マックの裏側 第9回

マクドナルド時代の話

フレッド・ターナー氏に大きな影響を受けたジョン・朝原氏が日本マクドナ
ルドに与えた、店舗マネージャー向け教育内容やシステムをもう少し見てみよ
う。マクドナルドのマネージャーの基本は、お店の状態QSCの管理だ。具体的
には、マネージャーが店舗で働いている時の基本がフロアーコントロール(店
舗営業中の客席・厨房などの店舗状態管理)だ。以前説明したが入社時、よく
わからなくて、忙しい時にクルー(アルバイト)のやるべき作業を手伝ってい
て怒られた。高い給料をもらっている正社員マネージャーが、賃金のはるかに
安いアルバイトと同じ作業をするのは採算が合わないという理由だ。マネージ
ャーは文字通りマネージメント(管理)、具体的にはクルーの作業指示だとい
うことだ。店舗クルーの仕事ぶりを観察し、最適の状態にすることだ。忙しい
時にはアルバイトの習熟度や適性により、その作業に向いていない場合があ
る。各クルーの作業と店舗の状態を観察し、最適の人員配置により効率は20%
以上も向上する。ピーク時にはクルーの作業の習熟度を瞬時に見分け、最適の
位置に配置替えをする。マクドナルドはクルーの作業を細かく分類し、それぞ
れの仕事内容を細かく決めている。仕事を始めたばかりで慣れないクルーであ
っても、すぐマスターし、得意な作業が必ず出てくる。私が入社したころは、
レジを6~10台ほど並べていた。お客様が均等にレジに並べばよいが、真ん中
等の並びやすいレジに集中しがちだ。なれないクルーが真ん中の忙しいレジに
いると遅くなる。配置換えをし、ベテランのクルーを忙しいレジに入れると、
客裁きが向上する。接客の作業を考えてみよう。作業を分解すると、あいさつ
と注文受け、商品の代金の授受、商品の取りそろえ、商品の持ち帰り用への袋
詰め、商品の手渡しと再来店の挨拶だ。暇なときには一人でやる作業もピーク
時には複数の作業に分けられる。ベテランのクルーをトレーナーとして組ませ
一つの作業をさせる。そうすれば労働力として作業させながらトレーニングが
できる。この仕組みはドライブスルーに活用されているし、最近の接客にも使
われている。注文受けと会計、商品の準備、商品の受け渡し、を分ける形だ。
暇な時間になったら慣れないクルーを少しづつ忙しいレジにつけたり、難しい
作業をやらせる。
この作業を分解し、それぞれ手順を明確にし、どのような順で行うかを決め
た、S.O.C.(ステーション・オブザベーション・チェックリスト)に発展し、
全作業を30か所以上に分類し、きめ細かく作業を学ばせた。このシステムの完
成により新人アルバイトを15時間で戦力化できた。

細かい内容は
https://www.sayko.co.jp/article/syogyo/syokuhin/95-04.html
を見ていただきたい。コンビニ向けにしてあるが元はマクドナルドのs.o.c.
だ。

古い手作りのチェックリスト
https://www.sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/97/97-01.html

この作業を細かく分析し、どの職位になったら、どんな仕事があるか明確に
したのが、職務基準書で、これにより、社員の育成も明確で速くなったし、評
価基準も明確になり、昇進基準もわかりやすくなった。

また、ピーク時には十分な食材が厨房にないといけない。マネージャーは出
勤したら、マネージャー間連絡帳や前夜の食品在庫表、次回配送予定表や発注
書を閲覧し、常に食材の在庫状態を把握し、倉庫から厨房に移動する。場合に
よっては食材の在庫が不足する。食材の在庫と、次回の食材配送を計算し、不
足するような場合は他店舗から借りたり、メーカーに発注量を追加する。当時
は、ビッグマックソースや、タルタルソースを店舗で作り、レタスをカットし
ていた。チーズもブロックのチーズをスライスしていた。それらがピーク時に
なくなると売り上げにマイナスで混乱する。売るべきサンドイッチができず、
売り上げを逃す。開店前に売上予測に合わせた適正な食材を準備し、ピーク後
に追加準備する。また、店舗の調理機器が正常に動いていないといけない。調
理温度や調理時間をきちんと設定しておく。店舗内を歩き回りながら、食材の
状態や調理具合を観察し、問題があれば調節したり、営業後に調整や修理をす
る。店舗を歩いているときは見るだけでなく、調理機器の温度を手で温度を見
る。大型の電気加熱機器はコンセントが緩んでいると加熱し、放置すると焼け
こげ使えなくなる。歩きながら各調理機器のコンセントを触って異常がないか
見ていく。
https://www.sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/97/97-03.html

