外食の安心・安全は、まず「現場教育」から(柴田書店 月刊食堂2004年6月号)

1)日本の食関連事故の現状

2003年12月24日。日本の外食産業に米国から届いたのはとんだクリスマスプレゼント「米国産牛肉にBSE発生のニュースだった。」その対策に大わらわの外食企業の追い打ちをかけたのが、1月13日には山口県の養鶏場における鶏インフルエンザの発生だ。また、冬場は安全であった生牡蠣がノロウイルスと言う新型の食中毒原因のウイルスに汚染され、食中毒を多発し、2003年の食中毒原因のトップとなっている。2003年3月11日には大手惣菜会社の販売するおにぎりがノロウイルスに汚染され、47名の食中毒患者を発生させた。このノロウイルスは1990年代の初めに米国で発生し、1998年に厚生労働省が従来は食中毒菌だけを食中毒原因菌として認定していたのを改め、食中毒原因ウイルスとして認定したばかりだ。
腸管出血性大腸菌o-157(牛の腸に存在する)による大規模な食中毒発生は1982年のハンバーガーによる食中毒で初めてその危険性が知られるようになり、1993年には西海岸のハンバーガーチェーンが大規模な食中毒を引き起こし、子供に数人の死者を出し、世界の注目を集めるようになった。その後、このo-157による食中毒はあっという間に世界に広がり、対策を怠っていた日本では1996年に大阪堺市で大事故に発生したのは記憶に新しい。2000年2月下旬にある老舗ハンバーグレストランチェーンが腸管出血性大腸菌o-157による食中毒を出し、3店舗が営業停止処分となった。その後の国内BSE牛の発生により同チェーンは大半の店舗の売却を迫られた。その後、2つの大手FRチェーンで、サイコロステーキによる腸管出血性大腸菌o-157による食中毒事故が発生した。
日本の食は輸入依存度が高く、海外で発生した食中毒などの原因菌は素早く輸入されるという危険にさらされている。また、BSEや食中毒だけでなく、中国産野菜の残留農薬、海外製造の食品に無認可の添加剤混入が報道されている。2000年10月には大手ドーナツチェーンの輸入する肉まんに無認可の添加剤、酸化防止剤t―ブチルヒドロキノン(TBHQ)が添加され大事件となった。2003年3月には大手イタリアンチェーンがオーストラリアから輸入しているミートボールに食品添加物ではあるが、結着成分の「ポリリン酸ナトリウム」の塊が検出され、対応の遅かった同社の対策により新聞やテレビ報道されるという失態を演じた。2003年10月には大手サンドイッチチェーンの輸入する冷凍パンに遺伝子組み替えを行った微生物を使って製造した酵素が使用されていることが発覚するなど、大手外食チェーンの対策の遅れが目に付く。
その他、まだ、大きな問題となっていないが、食肉のホルモン剤や抗生物質の残留、遺伝子組み替えの穀物、食品アレルギー、鯉ヘルペス、フグのホルマリン残留、など、多くの危険が存在している。しかし、危険だからと言って食を断つことはできない。
従来の外食産業がとる危機管理は店舗におけるQSC(品質、サービス、清潔さ)、人物金に問題が発生したり、顧客に被害を与えたり、会社に被害が発生した後での対応であった。しかし、今回のBSEの事例を見ると、危機が発生してからの対策はほとんど役に立たないことが実証されたと言える。

