96年度の件数と患者数のみの数値を入れてあるがそれ以外のデーターをまだ入手していないので後でご記入いただきたい。

店舗に於ける具体的なHACCPの導入方法

 HACCPは以前からある食中毒対策とは基本的に異なる管理手法を用いる。従来の衛生管理は従業員のモラルや教育レベルに依存していたシステムであり、保健所の抜き打ちチェックによる、大腸菌検査などの検査システムによってしか衛生状態をチェックできないものであった。つまり結果主義の衛生管理と言われている。

HACCPは人的な要素をなるべく避け、危険度を具体的に低くしようというもので、完成品の大腸菌検査などに頼らず、衛生管理を各工程でしっかりと管理しようと言うもので、結果主義に対して、工程管理(プロセスコントロール)による衛生管理手法であると言われている。

HACCPとは2つのステップに分かれる。

  1. 危害分析、予測

     まずHazard Analysis つまり食中毒や毒物、異物混入などの危険を各原材料別に予測する。勿論使用する全原材料の危険度を予測すればよいのだが、現実には飲食業では1,000品目以上の食材原料を取り扱うので全原材料の管理は物理的に無理だし、現実的でない。一番危険な食品は何かを見極めそれに集中して管理することが効果的な安全管理なのである。

    例えばハンバーグステーキの原材料を考えると、冷凍牛肉、生タマネギ、パン粉、スパイス等が考えられる。ここで最も危険性のあるのが、牛肉だろう。牛肉は一般的にサルモネラ、ブドウ球菌等で汚染されている。いくら冷凍であっても、解凍するときに付着したサルモネラ菌が増殖し食中毒を起こす可能性がある。つまり、牛肉の扱いが最も注意しなければならない。参考資料を参考にしていただきたい。

  2. 重要な管理項目に優先順位をつける

    次に Critical Control Point、重要管理項目を決定する。では食品加工の重要点管理項目はどうなっているかを、表2を見ながら見てみよう。

    牛肉はサルモネラ菌や大腸菌などで汚染されているから、注意して扱う必要がある。また、冷凍の牛肉の場合でも賞味期限を表3のようにまもり、原材料の納入、店舗での保管の際に管理しなくてはならない。

    次に、牛肉のようにサルモネラや大腸菌が付着していると思われる物は注意が必要で、どんな風に注意して扱うかという具体的な項目を決めるわけだ。ここで大事なのは増やさない、殺すということである。細菌を増やさず、殺すというのは、温度管理と時間管理である。

    冷凍の牛肉は受け取り時に冷凍状態でなければならないし、表4の様に受け取り時点の温度はマイナスのー15℃以下でなければならない。そして調理するときには中心温度が68℃まで上がるように加熱する。つまり、保管の時の温度はなるべく低くし、細菌の繁殖を防ぐ。細菌の付着は避けられないし、冷凍状態に保っても細菌は死滅するわけではない。そこで付着した細菌を調理により殺すと言うことが大事になる。その際に大事なのは一定の温度まで上げると言うことだ。図1の危険温度範囲以外の温度に食品温度を管理することが必要なのだ。

    調理に必要な温度は一般に60℃以上であるといわれているが、 NRAでは以下のような温度、時間、数字、の管理をしているので参考にしていただきたい。日本では厚生省が75℃、1分間と言う調理温度と言う簡単な表現をしているが、今後より具体的な管理数値を検証し、定める必要があると思われる。

    The Educational Foundation刊行「Serving Safe Food」テキスト及び教師用教科書より

    1. 4.4℃から60℃の間を危険温度帯と言い、危険な食材はこの温度帯に4時間以上放置してはならない
    2. PH4.6以下の酸性の状態では食中毒菌などは繁殖しにくい
    3. 20秒間しっかり手洗いをする
    4. 冷蔵庫に保管してある食材の中心温度は4.4℃以下
    5. 常温保管という温度は10℃以下である
    6. 食材を保管する棚のは床から最低6インチ上でなくてはならない
    7. 氷温帯というのは-3.3℃から0℃の間である
    8. 冷凍食品を解凍する流水の温度は21.1℃以下である
    9. 鳥、詰め物をした肉、詰め物をしたパスタの調理の中心温度は73.9℃で15秒間
    10. 再加熱をする温度はすべて73.9℃で15秒間
    11. 牛挽肉、豚挽肉の調理中心温度は68.3℃で15秒間
    12. 豚、ハム、ソーセージ、ベーコンの調理中心温度は68.3℃で15秒間
    13. 魚やそのほかの食材の調理中心温度は62.8℃
    14. 調理後の食品の保管温度は60℃で2時間まで
    15. マイクロウエーブで調理する場合の食材の中心温度は以上の調理温度に対して14℃高くなければならない
    16. 調理後、冷却する場合のホテルパンにいれる食材の深さは2インチ以下
    17. 食器、調理機器洗浄機の配管に於けるリンス温度は82.2℃なくてはならない
    18. 手洗い洗浄の場合の殺菌温度は76.7℃で30秒

     温度管理で重要になるのは店舗に必ず正確なデジタル温度計をおいて定期的に温度を計測するという事だ。

    また、PL法律で重要なのは問題が発生したらそれを立証するのは企業側であるから、店舗での温度管理をどのように、どのくらいの頻度で行っているかを文書に残し保管しなければならない。例えば温度計測は、開店前、昼のピーク前、夜のピーク前の3回実施し、記録しておく。記録した用紙は3カ月保存する。等だ。

