weekly Food104 Magazine 2006年2月1日号

メルマガバックナンバー

● 新店オープン情報
● 米国レストランNEWS
● 米穀情報
● 食ビジネスニュースリリース
● 王利彰のレストランチェック

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● 新店オープン情報 ———————————————-■□

■ 山形直送『炭火やきとん酒場 三元豚』聖蹟桜ヶ丘店1月25日オープン

本当に美味しい健康な豚肉を手軽に多くの人に召し上がっていただきたいと
『炭火やきとん酒場 三元豚』第1号店 聖蹟桜ヶ丘店を京王聖蹟桜ヶ丘駅
徒歩0分にこのたびグランドオープンしました。

「炭火やきとん酒場三元豚(さんげんとん)」は、その名のとおり山形は平田
牧場より産地直送の銘柄豚「平牧三元豚」を一人予算2,500円~という驚きの
価格・安心価格でサービスを提供されます。

また、毎日限定メニューで幻の豚「平牧金華豚」や月間10頭の出荷しかない三
元豚同様の丁寧な肥育を行う「平田牛」など、すべて国産肉山形の地酒や山形
の美味しい食やデザートなど“山形の美食”をさりげなくプレゼンテーション
するお店です。

○おすすめメニュー: ※価格は全て税別
三元豚カルビ 450円
三元豚の炙りトロ   780円
平牧牛霜降りカルビ  1,200円
平牧金華豚の極上霜降カルビ  1,200円

○店舗データ
住所:〒206-0011東京都多摩市関戸1-11-1
京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター A館2F
電話:042-337-2941  FAX:042-337-2941
アクセス:京王線 聖蹟桜ヶ丘駅 徒歩0分
平均客単価:ディナー 2,500円
営業時間:月~日 17:00~24:00(LO23:20)
定休日:聖蹟桜ヶ丘京王SCに準ず(年末年始、及び2月に全館定期検査1日)

■ 202号室に生まれたリビングダイニング 渋谷 道玄坂「doenzaka#202」OPEN

渋谷・道玄坂に「料理人のいるLDK(リビング・ダイニング・キッチン)」を
コンセプトとした「dogenzaka #202(道玄坂202)」が1月25日にオープンしまし
た。マンション「202号室」を食の空間に再デザインした、住居ならではのく
つろぎ感やゆとり感が満ちた「リビングダイニング」です。

店内は白をベースにシンプルにデザイン。メインダイニングにはソファ席とテ
ーブル席がゆったりと置かれ、マンションのベランダだったスペースにもテラ
ス席が設置されています。

料理は「板前が作るビストロ料理」。掲げたポリシーは「美味しい料理は、考
え過ぎな料理よりも素材感を大切にした丁寧な料理」。和食を学び、板前なら
ではの素材使いを熟知した若干25歳の料理長兼店長の長瀬功一が、アイデアと
ひらめきで大切な時間が特別な時間になる料理を日々提案します。

○メニュー一例
自家製汲み上げ温豆腐 豆乳仕立て ・・・・・・・・・750円
築地市場より 旬のお刺身あれこれとりあわせ ・・・ 1650円
海老とアボカドのくるみ風味のシーザーサラダ ・・・・800円
さわらとカブ、ドライトマトのスパゲッティーニ ・・1,200円
マグロほほ肉のステーキ ・・・・・・・・・・・・・・950円
鴨と下仁田葱の桜味噌焼き ・・・・・・・・・・・・1,450円
京都辻利抹茶アイスと大納言のパルフェ ・・・・・・・450円
豆乳のブランマンジェ ・・・ 400円
黒糖と薩摩芋のクレームブリュレ ・・・・・・・・・・400円

○店舗データ
店名:dogenzaka #202(道玄坂202)
住所:東京都渋谷区道玄坂2-28-11ナルセビル202号室
TEL:03-5457-1202
FAX:03-3462-2202
営業時間:17:30~24:00

○ぐるなびHP:http://r.gnavi.co.jp/g337701/

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● 米国レストランNEWS———————————————■□

