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運営部長、統括SVのための実力養成講座
第6回
「問題のあるSVの選別方法」


前回は問題のある店長の実例を紹介したが、今回は問題のあるSVの分類と、選別の方法を紹介しよう。

  1. 問題のあるSVの分類
    1. 真面目だが能力のないSV
    2. 店長の所でも述べたが、一番困るのは真面目で上司に忠実で良く言うことを聞くが能力が無いSVだ。統括SVの言うことを良く効くからつい評価を上げてしまうが、細かく指示を出さないと成果が出なくなってしまう。統括がSVを評価する場合には、SVが仕事に対する自分なりの考え方、方針を持ち、計画を立て、優先順位をつけてスピーディーに仕事を進めているかを冷静に判断するべきだ。情におぼれてはならない。

    3. 上司をだますSV、部下に甘いSV
    4. 店長もSVも調子の良いやつは危険信号だ。筆者がある地方の統括エリアを担当したときだ。早速筆者と前任者の歓送迎会を開いてくれた。和気藹々の歓送迎会だったのでなかなかチームワークの良いエリアだなと感心した。ところが、筆者が店舗訪問のためにその地方を訪問すると必ず、各SVとその地区の店長が集まり、飲み会を盛大に開いてくれる。宴会の間に話しを聞いていると定例的に統括も交えてゴルフ大会も開催している。前任の統括SVの評価の高いSVがエリアのSVや店長のリーダー格で人望も厚く、慕われているようだった。彼のSVエリアの店長の評価も比較的高い。当然店舗のQSCはきちんとしているはずだ。ところが店舗を回ってみるとそんなにQSCの基準が高くない。3ヶ月ほどして評価会議の段になった。そのSVは担当の全店長の評価を上げてくるではないか。筆者は店舗の実態と比較しておかしいと感じ出した。当然、筆者の感じるQSCで厳しく修正をさせ、その後の店舗訪問で注意深く店舗を観察することにした。

      当時彼のエリアで一番評価が高く、SVに推薦した店長がいた。筆者は疑問を感じたので、店舗を移動し他のSVのもとでチェックをすることにした。その後任の店長に推薦したのがその店舗のファーストアシスタントだった。前回話した、後に不正行為を働いた店長のことだ。移動した優秀であるという店長も成果を出せないでいた。

      SVは部下の評価を実力以上に上げ、それがSV自身の評価であるように見せかけ、それを前任の統括SVが見抜けなかったというのが現実だろう。しかしながら、部内でもゴルフ大会をセットアップしたりで、なかなかそつのない、人気のあるSVであった。

      しかし、あるときに妙なことに気がついた。その地区の販売促進担当がしょっちゅう出張をすることだった。地区販売促進担当者の仕事は地区の店長や担当者に販売促進の指導を行うことであり、そんなに頻繁に出張をする必要がないはずだった。ま、独身の女性であるからその地区のマネージャーにボーイフレンドでもいるのかと思ったが、不要な出張は無駄でもあり、頻度を下げるように命令した。ところがそのSVが筆者のところにきて、強行に必要だと主張する。ま、優秀なSVの言うことだからしょうがないかと許可をしたが、違和感が残っていった。

      筆者が会社の厚生施設を利用したときだった。部屋に入ると店舗を訪問する常でつい、QSCをチェックしてしまう。何時も台所や換気扇の汚れなどをチェックする悪い修正がある。床の清掃状況をチェックしていたときだ。女性の長い髪の毛が落ちている。まったく、清掃がしっかりしていないな、総務に報告をしなくては行けないなと思い、筆者の前の利用者を見たらそのSVであった。その厚生施設はSVの実家のそばであり、家族で実家に帰ったのかと思ったら、利用者は彼一人である。そこで過去の厚生施設の利用状況をチェックすると一人での利用をするのが頻繁にあることが判明した。そして、関連のSVや社員の休日と厚生施設の利用状況をチェックすると、かの地区の販売促進担当者と休日がぴったり会うではないか。そんな状況が進んでいき、本人たちの事情聴取を行うことにより、その事実が判明し、かわいそうだが、販売促進担当者が退職をすることになってしまった。女性問題は難しい問題であり、必ずしも罰則につながるわけではないが、会社の施設を不正に使用したり、出張を個人的な理由ですることは問題であり、処分は行わなかったが、それだけの評価と人事異動を行わざるを得なかった。こんな事実を見逃すと統括SVも責任を逃れることができないから、常にSVの行動をチェックしなければならないのだ。部下のSVや店長たちとしょっちゅう飲み会やゴルフ大会、マージャン大会をやると彼らの本質を見抜けなくなっていまう。