    図2は各商品の調理行程と温度を記録するものだ。これは調理レシピーを作成するときに同時に作成し、定期的にその通りされているかチェックするものだ。最初と手順が変わったり、温度が守られていないと問題が発生するからだ。このチェックの期間も明確に定める必要があるだろう。

     また、調理した食材を保管するには保管期間を明確にすることが重要だ。日本では保管時間と温度を明確にしていないが、米国では60℃以上、2時間以内の保管であると定めている。保温庫の温度状態と、食品の中心温度を定期的にチェックすることが重要だ。

    表3から表4〜表9は重要点管理であり、予想される事故、基準、改善行動の具体的な例なので参考にしていただきたい。

これを元に業態別に作った業態別管理項目のチャート図が表10から表12だ。

業態別管理項目

 表の10―12にFF&FR、給食、レストラン(原材料から作る)の3種類に分けて具体的な管理手法をまとめてみたので参考にされたい。基本的には原材料の保管の状態、温度、期間、をきちんと管理することである。今後重要になるのはそのチェックリストを保管しておき、きちんと管理をしていることを立証することだ。温度も毎日最低3回は計測し、記録して、その記録紙は最低3カ月は保存するなどの基準を決めることだ。

[表10] FF・FRの場合

表 10FF、FRの場合のはハンバーグパティをセントラルキッチン(業者から購入する場合でも)で整形し、冷凍状態で送られてくる。この場合の注意点は保管温度をしっかりと守ることと、調理をしっかり行うことだ。重点管理項目は調理と保温であり、温度と時間をしっかり守ることが必要になる。

調理の温度とはグリドルの温度だけではなく、ハンバーグパティの内部までしっかり温度が上がっているか、部分的なムラはないかまでチェックしなければならない。

この業種は売り上げが高いので、調理機器のメインテナンス、温度調整も定期的に行い、調理品目の温度と同時に調理機器の温度も記録して残しておく必要がある。

調理を普通タイマーなどで管理しているがその時間のチェックも必要だ。温度をしっかり守るためにはグリドル表面のカーボン落としや、ターナーの鋭さも必要であり、マニュアル管理と、記録管理は必要不可欠だ。

 なお、この場合管理が楽なように思われるが、セントラルキッチンや製造業者の管理は別途しっかり行わなければならない。製造業者の管理をしっかりしていないと、事故が発生し、補償問題の時に負担の度合いが増加するからだ。基本的には製造業者がこのHACCPのシステムを導入していることが条件になるだろう。


[ 表11]給食の場合、

表 11給食と書いたが、原材料を基本的に冷凍で仕入れる業種としてみてもらえればよい、重点管理項目は店舗での加工度が高いほど増加する。この場合には調理、冷却、保管、再加熱、保温が重点管理項目になる。重点管理項目が増加する代わりにセントラルキッチンや製造工場の管理の度合いが減少する。

調理と保温の項目は表15と同様だが、給食の場合大量に短時間に捌く必要があり、つくりおきが必要になる。従来の食中毒の問題点は作り置きであり、その間の温度管理と時間が悪いと細菌が増殖し事故を起こすのだ。

調理をして温度を74℃まで上げても細菌は死滅するわけではない、減少するだけだ。そして温度が60℃以下に下がると残った菌が活性化し、快適な温度と水分により増殖し食中毒を起こすのだ。調理後直ちに冷却し、2時間以内に5℃以内に冷却する必要がある。これにより細菌の増殖が最低限度になる。

その後の保管は冷蔵温度帯で2日間である。此の保管可能期間は冷蔵庫の温度管理能力により異なるので、各店舗で食品中の細菌検査から決定しなければならない。いずれにせよ、冷却時間、温度、保管可能期間、冷却後の再加熱温度、保温の温度など具体的に決め、それを管理し記録しなければならない。

良く勘違いするのだが一度調理済みの食品は温めるだけでよいと思うことだ。上でも述べたが、冷却保管中でも細菌は増殖するのであり、再度温度をしっかりと上げて細菌を死滅させる必要がある。調理はグリドルで完全に調理し、再加熱の際にはスチームコンベクションオーブンを使用すると焦げ目がつきすぎないで、内部まで十分加熱される。


[表12]レストランの場合

表 12  レストランとは食材を全て生の状態から店舗で調理することを言う。また、調理後はすぐに提供し、保管をしないという前提である。その為に重要管理項目は調理だけである。

生の状態での温度管理とあまり長期間保管しないと言うことで大事な箇所は調理の温度である。従来一般的なレストランでは調理温度など正確にしらべないで、舌で熱いという判断であった。しかし、これからはやはり、調理後の温度も正確に調べ具体的な調理機器の温度設定、時間設定をする時代に来ているだろう。いずれにせよ、調理温度の管理はしっかりする必要があり、最低限度、温度計、ストップウオッチの備えをするべきだろう。

 温度管理で案外おろそかにし勝ちなのが冷蔵庫の温度管理である。冷蔵庫の温度計が狂っていることもあるので、正確な温度計を使用し時々チェックする必要があるし、冷却が十分出来るようにコンデンサーの清掃も必要になる。

また、常温保管の食材でも、常温というのは25℃位のことを言うのであり、厨房の中の35℃以上ある様な場所で保管してはならない。また、当然の事ながら虫や、ネズミの害にあわないような、食材保管庫でなければならない。


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