2)企業としての対策

今回の米国におけるBSEの発生は日本の食関連に大きな影響を与えた。しかし、その影響は業界により大きく異なるようだ。BSEは外食だけでなく、食品スーパーや食品製造業、医薬品製造業まで幅広く影響している。しかし、食品製造業、医薬品製造業の場合は比較的その影響が少なかったと言われている。その大きな理由は食品製造業や医薬品製造業は高度な衛生管理のHACCPや医薬品製造管理に必要不可欠なGMPという手法を既に取り入れ、米国におけるBSE発生2年前の、日本でのBSE発生後直ちにその対策に乗り出し、公表はしていなかったが米国におけるBSE発生への対策を立てていたからだと言われている。
同じ食を扱う産業として、外食産業と食品製造業、医薬品製造業の大きな差は、技術系の社員が十分におり、重要な地位で危機管理の仕事をしているかと言うことだろう。
米国でも20年以上前に大手ハンバーガーチェーンで発生したo-157事件以来、大手外食チェーンは大手食品メーカーの技術役員をスカウトして、衛生管理を中心とした危機管理役員として対策に当たらせている。
日本の外食チェーンも少なくともHACCPと言う衛生管理と危機管理の専門職を取締役の地位につけるという取り組みが必要になってきているだろう。その際には外食企業より格段にレベルの高い、高度な衛生管理や危機管理に取り組んでいる食品製造業や医薬品製造業から優秀な人材をスカウトするべきだろう。
以下のチェックリストはHACCPやGMPの基準の乗っ取って作成した物であり、優秀な人材をスカウトしたら、以下の詳細な内容に取り組んでいただきたい。
以下のチェックリストにはマニュアルの作成、従業員への衛生教育の内容も含んでおり、それを作成し実施するべきだろう。

原材料管理

<1>製造日付 製造メーカーが仕入れて加工する場合にも、全ての購入食材に製造日付が付いており、先入れ先出しを守っている。工場や倉庫内は整理整頓され、日付確認が容易になっていること。

<2>供給業者又は輸入業者 使用する原材料の供給業者、または、輸入業者を明確にし、それぞれの業者の信頼性、過去の実績、衛生管理に対する取り組み、工場や加工に対する査察を実施。仕入れ原材料の品質をチェックする場合は、直前の仕入れ業者の品質保証だけでなく、原材料の元になる農場、牧場、漁場などの栽培、飼育、船内加工に至るまでの詳細な品質保証を確認する。農場、牧場などでは今回のBSEで問題になった飼料、農薬に至るまで安全性と散布状況の確認をおこなう。

<3>原材料原料製品規格 それぞれの原材料に会った、公的な製品規格またはそれ以上に厳しい業界または自社企画による厳正な製品管理を行っているかを確認する。日本製の食品に関してはJAS(日本農林規格や、業界団体による自主規格を守っているか。海外の物であれば、ISO、またはHACCP、、米国食肉であればUSDA(米国農林規格)、FDA(米国厚生省)などの規格を取っているか確認する。輸入物の食肉であれば、部位、原産地、プランド(パッカー)、等まで詳細に記録を提出させる。米国産牛肉などは問題があれば、CDC(米国中央疾病センター)やUSDAなどから商品の流れや問題点が直ぐ分かるようになっているからだ。

<4>原材料使用食品添加物化学合成品明細 食品添加物に関しては、化学合成品を使っているかどうか、使っている場合には何をどのくらい使っているかを明確にする。仕入れた商品だけの添加物でなく、その商品を製造する上で使用した原材料の添加物まで厳格にチェックを行う。<5>原材料の製造手順と配合成分の明示 食品製造安全管理の一手法であるHACCPに基づき、どの様な温度や時間、加工方法を採っているか明確にし、どの時点で細菌や異物管理を行っているか一目瞭然にする。また、品質管理の基本である、配合成分も明確にすれば、完成品になってから規格に適合しないとクレームを言う必要もなくなる。

製品製造フローチャート 製品を製造する工場では製造の工程を明確にして、平面図と原材料がどの様に流れて、どの機械によって加工されているかを明確にする。そうすれば、食中毒や異物混入の際に何処に問題があるか直ぐに発見できる。

<1>工場製造ライン平面図とその流れの明示 商品で問題が発生した際に調査を行うと、当初決めた通りの手順や、加工方法、加工機械、検査を、省略したり変更したりして問題を起こすことが多い。そこで、平面図と流れ、使用機器を明確にして、定期的な監査を行う。加工工場がレイアウトや調理機器を変更する場合には、書類による事前承認を要求し、工場が新設備で稼働するに当たっては慎重な検査、検証を行う。この場合、GMPのガイドラインに乗っ取ってレイアウトをチェックする。