    5. 表裏のあるSV
    6. ある評価の高い店長がいた。仕事もできるし、エリアの会議や、懇親会でも積極的にリーダーになる実行力の高い店長だった。しかし、あるときに連続でマネージャーが退職してしまった。不審に思って店舗を訪問して色々話しを聞いたが、皆口をつぐんで問題点がわからないままであった。担当のSVは大丈夫ですと言うので釈然としないままSVにしてしまった。積極的でバイタリティのあるSVであるからだんだん成長はしていったのだが、筆者などの上司にえらく気を使い、調子良いのが気になっていた。

      数年して筆者のエリアを離れてから事件は起こった。セクハラ事件だ。店長時代の部下の女子スイングマネージャーに対して昇進と交換にセクハラをしたというのだ。それも一人なら個人的な問題かもしれないが複数の女子からその問題を提起された。良く調べを進めたら、われわれ上司には笑顔を見せて調子が良いが部下には厳しくあたり、怒鳴り散らす暴君だった。そして男子の部下はいじめ抜き退職に追いやり、部下の女子に対してはセクハラを働いていたわけだ。

    7. 不正行為を働くSV:頭でっかちのSVも要注意だ。
    8. 不正を働くSVと言うのも困る存在だ。SVの場合は店長と異なりお店の金に直接接することはないから、会社の金を盗んだり横領したりすることは難しい。しかし、他の方法で不正行為を働くことが可能だ。

      あるボーっとしたSVがいた。一緒に店舗を訪問しても、QSCで格段の能力や成果があるわけでもない普通のSVだったが、周囲のSVには尊敬されていた。数字的な能力や交渉ごとが強かったからだ。特に利殖に強く、どうやって金儲けをするかという能力にたけ、それで他のSVや上司に評価されていたわけだ。

      のちにその能力を変われ、他部に移動をしで実績を上げるようになった。交渉ごとは得意だから対外折衝に成果を出していったのだ。その結果、出世しかなりの地位まで上り詰めていった。

      ところが、あるときに社外の業者から会社に対して、本人に対する貸付金をどうにかしてほしいというクレームの電話が入り悪事が発覚した。当時はバブル華やかなときであり、サラリーマンの間でマンション投資が盛んであった。彼は取引先の業者から金を借りその投資に振り向けていたのだ。しかしながらバブルがはじけその返済に困るようになり、大きな問題となったのだ。やはり、店舗のQSCよりも金儲けに秀でたSVと言うのも要注意だと言うことだろう。

    9. 人身御供を作るSV
    10. 前回ファーストアシスタントを人身御供にした店長の話しをしたが、この場合はSVにも問題があった。ずいぶん調子の良いSVで筆者が何か言うとにこにこしてはいそうですねとしか言わない。実に素直なSVで、もう少しでその調子の良さにだまされるところだったが、店舗を訪問して問題点に気がついたわけだ。そこでさらに、店舗の状況だけでなく、SVの過去の状況を調査していったら、前任の地区で大きな問題に巻き込まれていた。彼の担当のエリアの先輩が社員フランチャイズになる際に、取得した店舗の改装や備品の購入を他店舗を利用して行っていたことが判明した。さらに、その店舗への社員の斡旋などを行っていた。当然先輩の命令だから従わなくては行けないのだが、その結果そのSVの評価が下げられ、このエリアに左遷されてきた。先輩の言うことを聞いたのに処罰を受けたわけだから会社に対しては不信感を持っており、これ以上処罰を受けたくないと言う気持ちを持っていた。

      QSCなどのオペレーションが強ければ挽回できるのだが、調子が良いだけで能力の無いSVであったから、店舗のQSCを改善できないと自分の責任問題となるので、新人の店長とともにファーストアシスタントマネージャーを人身御供にして難を逃れようとしたのだった。

    11. モラルの低いSV
    12. やはり何時もにこにこして調子の良いSVがいた。人と旨くやるのが取り柄で、上司に旨く取り入ればいいんだというタイプだった。マクドナルドでは店舗社員が退職する際には、何故退職するのか、上司同僚との折り合いが悪かったのか、労働条件が悪かったのか、などの退職にいたる理由を聞くことになっている。その退職面接であるとんでもないことが判明した。モラルの問題だ。階段のある店舗で店長が階段下に座り、女性の従業員や客が階段を上り下りする際にスカートの中を覗いて喜んでいたと言うのだ。そのモラルの低い店長がSVになったのは我慢ができないというのが退職のひとつの理由であった。

