AV店の経営手法 第13回「管理者の時間管理」(エーブイデータ出版 AVデータ)

管理者の時間管理

チェーン店のSVや経営者の最大の課題は多量の仕事を有限の時間で処理しなくてはならないことだ。

管理者として色々な業務が増大し時間がとられるのに、店舗のオペレーションは問題が山積みで休む時間をとれない、とれないからいらいらしてマネージャーと旨く行かなくなると言う悪循環の毎日で、抜本的な対策に迫られてくる。それが時間管理だ。

効率的な時間管理
仕事が多岐にわたるようになると必ず、ミーティングを忘れたり、約束の期限を忘れれるようになるし、仕事がたまる一方だ。時間は限られているから、効率よく仕事を進めなければいけない。
仕事が多岐に渡ってくるので、その都度忘れないようにメモ帳に書き込んでいく。普通のノートの用になっていると後で分野別の整理が出来ないのでバインダー式のメモ帳を持ち、一件一枚のメモに記入するようにする。そして、そのメモは優先順位別に色分けし、翌日にその重要度の高い物から処理する。

それがToDoListと言う考え方を取り入れた時間管理だ。基本的には米国的な合理的な時間管理の考え方である。この合理的な時間管理の考え方を詳細に見てみよう。

時間管理の手法
目標を達成するには業務別に優先順位を決め、時間配分の計画をたてる必用がある。これを行動計画と呼ぶ。どんなに優れた計画でも、時間を加味しないと役にも立たない。管理者は仕事のための一連の行動計画を立て、自分の時間をうまく管理しなければならないのだ。
管理者として成功するポイントは無駄な時間を無くすことだ。時間を有効活用するには仕事内容をわかりやすく簡単に整理し、優先順位を決めることだ。計画は往々にして変更されたり、新たな目標や仕事が与えられる場合が多い。その場合には直ちに仕事を整理し、何が優先順位か再検討をする。あまり机に座ることなく(机に座っても販売量が増加するわけでなかいからだ)必要な書類を整理整頓するこつを考えなくてはならない。仕事を効率よく片づけるには、各仕事の重要性、時間量、を測定し無駄な労力と時間を消耗しないようにする。

時間の浪費を引き起こす物
時間の浪費は誰でもしがちだ。時間の浪費を習慣づけない為には、常に「今のこの時間はどう使うのが一番良いのか?」と考える。必ず目的を持って行動し、それが成果が出せるようにしないと、時間の浪費となる。
自分の時間浪費をしている箇所に思い当たればそれを修正すればよい。時間を浪費すればどこかでしわ寄せが来て、休みが取れなくなったり、仕事の達成度が低くなる。仕事に優先順位をつけ時間を浪費しなければもっと生産性の高い仕事が出来るだろう。

時間浪費の主な原因

電話による中断
約束の無い訪問者
会議(予定あるなしにかかわらず)
不測の緊急事態
目標、優先順位、期限の欠如
乱雑な机とだらしない性格
他人に委譲できる細かな決まりきった仕事まで自分でやってしまうこと。
一度に何もかもやろうとする。しかもそれに取られる時間を少なく見積もること
責任と権限委譲が明確になされていないこと。
他からの不適当、不正確、遅い情報
優柔不断と遅延
不充分もしくは不明確な伝達と指示
「N0、いや、だめ」といえないこと。
上司が部下の進歩と成長を把握する上で必要な情報の不備
疲労
以上のリストの内容に心当たりのない人間はいないはずだ。ではどうやってこれらの時間浪費を防ぐことが出来るのだろうか?その秘訣を見てみよう。

良い記憶力と良いファイリングシステム
柔軟な対応力を持つ。障害があってもそれを乗り越え、やり抜くことができる。
自信。いくつかの仕事が同時に重なっても、あわてず優先順位を貫くことができる。
他人と良い人間関係を築き、維持できる人。人との摩擦や喧嘩などで余計な時間を使わない。
素直な態度で人と接する。遠回しな言い方したり、人から誤解を受けるようなことをしない。
以上が時間浪費を防ぐ秘訣だが、以下に時間浪費をしがちな人の現象を見てみよう。

優柔不断な人。
仕事の優先順位を頻繁に変え、あれこれといろいろな仕事に手をつける。
完全主義者
時間の使い方が下手な人は細かい所に注意を払いすぎる。
情緒不安定名人
怒りや欲求不満、悩み等があるとそれに邪魔されて、他のことの考えがまとまらず、正しい判断ができない。
過度の緊張をしやすい人
緊張しすぎる為に、肉体的、精神的疲労が蓄積され、仕事の生産性があがらない。
不安感を何時も抱いている人
自信がなかったり、失敗を恐れて、仕事に着手できない。
もしもあなたの時間の使い方がまずいと自覚したら、真剣に努力して改善するべきだ。時間の使い方の達人の特徴を見習うと良いだろう。目標を効果的に達成するには、1秒でも大事にして、行動計画をどう実行するかにかかっているからだ。

