weekly Food104 Magazine 2005年12月28日号

メルマガバックナンバー

weekly Food104 Magazine 2005年12月28日号

● 米国レストランNEWS
● 赤石貴麻の酒蔵探訪記
● 食ビジネスニュースリリース
● 王利彰のレストランチェック

【新年号のお知らせ】
今年もfood104マガジンをお読みいただき、ありがとうございました。
新年号は「1月11日号」からスタートとなります。皆様どうぞ良いお年をお迎
えください。
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● 米国レストランNEWS———————————————■□

■ ベトナム・タイ料理のブーム来る。

ベトナム・タイ料理がファスト・カジュアル、家庭用スパイス、大学内でのプ
ロジェクトに取り入れられだした。

来年1月中旬にカリフオルニア州の首都サクラメントにオープンする、ファス
ト・カジュアル・スタイルのベトナム・タイレストランLemon Grass Asian Gr
ill and Noodle Bar(レモン・グラス・アジアン・グリルandヌードル・バー)
オーナーのマイ・ファム氏は、長年手頃なプライスのメニューでカジュアルな
雰囲気のレストランを手掛けたいと思っていました。ファム氏は10年以上も前
からLemon Grass(レモン・グラス)というレストランを3店舗経営して、最近
特にその人気が高まるのを実感していました。そこで、若い客層をターゲット
に、価格を8ドルに設定したカジュアルなレストランをオープンすることにし
たのです。

また家庭でのエスニック料理の人気もでてきており、ファム氏はキャンベル・
スープの小会社である、Stockpot, Inc.(ストックポット)社向けに、東南ア
ジアのソースやカレーの開発をしています。そして、来年1月から、Mai Pham’
s Claypot Sauce「マイ・ファムのクレイポット・ソース」シリーズを発売し、
高級キッチン用品店であるWilliams-Sonoma(ウイリアム・ソノマ)で2月より
独占発売を開始します。

またファム氏は東部での大学内のレストラン・パイロット・プロジェクトにも
携わっており、マサチューセッツ大学内で、レストランLemon Grasss(レモン
グラス)をオープンしました。現在ではマサチューセッツ工科大学で、次のプ
ロジェクトが進んでおり、デュ―ク大学でも興味を示しています。
http://www.lemongrassrestaurant.com

■ サンフランシスコの空港が地元グルメ・レストランを誘致します。

サンフランシスコはグルメの街として有名ですが、最近サンフランシスコ国際
空港では地元の有名グルメ・レストランを誘致し、より質の高いグルメな空港
に変身しようとしています。このグルメ化計画には2200万ドルの費用をかけ、
42店舗を地元レストラン業者を中心に選定しました。空港内の「マーケットプ
レース」ではアメリカで最初にアイリッシュコーヒーを始めたBuena Vista(
ブエナ・ビスタ)、元祖サンフランシスコのバーPerry’s(ペリー)、調理人
ブラッドリー・オグデン氏のYankee Pier(ヤンキー・ピア)、ガーリックフ
ライや地ビールの店Gordon Biersch(ゴードン・ビアッシュ)があります。

すべてのレストランでは航空機内にテイクアウトできるように、テイクアウト
用のカウンターをもつことを義務つけられています。元々はHMS Host(元マリ
オット・サービス)社が独占的に運用していたのですが、それを顧客の嗜好に
応えるように改善をしたのです。その結果、2004年の8月の売上げに対して2005
年8月は40%も売上げが上がりました。この好調な売上げをみて、近隣のサンノ
ゼ空港、オークランド空港でも同じような計画が進行中で、ターミナル内に地
元の有名レストランを導入するようです。
http://www.san-francisco-sfo.com/
http://www.thebuenavista.com
http://www.yankeepier.com
http://www.gordonbiersch.com/restaurants/san_francisco.htm
http://www.hmshost.com/about/

■ 米キャビア市場が珍味をよりお手軽に

世界の高級品と呼ばれる中で、ダイヤモンドやオートクチュールと同じように
キャビアは高級な食べ物とされており、かつ神秘的雰囲気をもかもしだしてい
ます。大抵の人々はキャビアを食べて育ってきておりませんが、キャビアはお
金持ちや著名人にはおなじみの食べ物となっています。15世紀中頃から上流階
級の間ではこのチョウザメの塩浸けの卵をスナックとして食べることが上流の
特質だとみなされていました。しかし、最近アメリカはキューバ産の葉巻きと
同じように、カスピ海と黒海からのベルーガ・チョウザメのキャビアの輸入を
禁止しました。

