NEWSな外食2005「外食企業のM&Aと訴訟」(商業界 飲食店経営2005年5月号)

マスコミを賑わしているIT企業の放送会社へのM&A企業買収であるが、外食企業もM&Aが話題となっている。外食企業の場合、敵対的な企業買収でなく、業績不振、他業界参入組のリストラ、後継者不足、による身売りであったり、大手企業が業績を拡大する上での多角化の際に買収すると言う友好的なM&Aが多い。買収側の論理で言うと、新業態の開発には時間がかかるし、成功するかわからない。新業態を運営するノウハウの構築がない、等であり、時間を買うのだと言う趣旨が多い。
米国の外食産業もM&Aを積極的に行った。米国のファスト・フードは一時の低価格戦争から脱却し、健康志向のメニュー開発に移行しつつある。その過程で健康志向にフォーカスを当てた、ファスト・カジュアルと言う業態が出てきた。大手ファスト・フードチェーンはその影響で売上が低下するという脅威を感じ、ファスト・カジュアルのノウハウと業態を吸収しようとファスト・カジュアル業態のM&Aに乗り出した。
業界トップのマクドナルドの積極的な企業買収に負けずと、ハンバーガー
業界第3位のウエンディーズもメキシカンのバハ・フレッシュ173店舗を2002年に274ミリオンドルで買収し、295店舗まで急成長させた。その他Caf? Express、イタリアンのPasta Pomodoro等へ出資をした。しかし、鳴り物入りの企業買収は2004年第4四半期の損益が1997年以来初の赤字135ミリオンドルを記録すると言う悲惨な結果に終わった。メキシカンと言う地域の好みが影響するバハ・フレッシュを全米に広げようとしたが、既存店売上低下による赤字額増加と、店舗の閉鎖を余儀なくされている。また、多角化に目を奪われているうちに本業のハンバーガー店舗の既存店対前年売上がマイナス4%と不調だ。ウエンディーズ社は同社の新商品や販売促進を同業者が直ぐ真似をするので、売上に影響を受けたと発表しているが、実際のところ、馴れない業態への多角化を急ぐあまり、本業のビジネスも悪化してしまったというのが実態だろう。他の大手チェーンも現在では本業の見直しに取りかかり、多業態化に一服するという状況になっている。日本もこれからM&Aが本格化するようだが米国外食の状況を他山の石として慎重に取り組むべきであろう。
http://www.wendys-invest.com/ne/wen44.php

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