<2>原料検査法 スペック通りか、安全か、衛生的か、の検査方法を明確に定める。

<3>製品異物混入対策 食品加工の現場では食中毒に至る重要な危害よりも、髪の毛や金属、異物などの混入によるクレームの方が遙かに多い。特に金属片が混入すると命に関わるクレームとなるので、金属探知器などの設置や、異物の出ない調理機器や加工法を採用する。また、金属探知器も感度の設定によっては正しくチェックできないので、テストピースのサイズを決め,日に何回作動チェックをするか、また、定期的なメーカーによる作動テストなども定める。

<4>工場清掃殺菌指示書 食品製造工場に置いて基本的な衛生対策である。調理機器、天井、床などの、清掃と殺菌マニュアルを作成させておく。その際に重要なのは使用する清掃用具、洗剤、殺菌剤の種類を明確にし、清掃時間、清掃器具の保管まで厳重に定めておく、殺菌と言っても殺菌剤や、希釈水の温度、浸漬時間により効果は大幅に異なるからだ。また、異物のクレームなどで発見されることが多いのは、清掃用の道具の破片屑や研磨用の金束子などだ。異物を発生しやすい清掃用具を使わないようにすることが重要だ。また、劇物の洗剤や殺菌剤はうっかり食品に混入すると、大きな事故に発生する。清掃終了後は鍵のかかる専用保管庫にしまうなどの配慮をチェックする。

<5>始業、終業、作業指示書 店舗や工場でクレームや問題が発生する場合には、従業員のコミュニケーション上の問題が原因となっている場合が多い。始業時には昨日までの商品製造の問題点や、品質に関するクレームの内容を説明したり、当日特別の作業や注意点があれば始業前に注意を促したり、従業員からの問題提起をしてもらい作業に当たるようにする。また、口頭だけでは当日休暇や、シフトが異なる従業員に連絡が行き届かないので、当日の作業指示を文書の形で掲示したり、連絡ノートに記入する。 終業時も同じく、本日の作業を分析反省し、翌日には改善できるように従業員一同で検討する。始業や終業は仕事のけじめを付ける意味で重要であり、形式的な挨拶や標語を唱えるだけでなく、意志疎通を図るように心がける。

<6>工場内、製品加工工程、製品保管、製品流通の温度管理 工場内においては食材加工工程だけでなく、原材料の受け取りから始まり、保管、トラックへのローディングに至るまで明確に管理しなくてはならない。工程の管理に置いては流れと時間、その間の食材温度を記録しておき、万が一に問題が発生した際に何処に問題があるか追求できるようにする。

製品検査 食品加工工場における製品検査の手法を明確に定める

<1>細菌検査法細菌検査では検査する細菌の指定、どの様に培養するか、どの様に検査をするかを明確にしておかないと、新型の食中毒菌などが発生した際に対処できなくなる。

<2>官能検査法食材の判断は検査の数値だけではなく、人間の五感を使った検査が必要になる。人間と言っても味や香り、食味等を正確に判断できる訓練を受けた複数人、通称パネルテストで判断する。

<3>栄養学的成分分析 どんなに衛生的でも食品の場合は栄養価が落ちては価値がなくなる。特に野菜などの場合にはビタミン類の減少率をチェックし、加工方法に問題ないかを確認する。

<4>製品保存可能期間データ古い食材を発見する方法は色々あるが、例えば、新しい食材と、期限が過ぎた食材の含有脂肪の酸化度合いを比較し、安全性を検証するなど食材別に最も適した賞味期限の検査法を決定する。

機器

<1>工場製造機器明細 工場で使う機器は何でも良いわけではなく、その食材加工に最も適した機器を選定、指定して、常に同一の品質で仕上がるようにしなくてはいけない。加工工程や配合成分だけでなく、機器メーカーや、種類も明確に指定し、指定した機器以外の機器を使用させる。

<2>機器メンテナンス指示書 調理機械と同様に工場における加工機機も正しく作動するようにメインテナンスや定期的な部品交換が必要になる。始業の洗浄殺菌、安全確認、温度時間確認、から、途中の点検方法、頻度、終業時の分解清掃殺菌作業まで詳細に定めなくてはいけない。メンテナンス指示書には1日、週、月、年間、の詳細な予定を明記し、忘れないようにさせる。

