NEWSな外食2006「飲酒運転規制強化」(商業界 飲食店経営2006年12月号)

酒酔い運転の基準と罰則の強化を織り込んだ道路交通法が2002年6月より施行され、郊外型の居酒屋が大打撃を受けたのは記憶に新しい。さらに、2004年に刑法が改正され危険運転致死傷罪が新設された。しかし、重大事故の発生は増える一方であり、現場での取締りが強化されたのはご存知の通りだ。郊外だけでなく深夜まで営業の飲食店も売上げ急減の大打撃を受けている。

外食産業にとっての大きな問題は売上げの激減だけでなく、客が飲酒運転を行って事故を起こしたり飲酒運転で逮捕された際に、お酒を提供した飲食店への刑事罰を課せられたり、損害賠償請求の民事訴訟を起こされる可能性が出てきたことだ。

日本に先行して米国では飲酒運転の強化が10年以上前に実施された。現在の日本と同様に店舗の責任も追及するようになった。そのため、米国レストラン協会(NRA)では急遽飲酒運転への対応の教材BAR(Bar Code:Serving Akcohol Responsibility アルコール提供の責任)を作成し、傘下の外食企業に配布した。

内容は
1) The Law and Your Responsibility 法律と貴方の責任
道路交通法や飲酒運転を規制する法律の正確な知識と、店舗及び従業員への刑事、民事上の責任を明確に述べている。
2) How Alcohol Affects The Body アルコールが体に与える影響
アルコールが体にどのような影響を与えるかの仕組みを教え、酔っ払った客の酔いを醒ますにはどのような方法が効果的かを述べたもの。
3)Techniques for Responsible Alcohol Serviceアルコール提供の際の注意点
アルコールを顧客に提供する際に、年齢、運転手が誰であるか、既に飲酒をしているかなどを見極めることの重要性と手法を述べたもの。
4)Service in Difficult Situations サービスの際の客への対応方法
酔っ払った客はアルコール提供を断ると暴れたり、文句を言ったりするがその際の対応方法をケーススタディーで明確に述べたもの。

以上のように大変具体的な内容であるが、その後もさらに飲酒問題は大きくなり、数年前に教材の改定を実施し、従業員教育を具体的に行えるようにロールプレイのDVDを作成した。
http://www.nraef.org/servsafe/alcohol/
これに対して、日本の外食団体の対応はステッカーやポスターを作って配布するとのことであり、根本的な問題解決が出来るのかと言う危惧を覚えてならない。

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