仕事のリストアップとカレンダーの利用による時間管理
効率よく時間管理をするには以下の2点を考慮し計画を立てる。
目標に優先順位をつけてリストアップする。
目標達成のための行動計画を開発し、実施可能なように上手に組み立てる。
仕事を効率よく実施するには、時間管理は極めて重要だ。毎晩寝る前に翌日片付けたい事を全部リストアップし日々の計画表に記入すると良い。

リストアップした仕事を発生順に処理していくのでは時間が幾らあっても足りない。翌日片づけなければならない仕事の重要度、緊急性が異なるはずだ。重要度や緊急性の高い物から順番に処理すれば効率は上がるのだが、そのような仕事は難しかったり、何となく気が進まないので後回しにしようとし勝ちだ。そこで、片づけなければいけない仕事一件につき、一枚の紙に記入する。その際に紙の色を変え、優先順位や緊急性の最も高い物を赤い紙に記入し、次は黄色、緑、記録に残す物は白紙の紙、と区分けをする。「何をすることが、自分にとって最もよい時間の使い方か?」を絶えず自問自答し、それから時間のスケジュールを立て、それに従って行動する。

仕事を達成するために長時間働たと言って自己満足してはいけない。時間を浪費したために、無駄な時間をかけて仕事を終わらせたのかも知れない。かけた時間の長さと仕事の完成度は違うのだ。時間管理で大事なのは、どれだけ時間をかけたかではなく、どれだけ効率よく仕事を片づけたかだ。効率の良い時間管理は素早い、的確な行動を生み、間違っても仕事量を増やすことはない。

年度途中で会社の方針変更や、目標が追加されるといったことがあるかも知れない。こうした場合は、上司と新しい方針や目標の内容を検討して優先順位を決める。そして、新しい目標をどうやってスケジュール化するかを検討する。場合によっては優先順位を変更したり、スケジュールからはずすことも検討する。自分の仕事の成果にどう影響がでるか、担当の上司と話し合い、同意しておくべきだ。仕事を達成しても、内容を評価してくれなくては意味がない。柔軟な姿勢で目標の変更に取り組み、スケジュールを効率よく管理し、正しい評価を受けるべきだろう。

時間と労力は最も高い優先事項に費やすようにする。優先事項が複数発生したら、一つずつ手際よく処理する。デスクワークでは優先順位を守って机の上に溜まった書類を効率よく整理し、至急の用事を全部処理してから現場に戻るようにする。

時間管理に関して、管理者が無視しがちな点は、朝、昼、夜、の時間のバランスを上手に保つという点である。現場では、昼夜を問わず営業活動が続けられている。現場の営業状態をしっかりと把握するには、昼間同様、夜間も現場を回ることが必要である。バランスの取れたスケジュールを立て、部下の人たちとよい人間関係を築き、運営レベルの向上を図ると共に、現場の持つ問題や強みを把握するよう努める。

書類整理
書類整理は放って置くと膨大な量となる。書類はきりがなく溜まっていくものであり、効率よく処理しないと身動きが取れなくなる。会社の書類は次の3種類に分類される。
現場保管の書類
個人保管の書類
会社保管の書類
どの書類が上記のどの分野にあてはまるか、いったん決まってしまえば、あとは自動的に分類できる。情報をコピーすると書類を膨大に増加する。どこにどの書類が保管されているのかを知っておくようにすればよい。

定期的に保管している書類が本当に必要かどうかを考える。破棄しても問題ないか、どこかに保管できないか、ファイリングするべきか考えてみる。書類は絶えず整理をすれば書類の山に埋もれることはない。自分の時間をより効率よく使うことができるようになる。

管理者になると、いろいろなことに時間を取られてしまう。会議への出席は必用なものだけに出来るように、上司や同僚と打ち合わせをして作業を分担し、会社には何日位出向く必要があるかを決める。必要な会議には出席できるよう優先的にスケジュールを立てる。

会社に到着すると、郵便物や伝言、依頼事項、報告書等、が山のように積み上げられているはずだ。これらの処理のポイントは、重要なものから順に3つに分類することだ。Aは直ちに処理が必要な最優先事項。Cはそれ程緊急でない用件である。Bはどちらか迷うときに分類し、後でAまたはCに分類し直して処理する。

書類整理の合理化
幾ら書類を分類しても、必用なときに見つからないと言う状態になりがちだ。店舗の管理者は何時も机に座っているわけではない。顧客や仕入先で必用な書類が必要になったりする。そんな忙しい管理者には従来のような書類で管理する方法では間に合わない。従来の書類管理のノウハウは暇な時代の事務所勤務者向けだからだ。書類は全て紙に残すのでなく、デジタル化をすることが必用だ。必要な機器はノートパソコンとデスクトップパソコン、スキャナー、デジタルカメラ、CDRだ。
社内の文書は全てパソコンのワードプロセッサーで作成する。ワードプロセッサーの種類は一番ポピュラーな物にして(マイクロソフトのワードが一番普及)おく。または、テキストファイルという簡単な文字だけの情報にするとコンパクトになる。

