NEWSな外食2006「チェーン向けの新業態開発」(商業界 飲食店経営2006年7月号)

先月号で新業態開発を述べたように「単独のブランドを展開していた企業が新業態を開発する際には、業態開発の専門家の助けを借りる必要があるのではないだろうか?」と考えて外部の専門家の助けを借りる例が増えてきている。
しかし、業態開発の専門家には得て不得手があることを忘れてはいけない。1店舗の個性的な店舗の業態開発とチェーンの業態開発の手法は全く異なるからだ。チェーン展開をする場合には1店舗が爆発的に繁盛するだけではなく、全国で立地を問わず成功しなければならない。新店舗の時には綺麗な店舗も清掃し難い材料を使い、あっという間に汚くなっては困る。デザインが良いだけではなく、耐久力を考慮した建築材料の使用も大事だ。料理も、トレンディな格好良さだけではなく、顧客の嗜好の推移を分析し、今後数年間は主力となりえるものでなければならない。
しかし、残念ながら日本には本格的な新業態開発会社が少ないのが現状だ。以前、あるファスト・フードチェーンが業態のブラッシュアップを行うために、米国の新業態開発専門の会社と組み1年がかりで新コンセプトを開発したことがある。その新業態開発会社はファスト・フードやファスト・カジュアル業態開発の専門会社だ。現在ではブランド構築最大手の子会社となっている。その開発会社はまず、企業からどのようなイメージの店舗にするかのヒヤリングを行い、米国と日本の業界動向の分析を行った。そして、消費者の持っているイメージを徹底的に分析し、新業態のイメージを向上させるために必要な、看板の色合い、素材、従業員のユニフォーム、厨房の見え方、メニューボードのデザインまで総合的に構築した。そして、そのデザインを元に実験店を開店した。
次に、依頼主のチェーン企業は新しい店舗イメージに合った商品を開発するために欧米の競合店を視察し、新商品をピックアップし自社に最適の商品の試作とテスト販売を行った。それらの地味な作業を数年繰り返し、最先端のファスト�カジュアル業態に変身させることができた。チェーン企業が業態開発会社に依頼する際にはチェーン�ビジネスの経験と実績を確認し、じっくりと取り組む必要があるのだ。

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