■ バー&グリル業態は同業態の店舗の急増加で売上が伸び悩む

カジュアルでファミリー向けの「バー&グリル」チェーン、Applebee’s(アッ
プル・ビー)やRuby Tuesday(ルービー・チューズデー)等はメニューが似通
って売上が不振です。各チェーンの個性を明確にするためにメニューの見直し
が必要とされています。過去2か月間で、Brinker International傘下のChilli
‘s Grill & Bar(チリズ・グリル&バー)は四半期の売上予想額を下げ、アッ
プル・ビーも売上予測を下げました。ルービー・チューズデーは前期よりも、
12パーセントも低い売上を見込んでいます。

特に中西部では、この過去5年間の間に「バー&グリル」コンセプトのレストラ
ンの店舗が急増しています。週末の客にターゲットを当てて、次々とこのニッ
チ市場に参入した結果、激烈な競争を招いたのです。リサーチ会社 Technomic
によりますと、バーガー類からパスタまで多種のメニューを用意しているバー
&グリルレストランはとても大人気で、1994年から2004年の間に、米国内のバ
ー&グリル・レストランの売上は、年間9.4パーセントも増加し、現在もその拡
張は続いています。

ブリンカー社のチリズは、昨年20パーセント増の2900店舗、アップル・ビーは
2004年の時点で3000店舗まで店舗展開できるマーケットがあると発表していま
す。ルービー・チューズデーは今後5年間で毎年100店舗を増設し、合計で1100
店舗になると発表しています。こうした中で、各チェーンは他と異なる個性を
演出し、差別化することを迫られています。

最近のアップル・ビーとチリズ、そしてT.G.I. Friday’s(TGIフライデー)の
3チェーンはアペタイザー・アントレー・デザートの3コース・メニューを$8.9
9から$14.99の期間限定販売促進を行っています。ルービー・チューズデーは
30種類のハンバーガーとサラダバーを売り物にして、チリズは期間限定の人気
メニュー・シリーズで売上を伸ばしてきたのです。一方でアップル・ビーは他
のチェーンに対抗するためにテレビCMを使いましたが、売上に貢献しませんで
した。アナリストは中西部及び、ニューイングランド・エリアのガソリンの高
騰がレストランの売上にマイナスの影響を与えていると見ています。現在1800
店舗のアップルビーは他チェーンが実施をしていない、ダイエット・プログラ
ムのチェーン「ウエイト・ウオッチャ―」と提携したメニュー開発や、テイク
アウト・メニューの増加によって、差別化を図り売上を伸ばそうと考えていま
す。

これらのバー&グリル業態の不振は、より個性的なレストラン、PF Chang’s Ch
ina Bistro(PFチャング)や、ステーキハウス、Lone Star Steakhouse & Sal
oon Inc,(ローン・スター)などの人気の影響が出ているものと思われます。
http://www.applebees.com
http://www.tubytuesdays.com
http://www.chilis.com
http://www.tgifridays.com

■ シカゴ市内の公共の場での喫煙禁止条例が可決

1月16日にシカゴ市議会はシカゴ市内の公共の場での禁煙条例を可決しました
が、2008年の7月1日までは、バー・居酒屋、そしてその周囲15フィート以内で
の喫煙はできることになっています。また例外として、バーの中でも空気清浄
化器フィルターを取り付け、室内の空気が外気と同じくらいになる装置を付け
ればバーでも喫煙を許可するというものです。

COUGH(Chefs and Owners United for Good Health)と呼ばれるシェフと124
のレストランが参加しているレストラン・オーナーの団体は年間合計で4億ド
ルの売上を誇る団体ですが、この条例を「Great news」と歓迎しており、2008
年を待たずにレストラン・バー・オーナーは店内での禁煙を禁止すべきだとい
う意見です。この条例を違反した場合、レストラン・バー・オーナー側は初回
で$100以下の罰金、2回目以降は$500以下の罰金、喫煙者は違反につき$100~
$500の罰金が課されます。