<3>工場内緊急連絡体制表 工場を動かしているのは人であり、何かあった際に対処するにはそれぞれの専門家が必要になる。特に、異物混入や食中毒発生の際には緊急を要するので管理者及び各部署の責任者は常時連絡が出来るようにする。また、火災や地震、洪水などの災害に対応できるように常に連絡方法を明確にしておく。

工場建物規格

<1>外観異物混入のクレームで一番多いのは髪の毛の次に昆虫類である。窓等は虫除けの網を必ず設置し、工場内の空気の圧力をかけ、ドアーも2重ドアーにして、どんな場合にも昆虫類が空気と一緒に工場内に入らないように気をつける。

<2>内装特に天井、壁、の材質はかびが生えにくく、ゴミや埃などがたまらないようにする。ゴミや埃がたまり食材に落下すると細菌汚染や異物混入となる。照明器具などの場合には破裂しない器具を使用し、万が一破損しても食材を汚染しないようにする。床の材質にも注意を払い、作業性が良いようにする。一定以上の照明の照度を保たないと、食材の品質以上や汚れ、汚染に気がつかないし、作業効率も悪いので、作業場所により必要な照度を明確に設定する。

<3>空調空調を効かすことは作業者の効率を上げるだけでなく、工場内天井に結露しない為にもひつようである。

<4>内部経路外部の汚れを内部に持ち込まないレイアウトにする。工場が一階の場合には従業員はまず、一階入り口で靴を脱ぎ、2階の着替え室で着替える。そして、靴を洗浄殺菌した作業靴に着替え、手洗いと殺菌をしないとドアーが開かない手洗い室を通過し、次にエアシャワー室で体の汚れを除去し、粘着テープで髪の毛等を丁寧に取り去ってから、食品加工室に入るようにする。

従業員規則

<1>服装特に制服、帽子の洗濯頻度、長靴の洗浄殺菌、手の洗浄殺菌方法を明確に定める。手洗いに関しては衛生管理の基本であり、どの様な場合に再度手洗いをしなくてはいけないかを定める。

<2>健康管理と報告義務下痢などの症状がある場合は作業に従事しないように告知し、定期的に検便を実施する。

<3>作業従事の注意手に怪我がある場合はブドウ球菌の発生の恐れがあるので、食材の加工作業に従事させない。

3)従業員向け衛生教育

どんなに良いマニュアルやシステムがあっても現場を預かる従業員、パートタイマーが高いモラルと衛生観念を持つことが重要である。以下のように従業員教育を実施し、定期的にその知識と厨房での実践状態をチェックリストで確認していただきたい。

<1>食中毒を防ぐ基本は
食中毒に対する基本的な知識。食中毒の動向に対する知識、食中毒を防ぐ具体的な知識、の3つを学ばなくてはいけない。その3つの知識を正確に学ぶには保健所の資格、食品衛生責任者の資格を取る。
食品衛生責任者の資格取得は東京食品衛生協会のHPを参照
http://www.toshoku.or.jp/

<2>食中毒に対する正しい知識
社団法人日本食品衛生協会のHPを参照
http://www.n-shokuei.jp/
食関連の事故原因である、異物混入、毒物混入、伝染病、食中毒菌やウイルス、寄生虫などの種類が詳細に述べられている。それぞれの食物は固有の菌やウイルスに汚染されているので、それをしっかりと把握させる。
次に、厚生労働省のHPで現在の食中毒の傾向、過去の食中毒の件数と原因、年度別の発生件数等を理解させる。
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/index.html
また、医者の立場からの食品衛生のデータは日本医師会のHPから学ぶ。
http://www.med.or.jp/kansen/index.html