アメリカは長年このキャビアを輸入してきましたが、この禁止令は減少が続く
貴重なチョウザメを再び繁殖させるためです。輸入キャビアの代替としてアメ
リカ国内のキャビアに注目が集まっています。アメリカ産のキャビアは価格的
にも色々な種類があり、富裕層だけではなく一般の人々にもキャビアが受け入
れられるのではないかと見られています。

ベルーガ・キャビアは1オンスにつき約100ドルに対して、五大湖からのホワイ
トフィッシュの卵は4オンスの瓶詰めで8ドルと安価です。ケータリング会社を
経営するスタイン氏は「アメリカでのキャビア市場は見直されており、これか
らますます需要が増える」と述べています。輸入物との値段の差も大きいので
すが、シカゴ郊外アーリントンハイツでグルメショップを経営する、ホーガン
氏は「ベルーガ・キャビアはキャビアのロールスロイスのようなもので、簡単
には手に入りません。でも、キャビアは自分の好みに合うかどうかが大事なの
です。」と語っており、アメリカのチョウザメのキャビアはベルーガと似たよ
うなフレーバーと塩気があり、しっかりトレーニングされた人でないとベルー
ガ・キャビアとの違いは分からないということです。

最近ホーガン氏は自分の店でキャビアのクラスを開きました。その理由は、お
客様が1オンス$55のものと$100のものを買うことを決めるのは大変難しく、レ
ストランでお客様が高い値段を払って自分の好みでないキャビアが出たりする
ことがないように、ということです。

一般にキャビアはチョウザメの卵であり、ベルーガ、マロソル、オセトル、セ
ブルガのチョウザメの種類があります。しかしキャビアと言ってもこれに限ら
ずいろいろな魚の卵にも言えます。キャビアのサイトwww.911caviar.comには
「アメリカン・キャビア」がいろいろと出ています。

○湖水のチョウザメのキャビア:ロシア産のベルーガ・キャビアにサイズ、色
とも似ている。
○ハックルバック・チョウザメのキャビア:卵が濃い色で、中サイズ、甘くて
バターっ気があり、ナッツのようなフレーバーがある。
○パドルフィッシュ・キャビア:卵は薄い色から、ダーク・グレー、「オスレ
ラ・ブラウン」と呼ばれる金色のものまであり、スムーズでなめらかでリッチ
なフレーバーです。
○ボウフィン・キャビア:骨が多いこの魚からの卵ははっきりとした味で、チ
ョウザメのキャビアよりお手頃です。
○サーモンキャビア:赤く大きい卵で、ハッチャリー産のサーモンからの卵は
大きく、オレンジ色の卵でサーモンの味を濃くだしています。
○マスの卵:柔らかく、キレイな黄色の卵でサーモンの卵のサイズと同じでデ
リケートな味です。
○ホワイトフィッシュ・キャビア:クリスピーな黄色の卵。自然にマイルドな
味でフレーバーを足したり、スモーク味にしたりすることに使われます。
○トビコ:トビウオの卵でよくお寿司に使われます。輝きがあり、クランチー
でオレンジ色または黒色もあり、料理によって使いわけられます。

キャビアはそえ付けの飾りだと思っている人が大半で、ケータリングでも、95
パーセントが見た目を考えて飾りに使われています。クレーム・フレッシュに
添えられたり、スープやサラダ、卵料理にも添えられます。伝統的なキャビア
の提供の仕方は、瓶のままのキャビアを、亀の甲のへらか、真珠貝のへらを添
えます。またメタルのスプーンはキャビアと反応してよいということです。
しゃっきりと冷やしたウオッカやシャンペーンが合うようです。これからキャ
ビアが手に入りやすくなっていきますが、スタイン氏曰く、そのキャビアの産
地、新鮮さ、保存方法等をシーフードのお店で聞くことなども大切だというこ
とです。

(イリノイ州シカゴ在住 畑田ひろ子)

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● 赤石貴麻の酒蔵探訪記~日本の酒~——————————■□