この条例では2008年7月までは、バー・居酒屋では喫煙が許可されるというこ
とですが、そのためには許可が必要になります。例えば、レストラン内にある
バーでも、レストラン・オーナーはアルコール類からの売上が、全体の65パー
セント以下である陳述書を提出しないと、その許可が下りないということです。
もしアルコールからの売上額が多くなると、リカー・ライセンスが取り上げら
れることにも成りかねません、実際レストランとして登録した際に付随してく
るアルコール・ライセンスを使って、実際はバーのようにアルコールからの売
上が多いということがないように、「フード」と「アルコール」のライセンス
の不正にまで影響を出すようです。

(イリノイ州シカゴ在住 畑田ひろ子)

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● 米穀情報報 —————————————————-■□
※この情報は、米穀データバンクのご協力により、「米穀市況速報」(日報)
から、一部記事を要約したものを掲載させていただいています。(月1掲載)
記事・図表の無断転載・引用を禁止します。

■ 炊飯協会が「ごはんソムリエ」養成

炊飯業者の全国組織、(社)日本炊飯協会(川島弘士会長)は1月25日、平成
18年度事業計画を議題とする臨時総会並びに新年賀詞交歓会を開いた。

川島会長は挨拶の中で、18年度の新規事業として「ごはんソムリエ制度」を発
足させて力を入れていく考えを示した。同制度は「ごはんの食味のエキスパー
ト」を(財)日本穀物検定協会とともに養成し、合格者には証書を交付しソム
リエ資格を与えるもの。炊飯協会会員及び米飯に興味を持つ一般の人で、一定
水準以上の米飯の知識を持ち、官能検査のできる人を対象とする。従来進めて
きた「ごはんでサポートキャンペーン」の予算を半分程度に削って財源に回す
ことを検討している。

また17年度から開始した、一定の基準に達している米飯加工品(おにぎり、海
苔巻き、いなり寿司等)の市販商品に、申請によりHACCPマークを付けること
ができる「米飯加工品HACCP認定事業」についても推進する。
(2006年1月27日)

■ ワーコム大会3月開催、ブランド商品も紹介

環境保全型農業を実践する(有)ワーコム農業研究所(栗田幸太郎社長、山形
県真室川町)は、3月5~6日の両日、第3回全国ワーコムみやぎ全国大会を宮城
で開く。

同社が開発した堆肥発酵促進剤「うまみの素ワーコム」を使った、土づくりを
基本にした栽培が普及、ワーコム米への評価も高い。大会には農業者のほか、
産学民研究機関、行政、米集荷団体、米卸など多数参集する。

大会では、基調講演、米卸4社による「作る・売る・食べたいワーコム米とは
…」と題してのパネルディスカッション、産学民研究成果の発表、事例発表交
換会などが行われる。

“元祖ワーコム米産地”である山形県最上の真室川町農協では「ワーコム」栽
培したはなの舞を原料に最上川酒造が製造する“ワーコム米純米酒”「幸太郎」
を始め、ワーコム米で造る吟醸酒や大吟醸も紹介する予定。同農協では「出羽
の里」「出羽燦々」「美山錦」といった酒米もワーコム栽培している。
(2006年1月25日)

■ 「みちのく雪むろ米」2月6日から発売予定

JAみちのく村山(山形県)の独自ブランド「みちのく雪むろ米はえぬき」の17
年産米商品が2月6日から、大手スーパー・ユニーの全店で発売される予定。
5キロと10キロで売り出す。

通年販売で、同農協では3,000トンの出荷を見込む。新たに商品名を消費者が
読み違えないよう一部ひらがなで表記し、米袋デザインも一新した。

発売開始に合わせて「『みちのく雪むろ米はえぬき』プレゼントキャンペーン」
も3月31日までの約2カ月間繰り広げて売り場を盛り立てる。米袋にあるシール
を応募はがきに貼って送ると、地元特産品のさくらんぼ、バラの花束、純米吟
醸酒がそれぞれ200名に贈られる。村山地方は豪雪地帯として知られる。
“雪室”はその雪を利用し、真夏でも品質劣化のない米貯蔵ができるよう部屋
にしたもの。
(2006年1月20日)