これらのフロアーコントロールはベテランにならないとスムーズにできな
い。ちょっと職人芸に思えた。マクドナルドのすごいのは、職人芸を分析して
だれでもできるようにする。フロアーコントロールの際にいろいろ気が付くこ
とをアウエアーネスawareness(注意深さ、気づき)と一言で表現した。アウ
エアーネスとは店舗内を歩くときに、五感を使って状態を観察することだ。互
換とは、視覚(見る)、聴覚(音、聞く)、触覚(触る)、臭覚(臭い)、味覚(
味)だ。と問えば食材の準備や保管状態を見る際に、視覚(見る)で量や状態
(冷蔵庫の温度、賞味期限)を見る。次に触覚(触る)で冷蔵保管の温度を確
認する。聴覚(音、聞く)で調理の正しさ(オニオンのカット技術)を判断す
る。臭覚(臭い)でソースの賞味期限を判断する。味覚(味)で味に問題ない
か腐敗していないかを判断する。各セクションで五感をどのように使うか覚え
ていく。そしてベテランのマネージャーと一緒にフロアーコントロールをし、
気づいたことの内容を比較する。お互いのメモをしながら気が付いたことを記
録し、見せ合う。ベテランと新人の気づきの違いは歴然だ。普段からメモを持
ち記録し、徐々に気づくことを増やさせる。マクドナルドはそのアウエアーネ
スを重視し、店長に次ぐ職位のファーストアシスタントマネージャーの昇進試
験に取り入れた。昇進試験と言っても、ペーパーテストでなく、実際のフロア
ーコントロールを他エリアのスーパーバイザーがチェックする。上司部下の関
係がないと客観的に評価できるからだ。

当時のファストアシスタントマネージャーチェックリストだ。
https://www.sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/97/97-02.html

当時のフロアーコントロール
https://www.sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/97/97-04.html

作業配分では、時間帯の売り上げを予測し、だれがどの作業を担当するの
か、休憩は何時に出すのか、など細かく予測し決めておく。TO DO LISTとい
う一日の予測される作業予定リストを作り、忘れないようにする。
https://www.sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/96/96-10.html

日本マクドナルドは藤田田氏が直営店にこだわったので、当時は90%が直営
店だった。それで利幅の薄いファスト・フード・ビジネスで利益を出すには、
優秀な人材の確保とその教育システムが大事だ。店舗の安定性と社員の育成に
は矛盾がある。店舗を安定させるには、社員をあまり移動させないほうが良
い。全社員の入社以後の在社月数と、その職位の経験月数、その店舗での在籍
月数を見ていく。しかし社員の教育を考えれば、暇な店、売り上げの高い店、
繁華街立地、ドライブスルー,商業施設内店舗などいろいろ経験させたほうが
良い。異なるスタイルの上司を経験したほうが良い。また、地区によりビジネ
ス習慣や、顧客行動が異なるので、関東から関西という移動を経験させるとよ
い。在社月数とその店舗での在籍月数の平均が長いほど店舗の運営は安定す
る。在籍するクルーと、社員の人間関係が安定するからだ。また、新店舗開店
が、全国平均であればよいが、ある地域に偏ると、その地区の社員の経験が浅
くなり店舗運営は安定しない。

その社員の管理のために、入社年月日(会社在籍月数)、職位と該当職位の
経験月数
当店の在籍月数、年齢、過去の店舗経歴、過去の上司、過去数年間の評価推
移、トレーニング状況、過去の職歴、学歴、家庭状況(転勤の可否)の全員の
データーを一覧表にして地区別の偏りをチェックした。
https://www.sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/2003/2003-05.html

人事評価を行うには

職務基準書に基づく評価表は
QSC基準の明確化
人物金基準の明確化
キャリアプランとトレーニングカリキュラム
目標管理
評価の伝達(コミニュケーションのトレーニング)
評価の結果(昇進、降格、昇給、減給、賞与額決定)
評価のフォローアップ
評価の記録と進行チェック
の9つのステップが必要になる

