NEWSな外食2005「外食の海外進出」(商業界 飲食店経営2005年11月号)

日本外食企業のニューヨークマンハッタン進出ブームだ。過去1年の間に2つの和風居酒屋業態がニューヨークに開店した。BYOが展開する女性に大人気のえんと、比内鳥の焼き鳥で有名になった今井本店を経営するフード�スコープのMEGUだ。
着工から完成まで2年をかけ昨年3月にトライベッカに開店したMEGUの内装は、ファッショナブルなレストラン設計を手がける森田恭通氏のデザインによる。客席中央には大きな内側が赤く染められた梵鐘がシャンデリアのようにつり下がり、下には赤い花ビラが浮かんだ池に氷細工の仏陀がでんと座わり、赤い背景の寿司バーと妖しげな和風の雰囲気をかもし出している。料理も負けていない。大きな器に敷き詰めたクラッシュアイスを下からブルーの照明が、枝ごと差し込んだ枝豆を照らし出すなどの演出に凝っている。その他の料理も凝りに凝って、料理が出ると米国人の間から歓声が上がる。客単価はNOBUよりも若干高めの150ドルほどだろう。
さて、半年前にソホーに開店したえんはMEGUと対照的だ。設計は汐留の和食えんを設計したベテランの佐藤一郎氏。見覚えのある欄間がアクセントとして使われており、和洋折衷の落ち着いた内装だ。MEGUはグループ客が多くわいわいがやがやした雰囲気だが、客席の間隔を広めに取った「えん」は落ち着いて食事ができる。1階奥には座敷が3部屋、2階には大正ロマンのイメージの3部屋があり、接待などに落ち着いて利用できる。料理は日本のえんをベースにしており、日本人にはなじみやすい料理で客単価は60ドルとリーズナブルだ。
この対照的な両店舗をニューヨークっ子が今後どのように評価するか注目されるだろう。2店舗を見学していたら、トライベッカに赤坂NINJAがひそかに開店しとの情報が入った。また、MEGUを設計した森田氏を起用したちゃんともニューヨーク事務所を開設し、開店準備中のようだ。これから日本の元気外食企業が激戦地のニューヨークでどのように展開するか楽しみだ。
MEGU  http://www.megunyc.com/top.html
えん  http://www.enjb.com/

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