■ 米加工品技術推進発表会を3/16に開催

農水省は3月16日、幕張メッセ(千葉県)で「17年度米加工品需要開発技術推
進発表会」を開催する。

○プログラム内容
「米加工品分野のマーケティングリサーチ及び戦略会議の報告」
((株)三菱総合研究所・木附主任研究員)
米加工新技術研究開発課題
(1)「米粉麺の乾燥麺及び機能性付加技術の開発」
((株)サタケ・金本技術本部副本部長)
(2)「結晶化速度及び耐熱性を高めた『米-ポリ乳酸複合材料化』技術の開発」
(アグリフューチャーじょうえつ(株)・上田研究開発部長)
(3)「発芽玄米(発芽米)の有する機能性・抗ストレス効果の実証及び加工
技術の開発」((株)ファンケル・喜瀬主任研究員)

○申込の問い合わせは運営事務局・(株)コンベンションリンケージ内
(TEL:03-3263-8689)まで。
(2006年1月16日)

○株式会社米穀データバンク:民間のコメ調査会社。生産・流通・市況など
コメに関する情報の提供を行っている。
○問い合せは、ricedata@japan-rice.com
○ホームページ「日本のコメ市場」http://www.japan-rice.com/main.htm

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● 食ビジネスニュースリリース —————————-■□

■ 「甘熟黒酢TM」「甘熟りんご酢TM」新発売

(株)ミツカン(愛知県半田市)は、お酢を「もっと美味しく」「もっと健康
的に」をコンセプトに、原料と製法にこだわり、今までにない甘みと香りを後
から糖類・甘味料・香料などを一切加えずに実現した「甘熟黒酢」「甘熟りん
ご酢」を2006年2月14日より全国発売します。初年度の売上目標は各6億円を目
指します。

「甘熟黒酢」「甘熟りんご酢」は、(1)従来の常識を大きく上回る量の原料
(単一原料のみ)を贅沢に使用する(2)最適な酢酸菌(お酢を造る菌)を選び出
す(3)その酢酸菌が働きやすい発酵環境を造りだす(4)発酵を完了したお酢
の香りを劣化させる物質の生成を抑制する為に貯蔵方法を工夫する事で、その
課題をクリアしました。また、後から糖類・甘味料・香料などを一切加えない
100%醸造酢にもこだわりました。これにより、水で割っただけでもきちんと
甘みと香りを感じる事ができる美味しいお酢が誕生しました。

○商品名:「甘熟黒酢」「甘熟りんご酢」
※「甘熟」は(株)ミツカングループ本社の商標です。
容量/参考小売価格/販売エリア:280ml/\788(税込)/全国

プロの料理人にもお使いいただけるように、業務用事業カンパニーの(株)ミ
ツカンナカノスにおいても、同製品の大容量タイプを3月末発売に向けて準備
中です。商品概要等の詳細は、確定次第、別途ご連絡いたします。

○商品についての問い合せ先:お客様相談センター TEL:0120-26-1330

■ 東京ドームホテル 稲葉シェフの料理講習&食事会

東京ドームホテルのダイニング「ドゥ ミル」は、3月14日(火)に、同レスト
ランのシェフ 稲葉一朗による「家庭でもできるフランス料理教室とランチ、
ディナーを楽しむ会」を開催します。

ランチ会(13:00~15:30)、ディナー会(19:00~21:30)。
本イベントは料理講習と食事会をセットにしたお得なイベント。今回は、家庭
でもできる簡単な燻製料理として「帆立貝のスモーク カレー風味のドレッシ
ング」と人気の「ビーフストロガノフ」の2品の講習を実施します。両品とも
に、調理のポイントのほか、食材や調味料について、スーパーなどでも手軽に
入手できる代替品をご紹介するなど、ご家庭で調理する際に役立つ情報が満載

シェフが実演を交え一般の方にも分かりやすく説明します。

講習の後は食事会を開催。ランチ会では、講習メニュー2品のほか、アミュー
ズ「食前のお楽しみ」とデザート「苺づくしのデザート」、グラスワインをセ
ットにしたコース料理をご提供。ディナー会では、ランチ会のメニューに加え
、「春キャベツのスープ ポトフ仕立て」と、グラスワインは赤・白ともにご
賞味いただけます。食事中は稲葉シェフのほか、同レストランのソムリエも参
加者のテーブルをまわります。