1)職務基準書に基づく評価表の作成
評価基準とは職務基準そのものである。その職務基準を文書にしたのが職務
記述書である。職務基準を明確に定めた職務記述書がないと評価はあいまいに
なり、上司や、経営者の気まぐれで評価を行い従業員に不公平感が出る。

職務基準は各職位の仕事と責任、権限を明確にしたものだ。各職位、店長、
アシスタントマネージャー、アルバイト、アルバイト責任者、スーパーバイザ
ー、ディストリクトマネージャー、運営部長で定める。

職務基準に基づき評価表を作成するのだが、余り複雑に作る必要はない。QS
Cと人物金の管理、従業員の自己管理と、目標管理という、シンプルで明快な
内容で十分だ。

店長、アシスタントマネージャー、アルバイトの評価もほぼ同じ項目で評価
する。Q、S、C、人、物、金、自己管理、目標管理の大きな項目は同じだが、
職位により各項目評価の比重は異なっていく。新入社員であればQSCが最も優
先順位が高いが、店長となればそれよりも人物金の管理のウエイトが高くな
り、最終的には予算売上と利益の確保が最重要評価となる。

2)QSCの基準の明確化
評価表で重要なウエイトを占めるQSCを評価するには、評価者の気分や勘に
頼っては不公平だ。何時も同じ評価基準に基づいて客観的に評価を行わなくて
はいけない。通常のQSCの評価は客の立場から見た簡単な評価を短時間でつ
け、良い点、悪い点を明確にしておく。口頭でQSCの評価をするのではなく、
定型のチェックリストを作成し、だれでも客観的に理解できるようにしてお
く。このチェックリストに基づいて採点する場合、点数にこだわるだけでな
く、そこにいる人間の行動がQSCにどのように影響しているかというフロアー
コントロール能力を評価する。当たり前のことだが、このQSCの評価がそれぞ
れの従業員のQSC評価につながるので、毎月一回は店長やアシスタントマネー
ジャー、アルバイトマネージャーのいる時間にその評価をつけておく必要が
ある。そして、過去のチェックリストの流れを見て、それぞれの従業員がど
のように能力を上げているのかに主眼をおいてQSCの判断をしていく。

また、年に1回は店舗の総合的なQSCと人物金の管理を総合評価する。短時間
のQSCでは静態的な店舗の状況判断だが、店舗総合診断は店長や部下の役割を
浮かび上がらせることができ、それぞれの能力が明確になる。店舗総合診断は
店舗の開店業務からピーク時まで店舗を見学し、QSC、従業員、商圏の変化、
競合店の状況などを把握してから評価をおこなう。店舗に赴く前には経営上の
数字、P/L、売り上げ推移、管理上の問題点など全て頭に入れておく。当日の
店舗だけではなく、エリア店舗の数字も頭に入っていなければならない。もし
なにか問題点があれば、該当店だけか、スーパーバイザーエリアか、ディスト
リクトマネージャーエリアか、部長エリアまで共通の問題点かということまで
解析しなければならない。本社には色々な書類と数字が提出されているがそれ
が本当に妥当な数字なのかを現場を見ながら判断し、過去の店舗訪問時の状態
と照らしあわせながら、評価をつけていく。

3)人物金の基準の明確化
人物金については、日報、週報、月報、損益計算書、経費分析書、ワークス
ケジュール表、発注書、品質管理書、等の書類を整備し、それらの数値基準を
明確に定め、評価を客観的に行えるようにする。ここでは数値だけを論じるの
ではなく、人物金の管理の内容がどのようにQSCに影響しているかを見てい
く。また、数値は絶対値が大事なのではなく、傾向としてどのように改善をし
ているのかという動態的な数値を判断していく。赤字店舗であっても、優秀な
店長は赤字幅を減少させることが可能であり、それを評価してあげないと努力
している社員のやる気がなくなるからだ。売上が高くて利益のある店舗を管理
するよりも売上が低く利益が出ない店を運営していく方が遙かに難易度が高い
からだ。売上の高い店舗や低い店舗での運営の経験がないと、評価者は正しい
評価を下すことはできない。人事部の担当者には店舗経験が必要不可欠なの
だ。