■ 新年はお屠蘇で

お正月に今年一年間の邪気を払い、無病息災を願って飲まれる屠蘇は、日本酒
や味醂に数種の薬草(屠蘇散=屠蘇延命散)を漬け込んだ薬酒のことをいいます。
屠蘇は元々中国の習慣で、三国時代の名医、華佗(かだ)が考案した処方とい
う説が有力であります。日本に伝わったのは平安時代初期。当時は宮中の正月
行事としてはじめられ、江戸時代には武家や民間にも広がりました。
名の由来は諸説あり、「邪気を屠(ほふ)り、心身を蘇(よみがえ)らせる」とい
う意味や、薬酒を作った仙人の住む庵「屠蘇庵」が語源などといわれています。

薬草を漬け込むといっても、面倒なことはありません。お屠蘇は簡単に作れる
のです。用意するものは「屠蘇散」「日本酒」または「味醂」。さっぱりした
味がお好みなら日本酒。甘めで飲みやすいのがお好みなら味醂を使います。日
本酒+味醂もいいです。屠蘇散はティーバックのように袋に包まれ薬局などで
購入できます。ちなみに中身は肉桂(ニッキ)・山椒(サンショウ)・白朮
(ビャクジュツ)・防風(ボウフウ)・桔梗(キキョウ)など数種類の薬草。
袋のまま日本酒または味醂に7~8時間浸し、成分が溶け出してきたら袋を引き
あげて出来上がり。(日本酒や味醂の分量は、屠蘇散に明記されている分量参
照)。

年末に味醂を買うと、屠蘇散がおまけでついてきたりします。味醂はできれば
昔ながらの製法で造られた本味醂がおすすめです。熊本の方では、地元に古く
から伝わる「赤酒」をつかったり、最近では出回りつつある貴醸酒で漬け込む
などといった方法もあります。

古くから伝わる作法は、大晦日の晩、赤い絹で三角形に縫った袋に屠蘇散を入
れて、井戸の内側に一晩吊りさげ、翌日の元旦早朝に取り出し、日本酒や味醂
に浸します。元旦の朝は、若水(元旦の早朝に汲んだ水)で身を浄め、仏壇や
神棚などを拝んだあと、お雑煮やおせちをいただく前に、一家揃って東の方角
を向きます。器は朱塗りの三段盃などを使い、飲む順序は、無病息災を祈念し
若者の活発な生気にあやかる意味で、年少者から「一人これを飲めば一家くる
しみなく、一家これ飲めば一里病なし」と唱えながら、年長者へ飲みすすみま
す。松の内が過ぎたら、袋の中の薬滓(屠蘇散)を元の井戸の中へ投じます。
そうするとその井戸水を飲めば一代の間、無病でいられるというもの。お年賀
にみえたお客様には一献目は屠蘇を供し、以降はお酒にします。しかし、年々
お正月らしさが失われつつある現代生活において、作法を厳守するのは難しい
ですね。

盃がなければ普段使いのお猪口や湯のみを代用する、井戸がなければその点は
省略する、薬酒が苦手なら日本酒でといった感じで難しく考えずに、新年をお
屠蘇で迎えてみませんか。

○食文化研究家 赤石貴麻(あかいし・たかお)
E-Mail: tafdmail5@yahoo.co.jp

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● 食ビジネスニュースリリース —————————-■□

■ 食器の洗浄、まな板の除菌に、年の瀬の安心・安全なお酢

年末のキッチンまわりのお掃除にお酢を使ってみませんか?お酢の酸性の性質
や、お酢の主成分「酢酸」が持っている防腐・静菌効果を利用することで、驚
くほど応用が利きます。お酢は食品なので、食品に関係する食器や調理器具な
どに、安心して使うことができるというメリットがあります。

ごぼうやレンコン等の野菜類のアクで黒ずんだ鍋には、2倍にうすめたお酢を
入れ、15分間位煮立てるのがコツです。これらの「アク」の成分はアルカリ性
物質のため、「お酢」を加えることにより中和され、分解されるのです(焦げ
付いて黒くなった鍋には効果はありませ
ん)。

自分で作った「お酢液」に、曇りが気になるコップやグラスを浸しておくだけ
でピカピカになります。グラスの曇りの原因はアルカリ性の石鹸カスであるた
め、酸性のお酢で取り除くことができます。
(1)洗い桶などに、お湯:お酢=3:1の「お酢液」を作ります。
(2)(1)の中にコップや茶碗を入れて2時間~1晩置きます。
(3)汚れがひどい場合には、軽くこすります。