      それを聞いた筆者の上司はカンカンになり退職させろと言った。そこで筆者は懲罰的に深夜の店舗機械メインテナンスを担当させ、ギブアップさせようと考えた。

      当時エアコンディションのメインテナンスに問題があり、業者も旨く清掃できない状態だった。それを彼に担当させ清掃方法を開発させ、各店舗を自分で清掃させた。その結果店舗のエアコンの効きが向上し、かえって電気代が大幅に下がるという結果が出た。それをSV会議で発表したら、その他のSVが驚いた。すごいじゃないか、と各SVが褒め称えたのだった。それに自信とやる気を得た彼は、それから機器のメインテナンスにすっかり自信を持ち、専門家としての道を歩むようになり、更に尊敬を受けるようになった。

      面白いことに機器にすっかり自信を持った彼の他の仕事内容も良くなり、問題のあったモラルも大幅に改善するという効果があった。その後、彼は昇進したのは言うまでもない。

      問題のあったSVで更正できた数少ない例の一つである。SVは店長への監督は母親が子供を見守るように密接に行っているが、統括SVのSVへの監督指導は大人と大人の関係であり、そんなに細かく監督指導をするわけではない。そのため店長が問題を起こしそうになっても事前に修正が可能なので大事にならないで住む場合が多いが、SVは問題を起こすと修正が効かないほど大事となる。五感を働かせるのはフロアーコントロールだけでなく、SVの日頃の行動、仕事ぶり、部下への接し方、生活態度などのモラル、などから敏感に感じ取る能力が必要だ。

    13. お洒落な酒好きのSV
    14. なり立てだが何時もぱりっとしてお洒落なSVがいた。ま、客商売だからきちんとした身なりというのは重要だが、マクドナルドのSVは先頭をきって戦場に突入するタイプの隊長でなければならない。SVと言うと恰好よく店舗で命令しているだけのように思われるが、前回に紹介したように店長が店舗のクレンリネスを解決できなければ、自ら汗だくになって清掃をしなくてはならない。統括になっても部長になっても同じだ。調理機器の調子が悪いとか壊れているからと言う理由で商品の販売を止めることは許されない。常に調理機器や設備の調子を見たり、忙しいときには接客だけでなく、調理もカバーする。夜に人がいなければ清掃作業を手伝わなくてはいけない。また、アシスタントマネージャーのトレーニングカリキュラムをチェックする際にQSCと言うおまじないだけでなく、自ら手本を示す必要もある。そういうわけで戦闘服ならぬ、汚れても構わないようなレベルできちんとした身だしなみをしなくてはいけない。有名ブランドのスーツでびしっと決めた身なりではどんな仕事をするか心配になる。

      筆者のエリアを離れある地方のSVとして赴任した後、そのエリアを訪問し杯飲んだことがあった。男前でブランドのスーツでびしっと決めて独身(一回結婚したが不幸なことに離婚を経験し女性不信に陥っていた)だから、飲み屋の女性に大もてだった。筆者は不安を感じたが当時の彼の上司からの評価が高かった。しかし、そのSVは後に、依願退職(実質上の解雇)となってしまった。

      地方のSVというのは本社などから上司が殆どまわってこないから、エリアの絶対者として君臨できる。その絶大な力を利用し、部下の女子にセクハラを働いていたのだった。ここで、問題だったのは当時の上司の統括がそのSVを高く評価していたということだ。その理由をよく見てみたら、上司の統括は酒好きで夜になると集まって酒を飲む部下を高く評価していたのだ。勿論、仕事の上での評価をきちんとしているのだがそれ以上に酒の上での評価をしていたと言うことだろう。

    と言うように筆者が勤務していたのはまだおおらかな時代だったせいか、ずいぶんいい加減なSVが多かった。仕事が出来るがそれ以上に悪いこともできる人間が多かったようだ。

  2. SVの選別の手法
  3. そんなSVを統括SVはきちんと評価、選別をし、更正可能なのかどうかを見極めなくてはいけない。SVの段階で適性がなければ再教育をするのは時間の浪費だ。早めに見極めて、それぞれに対する適正な処方箋を書き、薬や手術を等の対処療法を迅速に施さなくてはいけない。 先ず、選別と優先順位をつけなくてはいけない。全員に教育をする時間が十分にあるわけでもないので、効率を追求しなくてはいけない。