4)キャリアプランとトレーニングカリキュラム
前回にキャリアプランの重要性とトレーニングカリキュラムの作成を述べた
が、評価の際にはこれらを連動させる。どの職位にいてもトレーニングカリキ
ュラムを進行しており、評価の際にはその進行状況も確認しなくてはいけな
い。仕事の結果だけを評価しても、仕事を向上させるための能力開発や教育を
同時に行わないと、仕事を効率よく達成することはできないからだ。

入社直後の新入社員の場合は特にトレーニングカリキュラムの進行状況確認
を評価の際に行うことにより、店舗や店長によるトレーニングの進行状況の差
違が少なくなる。

5)目標管理
評価の手法には目標管理評価と絶対評価の2通りのやり方がある。現場管理
を行う運営や営業部の仕事は標準化されており、行う仕事や評価の基準は一定
であるので、職務基準に則り同じく評価を行う。

しかし、スタッフ部門の場合定型的な仕事ばかりでないし、状況に応じて業
務内容や重要度が変化していくので、絶対評価制度が馴染まない場合がある。
その場合にはスタッフの業務を分析し、本人に業務上の目標を立てさせ、それ
を評価者とディスカッションし、適正な目標を定め評価を行う目標管理制度を
取り入れる。

店舗運営ラインも絶対評価だけでなく、目標管理も一部必要になる。評価を
行い能力向上に必要な仕事の進め方が発見された場合にトレーニングカリキュ
ラムだけでそれを改善することはできない。本人に目標を立てさせ、具体的に
マンスリー、ウイークリーの仕事で具体的に毎日何を行うのかを明確にしなく
ては、具体的な能力向上は図れないからだ。
そのために評価表とあわせて目標管理表に記入させ、能力の向上状況をチェ
ックしていく。目標管理表には具体的に達成可能な目標を書かせ、毎月確実に
目標を達成し、業務達成能力が着実に身に付いているかどうかを確認する。も
し、毎月同じ目標を立てるようであれば、目標の建て方が悪いのか、目標を実
行する時間がないのか、上司が無理な目標を強いているのか、人員が不足して
いるのか、等、フォローアップを行わなくてはいけない。

6)評価の伝達(コミニュケーションのトレーニング)
評価システムを導入していても、被評価者にその内容を正しく伝えていない
と効果が出ない。良い評価を与えた場合でも悪い評価を与えた場合でのその理
由と次回までに改善して欲しい内容を明確にし、本人とどのように評価を上げ
るようにするかを話し合うコミュニケーションが重要になる。評価とは点数を
つけることではなく、批評価者にやる気を起こさせることなのであり、評価を
どのように向上させるかを話し合うことは最も重要なことである。

評価を伝える場合はアシスタントマネージャーに対しては店長が、店長に対
してはスーパーバイザー、というように直属の上司が伝えることになるのだ
が、往々にして一方通行の伝え方になりやすい。それは評価のやり方をトレー
ニングしていないからだ。評価のトレーニングはOJTしかない。店長が部下に
伝える評価日を決めて、それにSV、ディストリクトマネージャー、運営部長、
(以下中間管理職とする)が参加して評価に立ち会うことで、評価が公平性を
確認できるし、店長にコミュニケーションのやり方をトレーニングすることも
できる。

評価の際の注意点

評価を定期的に行いそれを本人に伝えているか?
評価の基準は明確になっており、事前に本人に評価基準の説明をしているか?
評価は文書になっており、全員同じ評価基準に基づいて評価されているか?
評価をする際には、本人に伝えるだけでなく、本人の意見も聞いているか?
目標管理を達成できるようにスケジュールをしているか?
今月の評価が悪ければ次回までに改善できるような教育を実施しているか?
評価はくつろいだ雰囲気で個人的に実施されているか?
評価を改善させてやるという気持ちが上司から部下に伝わっているか?
上司の中間管理職と経営者が定期的に評価に参加し、部下の評価の公平性を確
認しているか?