これは、台所のステンレスの曇りにも応用できます。ステンレスの曇りは石鹸
カスや湯あかが一緒になっています。強くこすって傷つけてしまうより、「お
酢パック」を使えば、ステンレスを傷つけることなく簡単に取り除くことがで
きます。
(1)酢をスプレー容器に入れます。
(2)曇り汚れが気になる蛇口やシンクにキッチンペーパーなどをかぶせ、
(1)の酢をまんべんなく拭きつけます。
(3)そのまま1時間ほどパックし、その後、キッチンペーパーを外して乾拭き
します。

○まな板やスポンジの除菌(静菌)
食酢の代表的な働きとして挙げられるのが、「食べ物をいたみにくくする働き
(防腐・静菌効果)」です。ミツカンでは、病原性大腸菌O-157をはじめとす
る代表的な食中毒原因菌に対する「食酢の抗菌効果(菌数を減らす、増やさな
い効果)」を確認しています。この働きを利用して、まな板・スポンジ・ふき
んなどのキッチン用品を清潔に保つことができます。
・まな板の洗浄
(1)まな板を洗剤で洗って、その後水洗いし、熱湯をかけます。
(2)乾いたふきんをかぶせて、酢水(酢4分の1カップ+食塩大さじ2分の1
+水4分の3カップ)をひたひたにかけます。
(3)室温で1時間以上置き、後水洗いします。

・スポンジの洗浄
(1)スポンジを洗剤で洗って、その後水洗いします。
(2)45度以上の酢水(酢大さじ2+食塩大さじ1+お湯1カップ)をボールに入
れ、水気を切ったスポンジを浸します。
(3)軽くもんでスポンジに浸透させ、15分以上置いた後しぼって使用します。
○魚料理に使った調理器具のニオイ取り
魚料理をした後、お鍋に生臭さが残ってしまい、なかなか取れないことがあり
ます。そんなとき、「お酢」を約100倍に薄めてお鍋に入れ、10分位煮立てる
と、洗っても取れにくかったニオイが取れます。魚のうまみ成分に「トリメチ
ルアミン オキシド」というものがありますが、この成分は魚が死んでしまう
と「トリメチルアミン」という魚臭さの原因となる物質に変化します。この
“トリメチルアミン”はアルカリ性物質のため、「お酢」を加えることにより
中和され、魚臭さを抑えることができるのです。

○関連HP: http://prw.kyodonews.jp/press/release.do?r=200512083290

■ 第四回「JALUX WINE AWARD」開催 優勝者フランスor米国での1ヶ月間研修

JALグループの生活提案企業:株式会社JALUXは、本年12月より第四回「JALUX
WINE AWARD(ワインアワード)」の募集を開始し、以降下記の通り開催いたし
ます。

この「JALUX WINE AWARD」は、2003年1月、料飲・サーヴィス業界の将来を担
う若手サーヴィスマンの育成を目的に発足したJALUX主催のプログラムで、日
本航空とJALホテルズからの協賛、他多くの後援により開催し、今回はその第
四回に当たります。料飲業界におけるサーヴィスとマネージメントのプロを目
指す若い人材に、様々な体験学習の場を提供することで、次世代のソムリエ&
サーヴィス業のエキスパートが育っていくことを願い、さらには料飲・サーヴ
ィス業界の一層の活性化に貢献でき、日本のサーヴィス文化向上に寄与すると
考えるJALUX独自の育成支援制度です。

2005年4月に開催した第三回「JALUX WINE AWARD」(最終選考会)の模様は、
以下ホームページをご参照ください。
○ホームページ: http://www.jalux.com/jwa

○内容:コンテスト形式:試験を経て入賞者を決定
・一次試験 課題に対するレポート提出
・ニ次試験(筆記と語学)及び最終公開選考会(実技口頭試問)

○応募資格:最終選考日(2006年4月11日)において30歳以下、
国内のレストランに勤務、料飲サーヴィス業務に携わる方
ソムリエのみならずサーヴィスマンをも対象としています。