参加資格は20歳以上の女性。
参加費用はランチ会が5,000円(定員:30名様)、ディナー会が7,000円
(定員:20名様)。※全ての費用を含む。

○HP:http://www.tokyodome-hotels.co.jp

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

■ マクドナルド50周年を記念の調理機器技術50年史 その7

マクドナルドでの商品開発は単に味だけを作り上げるだけではありません。
世界各地で同じ味でないといけないのです。そのために味だけでなく工場での
加工方法まできちんとして、世界のどこの工場で製造しても同じ味が出来るだ
けの標準化が必要になります。標準化とは使用する食材、工場で使用する機械
とレイアウト、調理に当たる人の知識、等まで含みます。

食材で言えば、K社と同じ食材を手に入れ、どのようにカットするのか自分た
ちで実際に鳥をカットして勉強します。フライドチキンの品質を大きく左右す
るのが鳥そのものの品質です。国産の鳥は美味しいのですが、K社がマーケッ
トを牛耳っているため安定入手が難しそうです。そこで食材を東南アジアにお
けるブロイラーの最大の産地であるタイからカットして冷凍した鳥を輸入する
ことにしました。

テスト中に面白いことがありました。米国人の品質管理担当者が日本に来てテ
ストに立ち会ったのですが、彼は鳥を食べようとしません。なぜ食べないのか
と質問したら、日本のとりは魚の味がすると馬鹿なことを言います。ところが
それが本当だったのです。日本も含めた東南アジアでは鳥のえさにフィッシュ
ミールと言う小魚の粉を混ぜます。たんぱく質を与えて早く肉を付けるためで
す。アメリカの鳥は豊富な玉蜀黍などを食べさせます。その餌の違いが味に出
るのです。最初はわからなかったのですが、冷凍して2ヶ月以上経過すると骨
の内部からの臭みが出てしまいました。これには困りましたね。そこで当時出
回り始めたブラジルの鳥が米国風の餌を与えていることがわかり、変更しまし
た。

さて、先回お話したようにK社が行っている製法を解明し、95%程度まで同じ味
を出すことに成功しましたた。店舗での調理方法が解明できればそれをデッド
コピーするのは簡単なのです。しかし、K社とマクドナルドのオペレーション
がまったく相容れないことがわかりました。

<フライドチキンの工程で巡り会った大量調理技術>
1)K社の問題点
K社の技術は簡単に言うと生の食材を使用するレストラン料理を単品に絞り込
んだ原始的なファーストフード技術です。新鮮な生の雛鳥を独特の圧力釜で調
理するというノウハウで、ハンバーガーチェーンのように複数の商品を合理的
に調理するという考え方とは水と油ほど異なっていました。生の鳥はサルモネ
ラ菌などが存在しており、調理済みの食材と同時に取り扱うことは危険きわま
りありません。また、K社はフライドチキン専門店であり、主力商品の調理機
器に資金とスペースをふんだんに投入することが可能ですが、ハンバーガーの
場合、追加メニューであり、スペース、投資金額、生産量力という意味での難
しさがあったのです。能力という意味では店舗で生の状態から行う作業スペー
スと生産性を許容することができませんでした。

2)問題点を解決するために
そこで工場で集中加工して、店舗では再加熱をして提供することを考えました。
ビーフパティなどは生の挽肉を整形後冷凍し、店舗で焼き上げるのですが、ポ
ークパティやチキンナゲット等は工場で一次調理を行い、食中毒菌や一般性菌
数をコントロールして安全性を増していました。そこで工場に大型の圧力釜を
設置し、集中調理後冷凍し、店舗へ配送し、店舗でその冷凍フライドチキンを
再加熱する方式を考案することにしたのです。

ここで必要だったのは工場での集中加工技術と店舗での再加熱調理技術の開発
でした。そこで過去の色々な調理加工技術を整理して分類することから開始し
ました。基礎研究が大事だからです。