    そのために選別をする技術を身につけるわけだ。この選別技術はマニュアルには全く記述されていない。統括SVが自ら学ばなくてはいけないノウハウだ。日本の会社では人事評価は人事部の仕事であり、評価自体も公正な実績評価をしないで年功序列で給与や昇進、昇給が行われれる。また、人事異動も計画的に行わないから、上司と部下の癒着が起こりそれが派閥を生んでしまいがちだ。マクドナルドのように米国的な人事管理手法は上司が人事評価権を持ち、人事異動も計画立案する。また、店舗展開のスピードも速いから一般の会社の10倍以上の人間と接する経験を積むことが出きる。それにより公正な人事評価や問題のある人間を見つけることが可能になってくる。選別技術は決定的な物はない。統括SV自らの経験と体験の中で、人を見極める選別技術を身につけなくてはいけない。人それぞれ得意な分野がありそれを通してみると選別が容易になってくる。

    1. モラルや性格の判断
    2. 問題のあるSVをよく見てみると、必ず、女性問題、金の問題、酒の問題、を抱えている。それらはいずれも時間を浪費する。問題のあるSVの共通項目は仕事以外に時間を浪費しなくてはならないから、自ら先頭に立ってQSCや人物金の問題点を解決しようとしない。人を使うときに口で命令するだけで自ら実践することはしない。

      統括SVは普段からSVの生活態度、行動を良くモニターしていなくてはいけない。その場合、一緒になってゴルフや麻雀、飲み会、等をコミュニケーションというエキスキューズ(言い訳)で行っていると、部下の公正な評価を見抜けなくなるから、コミュニケーションは仕事を通じでとるようにして、ある程度の距離を置くという姿勢が必要だ。

    3. 問題解決能力の判断
    4. SVは突撃隊長と同じで問題があるときには先頭に立って部下を指揮しなくてはいけない。

      人により選別の手法は異なるが、筆者は機械に対する改善を選別の手段として採用した。例えば店舗の調理機器の清掃やメインテナンスを教える場合には命令するだけでは改善できない。自ら手本を示す必要がある。口だけのSVはこれで選別できる。

      鬼の軍事顧問が選別で使用した手段は環境だ。日本語が通じない環境でどうやって仕事を他人に教えるかで判断していた。香港にSVを派遣し、現地の店長やSVに仕事を教えようと言う物だ。国が違うと習慣や法律が異なり、マネージメントを教えることは難しい。そこで、一番課題の調理技術、調理機器やエアーコンディショニングのメインテナンス、店舗の清掃方法などを体で教えるわけだ。

      ある時に優秀だと言われたSVが選別された。彼は人材育成が得意だと言われていた。しかし香港では調理機器のメインテナンスなどを教えなくてはいけないので、筆者が夜間に徹夜で教えることにした。ところが、日本語の通じない香港で苦手の機械を教えなければいけないと言うプレッシャーにそのSVは負けて胃が痛くなり、そのトレーニングから逃げ出してしまった。彼は人材育成という口だけで出きる楽なマネージメントしか出来なかったわけだ。その結果そのSVは統括SVへの道をたたれてしまった。そのピンチヒッターが筆者の部下だったSVだ。彼も人材育成が得意な分野で機械のメインテナンスは不得意だったが、徹夜で教え、翌日には香港に旅立っていった。一晩の付け焼き刃で苦手な分野も何とか格好が付き、香港で教えたら現地のマネージャー達に尊敬されてしまった。そして、香港から帰国後、自分の知識不足を痛感し、自ら毎日不得意な分野の勉強を重ねていた。それ以来、機械に対して自身を深め、統括SV、運営部長、本部長まで出世してしまった。

<問題点の把握と優先順位づけ>

店舗に問題があればSVに指示するのではなく、まず、問題点をどのように把握しているのか聞き、問題点把握能力を確認する。次に、数多くの問題点の優先順位をつけさせ、きちんと整理出きるか確認する。人によっては問題点に優先順位をつけることが出来ず、簡単なことから着手し、それが解決できないと一切前に進めなくなる頭の固い融通の効かない場合がある。そうすると店舗の問題は改善せず、どんどん悪化してしまう。つまり、フレキシブルな人間かどうかと言う見極めが重要になる。 しかし、何時も店長やアシスタントマネージャーを差し置いて忙しそうに働いていると誰がその店舗を改善したのか分からなくなる。必要な際には一所懸命働く必要はあるが、出きるなら一歩退いて部下の店長やアシスタントマネージャーの仕事ぶりを客観的に見守る必要がある。

<問題点を整理整頓し、合理的に解決できる能力があるか>

<自分だけの問題点を解決するのではなく、会社全体に貢献できるのか>

<部下や同僚、上司に対する影響力を発揮できるか>

以上

お断り

このシリーズで書いてある内容はあくまでも筆者の個人的な経験から書いたものであり、実際の各チェーン店の内容や、マニュアル、システムを正確に述べた物ではありません。また、筆者の個人的な記憶を元に書いておりますので事実とは異なる場合があることをご了承下さい。


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