○実施時期:資料請求受付 2005年12月8日(木)より
応募受付開始 2006年1月5日(木)
応募締切 1月31日(火)当日消印有効
(予定)  一次問題発送 2月7日(火)
解答締切 2月24日(金)当日消印有効
一次試験通過者発表 3月7日(火)
ニ次試験及び 4月11日(火)

○最終公開選考会
(ニ次試験:筆記試験及び語学試験、最終選考会:実技口頭諮問)
⇒一次試験:12人選考、⇒ニ次試験:6人選考、最終選考会⇒入賞者決定

○褒賞:優勝者 ・最長1ヶ月間のフランスまたはアメリカ・ワイナリー及び
レストラン研修 など

○お問合せ先:(株)JALUX 広報宣伝部
TEL:03-5460-7220 e-mail:info-support@jalux.com

○詳細HP: http://prw.kyodonews.jp/press/release.do?r=200512063250

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

■ マクドナルド50周年を記念の調理機器技術50年史 その3。

8)1994年 フライ・ディスペンサーのロボット化
アーチディスペンサーARCH Dispenser

過去10年間マクドナルドの機器開発部は最高の品質のフレンチフライの調理を
自動化しようと探求を続けていました。しかし、マクドナルドの厳しい品質基
準をクリアーする自動化の調理機器はありませんでした。しかし、1980年代の
後半から90年代にかけて、ラム・センター社(Ram Center、現在は Schwan’s
社に名称変更)と米国最大のフライヤー機器メーカーのフライマスター社と共
同で開発に当たりました。

このプロジェクトで開発されたアーチディスペンサー(ARCH Dispenser)は、
マクドナルド・フレンチフライの原材料の冷凍ポテトを壊すことなく、安定し
た品質と調理時間の短縮と言う難しい課題を実現しました。従来は6ポンドづ
つ包装された冷凍フレンチフライを一定量、フライヤーバスケットに丁寧に入
れなくてはいけません。多すぎるとからっと上がらないし、少ないと揚がりす
ぎになります。また、忙しさのあまり乱暴に扱うと冷凍のフレンチフライが折
れて価値が下がってしまいます。自動ディスペンサーで定量の冷凍ポテトをフ
ライヤーバスケットに自動充填することにしたのです。これにより、品質が安
定するだけでなく、人件費の削減にも成功しました。

実は、アーチディスペンサーの前に、フライ作業のロボット化を研究しました。
ちょうど私が米国に滞在していたときでした。1店舗当たりの売上げがどんど
ん伸びるのに、アルバイトの求人難でお店が四苦八苦していました。そこで、
ハンバーガーの製造工程と、フライ物(フレンチフライ、フィレオフィッシュ
、アップルパイ等)、コーラなどの炭酸飲料、シェイクの4つの分野を自動化
又はロボット化しようとしました。ハンバーガーの製造工程の自動化はクラム
シェルグリルになり、シェイクはダイレクトドロー方式の新型シェイクマシン
になりました。残るはフライ物と炭酸飲料です。フライ物に関しては自動車産
業の製造工程で使われているのと同じロボットを使用してテストを開始しまし
た。

産業用のロボットは単純作業を繰り返し行うのに適しているのですが、レスト
ランのように売上げに波があったりすると人間よりも作業が遅いと言う問題が
ありました。また、店舗では全ての作業をロボット化できないので人間と一緒
に作業をしなくてはいけません。しかし、ロボットと人間が一緒に作業をする
のは大変危険であり、諦めざるをえませんでした。

しかし、ロボットの研究の結果、一部の難しい作業を自動化すればかなり生産
性が向上することがわかり、フライ作業に関してはアーチディスペンサーの開
発になりました。現在は更に冷凍庫を組み合わせ、温度管理を更に向上し、よ
り高い品質のフレンチフライを調理するようになりました。

9)1996-99年 メード・フォー・ユー Made For You

マクドナルドは1990年代になると経済環境が劇的に変化したことを実感しだし
ました。創業時は朝10時半からの開店で、ハンバーガーとチーズバーガーの2
種類しかなかったのが、朝6時から朝食を提供したり、牛肉ハンバーガーだけ
でなく、チキンナゲットやフィレオフィッシュ、ポークソーセージやベーコン
メニューなど、メニューの拡大が進行したのです。