3)工場の集中化高技術
工場でフライドチキンを揚げてから冷凍して店舗で再加熱する事により、品質
のぶれ防止、コストダウン、店舗作業の簡略化が可能になります。と言うと簡
単なようですが、店舗の圧力釜を大型調理機器に置き換えるという大変な作業
が待っていました。そこで数店舗の実験店舗テスト販売では、通常の店舗では
8羽を揚げることのできる大型の圧力釜を米国から取り寄せ実験を開始しまし
た。勿論揚げる温度や圧力などは私が解明したプログラムを組み込んだのです。

同時に圧力釜と同等の品質を実現できる超大型圧力釜の開発を開始しました。
2次テストでは100店舗を予定しており、それだけの店舗をまかなうには1日で
約5000羽の調理を可能にしなければならないからです。そこで1時間に670羽の
鳥を調理できる超大型圧力フライヤー2基を製造することにしました。

大型の圧力フライヤーの製造に当たっては、機械の開発のほかに、油の処理な
ど大変な作業が待っています。大量に製造するので供給する油は大型タンク車
で運び、油をためておくヒーター付きの大型タンクの設置が必要になりました。
また、圧力釜の最大の欠点はバッチ処理であり、連続して生産する事が不可能
で、将来全店舗に導入の際にどう製造するかということが問題となりました。

フライドチキンで圧力釜を使う理由は、柔らかく、かつ、骨から血が出ないよ
うにしっかり温度をかけるという矛盾を解決するためです。そのためには圧力
釜を使うしかないと思っていましたが、後に、大型のラインでそれを実現する
色々な方法を見つけだしました。

<工場における圧力釜代替加熱処理方法の開発>
<1>大型電子レンジ
骨の血止めをするために大型の電子レンジで加熱し、それからフライするとい
う手法です。米国のミサイルを打ち上げる軍需産業が大型レーダー技術を活用
し、大型の業務用電子レンジを使い、チキンの調理加工で実用化が進んでいた
のです。しかし、電子レンジは電磁波が漏れると危険であり、流れ作業ができ
ず、バッチ作業となる点でまだ問題は残ってしまいます。また、圧力釜よりも
肉質がやや堅いという欠点も残っていました。

<2>大型蒸気加熱機器
当時米国本社ではノンフライの焼き上げたチキンの開発を行っていました。い
わゆるバーベキューチキンとかローティサリーチキンといわれている物ですね。
世の中だんだん健康志向になり、衣がついて油で揚げたチキンはカロリーや脂
肪が多すぎて体に悪いということで、油の少ない鳥の調理方法が望まれていた
のです。

日本のプロジェクトと同じく生の鳥を店舗で調理することは問題があり工場で
調理を行うことにしました。蒸気加熱で鳥の水分を失わないように加熱した後
冷凍し、店舗では大型のコンダクションヒーティング(接触加熱型方式)で低
温で再加熱する方式です。

早速その工場を見学し、製造方法を確認しましたが、バッチ式の蒸気加熱機器
で生産性が低く、また、外部の技術コンサルタントがどうも信用ならないとい
う問題があったのです。そのため、日本での導入を行いませんでした。後に米
国本社はその開発者との特許紛争に巻き込まれ解決に数年かかったことを見る
と、その判断は正しかったようですね。

<3>スパイラル式大型加熱機器
米国は鳥の消費量が多いので工場の調理方法の研究が進んでいました。最も優
れている工場調理方法は、大型スパイラル式の蒸気加熱方式でした。まず、衣
をつけた鳥を軽く一次揚げして衣を固着させ、コンベアー式大型スパイラル蒸
気オーブンに入れ、じっくり火を通します。蒸気をかけながら低温で骨まで加
熱するので、水分の蒸発が少ないというメリットがありました。このタイプの
メーカーは米国とオランダに2社あり、世界中の大型食品工場で使用されてい
ました。しかし、当時は残念ながらその開発方式を日本に導入するのが遅れ、
品質面で苦労させられました。しかし、現在ではその合理的な調理方法が米国
本社の東南アジアでのフライドチキンのメニュー開発に採用されているのです。