しかし、社外の情報は往々にして紙やFAXや雑誌で送られてくるのでその保管に困ることが多い。幾らファイリングが旨くできても必用なときに探すのが一苦労だ。そこで、紙に書かれた内容をそのままスキャナーで読みとり画像の状態で保管する。スキャナーとはFAXやコピー機と同様で機能だ。FAXやコピーはその読みとった画像情報をすぐに送信したり、紙に印刷するのだが、スキャナーはその情報をコンピューターのハードディスクの記憶装置に保管する。各情報を分類し、各画像に名前を付けることにより後での検索が容易になる。その画像情報は会社のデスクトップパソコンに入れておくだけでなく、その情報をCDに焼き付けて(CDRと言う機械を使用する)持ち歩き、CDROM付きのノートパソコンで必用なときに検索する。1枚のCDにはA4の書類が14000枚も保存できるのだ。情報量が少なければCDでなく直接ハードディスクに保存しておける。

カラーのチラシや販促物もカラーの状態でスキャナーで読みとれる。カラーの場合、情報量が多いので保存可能な枚数は減少するが、それでも3000枚のカラー画像を保存できる(枚数は鮮明差により変わる)。

従来はフラットベッドスキャナーと言ってコピー機のような機械で読みとりに時間がかかったが最近はFAXの用に読み込みが簡単な機種があり、そのファイリングもわかりやすくなった外国製のソフトが日本メーカーからスキャナーと一緒に3万円以下で販売されるようになった(カラーも処理できる)。保存した画像は無料配布のビューワーで読んだりプリントが可能だ。インターネットなどでメールに添付して画像や情報を配布できる用になっている。

本社で入手した画像を店舗に配布するのにインターネット経由で配布すれば簡単だ。勿論店舗ではカラープリンターなどが必用だが、現在では3万円前後と格安で問題ないだろう。

連絡業務の合理化
店舗を動き回る管理者や経営者に連絡をするのは一苦労だ。緊急事態に対応するためにも迅速な連絡体制が必用だろう。携帯電話で随分便利になったが、携帯電話はあくまでも音声の連絡であり、場所によっては通じなかったりする。そのために色々な連絡手段を確立するべきだろう。
音声による連絡
携帯電話は便利だが、接客中や電車の中では使用できない。そのためには留守番電話機能を使用し、録音しておく。しかし、携帯電話に電波の届かない場所に伝言が入った場合には気がつかない。そのためには伝言が入ったときには転送機能を使用し、ポケットベルにその旨を連絡してもらう。ポケットベルは電波が強いので地下街などでも比較的届く。広域型や複数地域の選択をするとかなりの範囲を異動しても連絡が可能になる。

事務所や家の電話も留守伝と転送機能付きの物を使用する。営業時間外にメッセージが入った場合でも記録後にポケットベルに転送してくれるから安心だ。

FAX
FAXは便利だが、事務所にいない場合や出張している場合には不便だ。紙に印刷する機能だけでなく、メモリーに代行受信出来る機能が望ましい。FAXは常時留守伝機能に設定しておき、受信したら、それをポケットベルに転送するようにすればどこからでも取り出せることが可能だ。FAXの受信内容をテープやフロッピーに記録するタイプは不用意に内容を紛失しても後で何回でも打ち出すことが可能だ。

ポケットベル
ポケットベルは人気がなくなっているようだが、留守伝やFAXが入ったときに転送してくれたり、E-MAILが入った際にも(NIFTY)送信してくれるので便利だ。NIFTYの時間指定の送信機能を使用し、自分宛のE-MAILを発信し、ポケットベルでその内容を見て(機種により異なる)スケジュール管理をすることも可能だ。ポケットベルに転送する際には各電話やFAXからメッセージを送付できるが、そのメッセージを電話番号にするとどこにかけ直せばよいか分かるので便利だ。

インターネットとE-Mail
携帯電話などの音声情報は緊急時には便利だが、内容を正確に伝達するのには不向きだ。やはり文書や報告書などをきちんと伝達する必用がある。手紙やFAXでは時間がかかるしその場所にいないと行けないと言う不便さがある。そこで、インターネットのE-MAILを使用すれば、何時どこにいても文書や画像を送受信できる。

FAXと同じだと思う方がいるが、FAXは紙に書いたり、印刷したりする必用がある。(パソコンから直接FAXする事が可能だが)その際に宛名書きをしたり、発信人の情報を書かなくてはいけないが、メールだと自動的に出来るし、時間とコストはFAXの1/4位だ。特に海外に出張した際には便利だ。日本の事務所に送ってきたFAXを画像の状態にしてメールに送ってもらえば読むことが出来る。

送付された文書もソフトで会社別、用件別に分類でき、検索機能や並べ替え機能もあるので過去の情報のやりとりを簡単に取り出すことが出来る。

現代のように人件費を削減し、少数の人間で効率を高めようと言う時代、単なる精神論では対応できない。合理的に考え、且つ時代の最先端の情報機器を駆使するという積極性が求められているのだ。

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