また、従来のハンバーガーはケチャップ、マスタード、ピクルス、玉葱などを
一定量あらかじめ入れて包装していましたが、30%の客はそれらのコンディメ
ントの増減を要求するようになりました。その客の要望は品質の低下と長いサ
ービス時間と言う問題を発生させました。

マクドナルドの競争相手はバーガーキング社です。バーガーキング社はマクド
ナルドの問題点を把握し、自動化のコンベアーブロイラーを使い、バンズとミ
ートパティをあらかじめ焼き上げ、それを蒸気保温庫に保管し、客のオーダー
が入ってから焼き上げたミートパティとバンズを組み合わせ、客の好みに合わ
せたコンディメントを入れて電子レンジで加温して提供すると言う仕組みを作
っていました。

そこでマクドナルド社はそのバーガーキングの方式を徹底的に研究したのです。
そこでハトコ社にコンピューター制御の蒸気保温庫を開発させ、焼き上げたミ
ートパティを20分間保温することにしました。フライ物はヘニーペニー社の温
風保温庫を使用します。またバンズは焼き上げて常温の容器に保管し、客の注
文によりバーガーキングのようにハンバーガーを作ることにしました。

その仕組みをステージング・システムと名づけて米国全店に導入しました。し
かし、蒸気保温庫のメインテナンスが難しいと言う問題と、店舗では電子レン
ジでハンバーガー類を何回も加温すると言う作業上の問題が発生し、品質が大
幅に低下しました。そこで、このステージング・システムの大幅な改革を開始
したのです。

それがメイド・フォー・ユーシステムで、3つの調理機器を組み合わせています。
(1)ステージングではハンバーガーとフライ物を別々の保温庫で保温してい
たのですが、今回は作業性と品質を重視してフライマスター社にユニバーサル
・ホールディング・キャビネット(universal holding cabinets 「UHCs」)と
言う遠赤外線で上下から保温する仕組みにしました。湿度の必要なハンバーガ
ーは密閉した容器に入れ、カリッとした表面を維持するためにフライ物は湿気
がこもらない容器に入れて保温をすることにしました。

(2)もう一つの機器は、ヒーティッド・ランディング・ゾーン(heated land
ing zonesと言うものです。従来のステージングは顧客の要望に基づいてハン
バーガーを作るだけではなく、売上げを予測して作り置きをしてピークに対応
できるように完成して包装したハンバーガーを保温するホールディングキャビ
ネットを使用していました。そのため、予測を誤ってハンバーガーを作りすぎ
て品質を劣化させることになったのです。そこで、完成品を保温をしておくホ
ールディングキャビネットをやめて、全て客の注文後にハンバーガーを組み立
てて、そのハンバーガーが冷めないように、小型の一時置き保温庫を開発した
のです。

(3)3番目は高速トースターrapid-cook toastersです。ステージングではハ
ンバーガーを組み立てた後、温めるために電子レンジを使用して、品質とイメ
ージを低下させてしまいました。今回のシステムは電子レンジを使わなくても
熱々のハンバーガーで出来るように、バンズは客の注文後に15秒間と言う短時
間で焼き上げることにしました。(従来は焼き上げるのに1分もかかっていま
した。)客の注文が入るとまずバンズを焼き上げそのバンズにUHCから取り出
したミートパティとコンディメントを組み合わせて提供します。この高速トー
スターの開発により電子レンジを排除することに成功したのです。

この開発の初期にはマクドナルド社の店舗運営を研究するCore Innovation Ce
nterのボブ・マーシャル(Bob Marshall)とラルフ・デッカー(Ralph Decker)
が担当しました。彼らは研究室にマクドナルドの原寸大の厨房を作り上げそこ
でオペレーションの研究をしたのです。次にマクドナルド機器開発部のジェリ
ー・サス(Jerry Sus)とトム・イーワールド(Tom Ewald)が加わり、調理機
器メーカーのフライマスター社をパートナーとして開発を開始しました。UHC
の開発目的は一つの保温庫で複数の商品を保存できると言うフレキシビリティ
でした。

高速トースターの開発も大変でした。従来マクドナルド社にフィレオフィッシ
ュ用のバンスチーマーを供給していたアンチュネス社(A.J. Antunes)に担当
させました。この開発の成果は1996年のマクドナルド社のフランチャイジー向
けコンベンションで公表され、1999年から店舗に導入が開始されました。
(続く)

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