ご意見番 業界ニュースを斬る「食品リサイクル法について」(日本食糧新聞社 外食レストラン新聞2001年5月12日)

食品リサイクル法について
リサイクルより発生抑制を
メニュー開発や調理技術で工夫
リサイクル法の中身を見ると、ポイントは(1)ゴミを出さない(抑制)、(2)量を減らす(減量)、(3)リサイクル(再生利用)。このうち(2)の減量が一番簡単で、みながこれに取り組んでいる。外食産業はコストダウンを目指しているから、乾燥などによって重量が減らせれば処分料も安く上がる。小さい乾燥機を店において処理し、どこかに運び堆肥にすればいい。

一番難しいのが(3)の肥料化だろう。これに取り組んでいるのが大手企業の給食部門で環境ISOを取得していることから環境問題には積極的だ。しかし調理済みの残さは塩分、油分を含むため、微生物が死んで畑がやせてしまう。また輸入食品の菌が混ざっているものを農地にそのまま入れていいのだろうか。

スウェーデンではバクテリアの研究が進んでいるが、日本は遅れていて、まだ機械も菌も未完成。農家としても安定しない肥料を使うのはリスキーだろう。

(1)ゴミを出さないことが外食企業の一番取り組むべき課題だ。先日マクドナルドが「メード・フォーユー」の導入を発表。これまで提供時間を早くするため作り置きしていたので、売上全体の1.5%ぐらいの廃棄物のロスがあった。

米国ではピクルスやマスタードを抜いてほしいという味の注文が多い。そのため注文を受けてから作るというシステムをつくった。米国ではサービス向上が目的だが日本では環境対策を意識している。メード・フォーユーによってロス率は0.1%ぐらいに減ると思われ、年間50億円のコスト削減ができるという。

外食産業に必要なのが発注予測システム。スーパーやコンビにも当てはまるが売れるものだけ作る。

またメニュー開発も重要になってくる。食品メーカーはごく当たり前にやっていることだが、お客さんの趣向に合わせて味付けを変えていくということを、外食もこれから真剣にアプローチしなくてはいけない。

料理の提供の仕方も変わってくるだろう。付け合わせのポテトやニンジンを残す人は多い。老齢化が進めば、ちょっとだけ食べたいという人も出てくる。習慣とかサービスの内容を見直して料理を残させないテクニックが求められる。

また、調理段階でゴミを出さない。調理済みを急速冷却して必要に応じて温めクックチルなど、添加物を用いず、日持ちを良くし、かつ廃棄を減らす仕組みを考え直さなければいけない。企業の給食や先日大阪にオープンしたユニバーサルスタジオなどではクックチルの導入が早い。

油も工場で一時揚げしたのを厨房で二度揚げしているが、色をつけるだけならオーブンを使えば余分な油を使わなくてすむ。

技術的な問題がいろいろ出てくるが、よりロジカルで科学的なアプローチができるかどうか企業の能力差が一番表れるところだ。

食品リサイクル法の一番のギャップは外食産業は経費ダウンの方法と考えていることだ。業態や商品によって三つのポイントのどこに重点を置くかは異なるだろうが、本来の目的はゴミを減らすことで、乾燥して処理を外部に委託するだけでは問題は解決しない。

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