<3>具体的な衛生管理
衛生管理の基本は食中毒菌やウイルスを「つけない、増やさない、殺す」だ。
(1)つけない
手洗いがつけない基本。
先ず手に付着した汚れや菌を落とし、次に殺菌剤で手を殺菌します。殺菌した手を手ぬぐいや前掛けで拭くとかえって細菌を付着させるので、使い捨てのペーパータオルを使用するか温風乾燥機を使用する。
サラダや刺身など火を通さない食品や,お弁当等の喫食まで時間がかかる料理に手で直接触れるのは危険だ。使い捨ての衛生手袋を使用する。
指輪や、時計をして調理をしてはいけない、指輪や時計と手の間には汗や垢が溜まり,細菌にとって住み心地の良い住処となるからだ。
食品の交差汚染を防ぐ
食材ごとに手,包丁,まな板,調理機器を洗浄殺菌してそれぞれの食材に固有の菌が他の食材に移らないようにする。特に火を通さない食材の取り扱いには細心の注意を払う。
受け取りの確認と正しい保管
品物の破損や損傷のチェックだけでなく、冷凍品はマイナス18ー22℃,冷蔵はプラス1ー5℃と言う温度で搬入されることを確認し、速やかに保管させる。

(2)増やさない。
細菌が繁殖する温度は5℃から60℃の間だと言うことを認識させる。この温度帯に食品を4時間以上おかないと言うのが原則となる。生ものは冷凍庫、または、冷蔵庫にしまう。材料の下拵えは手早く行い、下拵えの終わった生食材は,また、冷蔵庫などにしまわせる。
調理後の食材は60℃以上で2時間以内の保管が可能。冷却して翌日使用する場合には2時間以内に5℃以下に下げる。そして翌日再加熱して使う場合には75℃まできちんと再加熱する。


(3)殺す
加熱調理
堺市の学校給食を原因とした大規模な食中毒事故を契機に食材の調理温度を明確にしなければならなくなった。厚生省が中心となり「大規模食中毒等対策について食品衛生調査会食中毒部会」が設置され、平成9年3月17日に「大規模食中毒等対策についての食品衛生調査会食中毒部会検討結果等について」が発表された。学校給食などの大規模な給食設備で働く方はその内容を勉強しなくてはいけない。
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0317-3.html
基本的には全ての食材は中心温度が75℃で1分間加熱すれば殆どの菌は死滅する。

殺菌剤
包丁、まな板、調理機器、テーブル�などの機器類の洗浄と殺菌に使う洗剤と殺菌剤を正しく使う。

店舗衛生診断書
店舗名____ 責任者名____ 診断者名____ 実施年月日___
A B C F 改善ポイント
5点 4点 3点 0点

1.衛生教育
調理人は衛生管理責任者の講習をうけている
従業員への衛生教育を定期的に行っている
インターネットを使って情報を入手している

2.衛生対策(外部依頼)
検便を行っている
水質検査を行っている
定期的なグリーストラップの清掃を行っている
定期的な殺虫殺鼠を依頼している
定期的な水槽清掃殺菌を実施している

3.空調設備
客席、厨房の空調機器は正常か
空調機器の定期的清掃は行われているか
排気ダクト清掃点検は定期的に行われているか

4.調理機器の状態
グリドルの温度は正しく均等か
オーブンの温度は正しく均等か
電子レンジの加熱速度は正常か
フライヤーの温度は正しく均等か
上記の機器の清掃はなされているか

5.手洗い
洗い方(30秒間ひじから下をもみ洗い)
頻度 (必要時、最低30分に1回)
洗浄殺菌洗剤の使用(厨房: 倍、客席: 倍)
爪用ブラシの常備�容器
洗面器のクレンリネス

6.調理人身だしなみ
白衣、ユニフォーム



ひげ
帽子のかぶり方
傷のある者、病気中の者(���������不可)

7.魚の加工
(朝)
前日の閉店時の包丁、まな板洗浄殺菌状態
シンクの洗浄殺菌
器具の洗浄殺菌(器具別、����の使用法)
作業台殺菌
冷蔵庫冷凍庫殺菌
洗浄殺菌洗剤の使用法(温度�使用量)
(営業中)
室温の状態
魚をおろす際の衛生状態
舟形シンクの殺菌
包丁の殺菌
殺菌液計量カップの使用
殺菌液の交換と(2時間に1回交換)
(夜間)
舟形シンクの洗浄殺菌
まな板洗浄殺菌
包丁の洗浄殺菌
まな板包丁の温度殺菌
布巾の洗浄殺菌
グリストラップの清掃