7)評価の結果(昇進、賞与の決定)
評価の結果を金銭や地位に換算して伝える必要がある。最近は能力評価を行
うために年俸制などが言われているが、外食産業のように業績の変動の激しい
仕事では年に一回の評価では不十分だ。年に3-4回の評価を行い、その結果を
収入に反映させないとやる気が出ない。従来は昇給評価があったが、もう年功
で昇給する時代は終わった。月給は職務により決まる職務給でなくてはならな
い。そうすると評価の結果を反映させるのは賞与となる。賞与は夏冬の2回
と、決算月の利益に応じて支払う決算賞与とする。これで年に3回だ。また、
給与だけでなく、能力に応じて昇進をさせることによりよりやる気を引き出せ
るだろう。

8)評価のフォローアップ
評価を何回かつけていくと、何時も同じ欠点を指摘することに気がつくこと
がある。それは評価の後で、被評価者が能力アップできるようにトレーニング
等のフォローアップをしていないからだ。評価の際に次回までの改善方法を目
標管理に記入させ、それを毎週、毎月の予定に明記させ、何時までに何を改善
するのか、それに必要なトレーニングは何か、それをだれが教えるのかを明確
にする。評価者も言いっぱなし出なく、指摘した点が改善できるように一緒に
仕事をしなくてはいけない。このフォローアップを行うことにより批評価者の
信頼を勝ち取ることが可能になる。

9)評価の記録と進行チェック
店長やSVは評価をする部下の数が多いので、効率よく評価制度を運営しなく
てはいけない。そのために部下の過去の評価の流れ(評価ヒストリー)やトレ
ーニングカリキュラムを文書化し、常にチェックをして、今何をしなければい
けないかを明確にする。個人個人の過去の評価状況を記録しておかないと、人
事異動や上司の移動の際に、こまるからだ。
店長職務基準書、評価表、目標管理、社員評価記録、

店長職務基準書

目的

自店舗の人材育成、店舗運営基準、売上、利益の問題点を発見し、問題解決を
とる。
リーダーシップを発揮して店舗目標を設定し、部下の能力を最大限に高める。
短期、長期の目標を達成し、店舗の売上、利益、店舗運営基準、人材育成の向
上を図る。
地域に密着した住民に愛される店舗づくりをする。
資格

店舗の社員、アルバイトの全員をまとめ、強いリーダーシップを発揮できる
者。
社内の規定のトレーニングコースを受け、店長に昇進できる知識を有する。
主な職務

店舗運営基準、売上

店舗運営基準評価表を作成する。
商圏、主な競合相手、大型店などの集客施設を確認、分析し、適切な改善を起
こす。
全社的な販売促進計画に基づいて、店舗の販売促進計画を立案する。
最高の店舗運営基準を維持するためにアルバイトスケジュールの最終チェック
を行う。
損益計算書

月間、年間の利益計画の立案と実行。
月次損益計算書の軌道修正と、実施。
損益計算書フォーマットの管理を行い、支払いの確認を行う。
社員トレーニング

社員勤務予定表を作成する。
全社員の評価を行う。
部下の社員のトレーニングをする。
部下の社員のトレーニングカリキュラムの管理をする。
人事異動、昇格、昇進の進言を上司に行う。
店内会議を開催する。
従業員に積極的な態度を維持させる。
新しい料理導入のトレーニングを実施する。
アルバイトトレーニング

アルバイト採用にあたっての労働基準法を守らせる。
アルバイトのリクルート及び維持のための必要人数を算出し、確保する。
アルバイト教育システム、評価システム、を管理する。
アルバイトの採用に関しては、全責任を持つ。
アルバイトミーティング、個人面接を行う。
アルバイト達とのレクリエーションを立案実行する。
書類管理

月次、週に一回、売り上げ日報、食材発注管理のチェックを行う。
月末書類の確認を行う。
管理

防犯、労災安全、衛生の管理を行う。
事故、クレームの処理を行う。
施設、建物、などの資産の管理を行う。
売上金及び釣り銭、小口現金の管理を行う。
重要書類やマニュアル類の管理を行う。
その他

外部との交渉をする。
アルバイトのモラルを維持する。

店長評価表、目標管理、社員評価ヒストリー、評価の結果、は以下のサイトを
ご覧ください。
https://www.sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/2000/2000-08.html

年に1回は店舗の総合的なQSCと人物金の管理を総合評価する、という点では
筆者が、関西地区運営部長時代に担当地区の四国に、ジョン朝原氏が来て、一
緒に作成した。それがコミュニケーションデーというシステムだ。店舗ではマ
ネージャーの評価を毎月、店長がスーパーバイザー立ち合いで行う。筆者はそ
こに担当統括SVを立ち会わせ、そこに筆者が参加することにした。目的は、マ
ネージャーの評価を具体的に行っているか、具体的な資料を使って分かりやす
く行っているかだ。さらにマネージャーを育成するための目標管理の進行と与
える仕事が適正かということだ。

