南イタリア プーリア便り- アスパラディ セルヴァティチ

南イタリア美食便り
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プーリアは今週月曜日から15日間レッドゾーン指定となってしまいました。
仕事上の理由や必要性のある状況であれば自己宣誓書を持って移動することは可能ですが、それ以外は自分の住む自治体内でも外出禁止です。私自身は実際に検問にかかったことはまだありませんが、田園の真ん中に住む我々は食料品や生活必需品の買物へ行くにものも車がなければままならないので常に自己宣誓書を車に載せています。流通が滞っている訳ではないので物がなくて困ることはありませんが、おしゃれなイタリア人にとって美容院と床屋さんの営業禁止は困っている人が多い様です。週に一度は必ず美容院でセットしてもらう習慣のある60代後半の夫の従姉妹は美容師さんに自宅まで出張して貰うとのこと。外出禁止でどこへも行けなくても、むしろどこへも行けないからこそ長年の習慣を変えたくない様で、おしゃれは自分のためにするものなのだと改めて感じさせてくれました。

今年は昨年より少し早めに自生の野生種アスパラガス(Asparagi selvatici=
アスパラジ セルヴァティチ)の時期になりました。叔父が採ってきた初物をリゾットにしていただきました。野生種のアスパラガスは栽培されている太く長いアスパラのミニチュアというか凝縮版です。栽培されているアスパラは食感と甘味が優れていますが、野生種は細くて少し苦味を感じるくらい味も香りもとにかく濃いくて力強いのが特徴です。食べ方は卵と合わせる料理が定番ですが、卵黄の甘さを感じるほどお互いの味を引き立てる相性はバッチリです。
我が家ではもっぱら自生のものを自分たちで採りに行きますが、市場などでは自生のものの他、最近は栽培されているものも売っています。1kg20ユーロほどの値がつくこともあります。

日本にも輸入されているアスパラソバージュとはまったく別物です。アスパラソバージュは(ワイルドアスパラガス)という名前で販売されている場合もある様ですが、あちらはアスパラガスというよりつくしに近い植物です。最近は日本国内でも栽培されている様で主にフランス料理などに使われています。逆にアスパラソバージュはプーリアでは見かけません。

どんどん色々なヨーロッパ野菜が日本国内で生産される様になっていますね。
国産白アスパラしかり。近年日本でも知名度が上がり栽培される様になったルーコラセルヴァティコ(こちらは一般的なルーコラの野生種ではなく香りは似ているものの正確には種類の違う植物)の様に国産アスパラセルヴァティコがお目見えする日も近いかも?

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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