8.煮物、揚げ物、焼き物
鍋の洗浄殺菌
器具の洗浄殺菌
調味料の保管方法
各器具の洗浄殺菌
周囲の洗浄殺菌
オーブンの温度調整

9.盛りつけ、ディシャップ
布巾洗浄殺菌(青と白)
盛りつけ台アルコール消毒
盛りつけワゴン車アルコール消毒
食器のアルコール消毒
盛りつけ時の手袋着用
ペーパータオルがあるか
次亜塩素酸ナトリウム溶液の確認

10.野菜加工、下ごしらえ
盛りつけ台洗浄殺菌
冷蔵庫、冷凍庫の温度
冷蔵庫内殺菌、整理
包丁、まな板の洗浄殺菌

11.倉庫
厨房出入り口の扉の状態(営業時)
冷凍�冷蔵庫の温度
清掃用具の状態
����������の清掃
���棚の整理�整頓
����の絞り器、�������の状態

12.その他
布巾 (殺菌�保管�使用状態)
��������������はいないか
���置き場の������
���の衛生状態
冷凍�冷蔵庫の衛生状態
殺虫殺鼠実施状態�定期消毒

13.洗剤の種類
中性洗剤(名前)
次亜塩素酸ナトリウム(名前)
手洗い洗浄殺菌剤(名前)
食器洗浄機洗剤(名前)
その他

14.食器洗浄機
洗剤の種類は正しいか
洗剤の濃度は正しいか
洗浄ノズルにつまりはないか
リンス温度は85℃以上あるか
定期的なメインテナンスをしているか
メインテナンス記録はあるか

15.接客担当者の身だしなみ
従業員のユニフォームに汚れはない
従業員の靴に汚れはない
従業員の爪は短く衛生的か
メーキャップは濃すぎないか
香水の匂いはきつすぎないか

16.客席
トイレの清掃頻度
手洗い洗剤の備えはあるか
手の殺菌剤はおいているか
ペーパータオルかドライヤーの備えがあるか
客席ドアーの隙間から風が入り込まないか
空調機器は正しく作動して適温か

小計
A…100~93%  B…92%~85%  C…84~77%  F…76%以下
得  点 達 成 率 今月評価

4)業界としての対策

今後は食材別、国別、菌別、事例別、の危険を分析予測し、世界レベルで情報を入手し、常に代替えの対策を立案していく必要があるだろう。日本の外食企業団体は、ホテル関係が運輸省系、レストランチェーン関係が農水省系、中小の飲食店及び旅館病院が厚生労働省系、学校給食が文部省系、と4省に分断されており、必ずしも業界団体としての結束ができておらず、危機管理に必要な具体的な対策、研究が十分になされていないのが現状だ。今後は外食団体として一つになり、食の危機管理に対して積極的に対策を行わなくてはいけないだろう。
また、ホテル学校や大学のホテル観光学部は存在するが、米国の大学のように外食学部がない。産業として生き残るためには基礎的な実務を教える外食学部を大学に開設する必要が出てくるだろう。

<食関連の事故に関しては以下のHPを参考にしていただきたい。>
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/#iyaku
国立医薬品食品衛生研究所
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/index.html
日本食品衛生協会
http://www.n-shokuei.jp/
日本医師会の感染病情報
http://www.med.or.jp/
感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/
米国の中央疾病予防センター
http://www.cdc.gov/

<筆者にお問い合わせの方は>
詳しく衛生管理を学びたい方は筆者執筆の以下の本を読んでいただきたい。
有害微生物管理技術 第2巻 製造・流通環境におけるエンジニアリングとHACCP
第6章 ホテル・レストランの衛生管理システムの実像
共著(2000年 株式会社フジ・テクノシステム)
給食マネジメント論 共著(2004年第一出版)

著書 経営参考図書 一覧
TOP