さらにジョン・朝原と開発したのがSVのトレーニング方法(1石3鳥)方式
だ。筆者は米国に2年間シリコンバレーに駐在責任者として駐在する前は、統
括SVとして、部下に具体的に指示するスーパースーパー統括SVであった。部下
のSVやマネージャーが何を考え問題を解決しようと考えているか、全く考えて
いなかった。店舗現場で指示すると命令に従うだけで、問題点を判断できない
し、解決方法も思いつかない、ということに気が付かなかった。それが米国に
2年間シリコンバレーに駐在する間に店舗オペレーションが衰えてしまってい
た。しかし、米国に2年間駐在する間に、相手がどう思っているか、どうしよ
うとしているかを観察することを身に着けた。日本では部下に命令すれば、ど
う思っているかにかかわらず、ハイと言って従う。しかし米国人は異なる。筆
者が米国に赴任してすぐに店舗で、女子スイングマネージャーに命令した。す
ぐはいと言って従うと思っていた。しかし彼女は筆者の命令の根拠を聞いてく
る。まだ英語の不慣れな筆者は立ち往生してしまった。これは女性スイングマ
ネージャーだけでなく、全員がそうだった。この経験で、相手に分かりやすく
具体的な内容を伝えられるようになった。
具体的な命令はできないが、なぜそれをするのかの質問はできるようになっ
た。また、問題点を具体的に示せるようになった。日本に統括SVとして帰国
し、関西地区本部で、中国四国地方を担当した。当時は社員のコミュニケーシ
ョンが大事だと、店長,SV、統括SVが仲良く飲み会やゴルフをやっていた。
またSVや統括SVが店舗を訪問する日時を伝えていた。筆者が初めて店舗を
訪問し、エリア引継ぎをする際も盛大な宴会を開いてくれた。その後も店舗訪
問すると必ず宴会を開く。しばらくして違和感を覚えた筆者は、予定を隠し抜
き打ちに店舗を訪問した。統括SVの予定はスケジュールを事務員に渡す。実
はそのスケジュールをSVや店舗が聞きだし、私の訪問に合わせ、マネージャ
ーが店舗で忙しそうに働いていたのだ。そこで無予告で訪問することにした。
当時は会議で月に2回東京本社に行って、終わったら一泊し、大阪に帰ってい
た。そこで翌朝、朝一番の飛行機で四国にわたり、開店前の店舗を訪問した。
担当SVが開店状況をチェックする予定であったからだ。彼が到着する前に訪
問し、SVがどのように店舗チェックするか確認したわけだ。彼は遅刻し、店
舗を観察しないで事務室に直行だ。SVは店舗内外装の状態と、商品の準備状
況、保管方法を確認してから入るのだがそれをしていない。SVの緊張感がな
いので、店舗の緊張感がなく,QSCのレベルは最低だった。そこでそれ以来無予
告で訪問するようにした。
しかし、店舗の状態やマネージャーのレベル,SVのアウエアーネスを確認す
るにはSVと一緒に訪問しなければならない。でも予告して訪問では本当の店舗
の状態がわからない。 そこで部下のSVと一緒に,SVの担当以外の店舗を訪問
するようにした。SVは自分の担当以外の店舗であり、QSCの状態を気兼ねなく
指摘できる。自分のエリアの店舗であると自分の責任も追及されると、本当の
状態を見せない。他の地域であれば遠慮なく指摘できるし、店舗のマネージャ
ーにもわかりやすく観察した問題点を説明でき、部下とのコミュニケーション
能力も身につく。非常に手間がかかったが、これにより、あるSVの道徳的な問
題点や、評価の良いマネージャーの問題点を発見できた。

このようにジョン朝原氏は、同行し、店舗マネージャーやSV、筆者が何を考
えてどうしようとするのか考えさせ、能力を身につけさせていったのだった。
これだけの実績があるジョン朝原氏を退任させ、米国マクドナルドは3代目社
長に社外からハンバーガービジネスを全く知らない原田氏をスカウトし、徹底
的に破壊したのであろうか?
これは、これからじっくりとご説明しよう。

続く

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務める。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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