この方式で調理し、冷凍したフライドチキンを、店舗で時間をかけて、特殊な
保温庫をかねた加熱オーブンで適温に再加熱し提供するという方式が東南アジ
ア各国で標準採用されています。このメリットは米国の穀物飼育した美味しく
て安価なフライドチキンを鮮度維持して東南アジアに輸入できると言うことで
あり、東南アジアではK社の売り上げに大きな影響を与えています。

<2度の加熱による乾燥を防ぐ>
工場と店舗で2回加熱することは、食中毒菌などへの安全対策としては完璧で
すが、肉が堅くなったり、水分が蒸発しおいしくなくなるという問題が発生し
ます。バーベキューチキンの場合には、乾燥を防ぐためと味付けのために、生
のチキンを塩やスパイスを入れた調味液に付け、減圧して回転するタンブラー
という機械で味をしみこませるとともに水分を補給し、焼成時の乾燥を防ぐ方
法を採用しました。当初はその機械をテストしたのですが、バッチ処理のため
に大量に製造するには問題があります。そこでソフトサーモンの製造に使用さ
れる、インジェクションという肉質に注射針を刺し、そこから調味液を注入す
るという手法を採用することにしました。

<工場における調理行程マニュアル>
工場における調理行程マニュアルを作成し、品質管理を決めることにしました。
店舗で調理する場合と同等の品質を実現するために作成を行ったのです。

<1>原材料受け入れ
受け入れ時品質基準
解凍方法
解凍後肉温度

<2>原材料水洗い
洗浄水温度
洗浄時間

<3>インジェクション
ピックル液成分
注入量
液温度
交換基準

<4>バッター液
希釈率
付着率
液温
粘度
液補充間隔

<5>一次ブレッダー
ブレッダー粉成分
付着率
だまチェック

<6>二次ブレッダー
ブレッダー粉成分
付着率
だまチェック

<7>調理トレイ並べ方

<8>フライ
ロット当たりの処理量
フライ時間
フライ後製品温度と計測部位
フライオイル交換基準

<9>急速凍結
凍結温度
凍結後製品中心温度

<10>ミスト
ミスト量

<11>包装
入り数
包装形態

<12>異物混入チェック
金属探知器基準

<13>箱詰め
段ボール種類
段ボール強度、構造
製品名記載内容
入り数

<14>凍結保管
基準温度
箱積み基準

<15>輸送保管
保管温度
保管期限

以上のようにマクドナルドでの商品開発というのは店舗の作業だけでなく、工
場における加工工程まで熟知しなくてはいけないのです。今まで何回かフライ
ドチキンの話をしておりますが、それだけの加工技術を開発するのに1年以上
もかかっているのです。

その間、極秘のプロジェクトだからと私の名前は社員リストから消され、会社
での机もなくなりました。そして、粉や肉の大手加工会社の中央研究所に潜り
込み研究を続けていたのです。他社の研究所でのテストの際も調理実験後の食
材は全て自分で回収します。調理後の食材を分析すればノウハウがもれるから
です。

そんな大変な技術開発でしたが、大変勉強になりました。
加工技術の開発に当たっては、食品製造技術をマスターしなくてはいけないの
で、マクドナルドの商品スペックの勉強を真剣に行わざるを得なかったからで
す。マクドナルドの全ての商品スペックを基礎から勉強したのです。

このプロジェクトは極秘のプロジェクトですから、社内でもあまり多くの人数
が関与することは許されませんでした。工場での商品開発だけでなく、店舗で
の調理機器の開発が必要だし、完成したら店舗での教育やマニュアル作りが必
要です。

私は幸か不幸か、運営統括部部長と言う運営面での責任者で全社の数字とオペ
レーションマニュアルを管理していました。また、フランチャイズ契約などの
契約関係も深く携わっていました。同時に機器開発部長というマクドナルドで
使っている全ての調理機器の開発とレイアウトの責任者であり、機器の開発に
必要な詳細なスペックを熟知させられていました。

そんなわけで、私なら一人で全てのスペックを作り上げるだろうと指示が下っ
たのでした。おかげで大変な目にあいました。

次回からは店舗での調理作業開発の苦労話をしましょう。
(続く)

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