weekly Food104 Magazine 2021年2月24日号

メルマガバックナンバー

このマガジンは王利彰の率いるフードサービスコンサルタント会社
有限会社清晃(せいこう)が提供しております。
http://www.sayko.co.jp/

発行人の王利彰はその他に

2011年4月より2015年3月まで関西国際大学教授に就任して新しく発足する人間
科学部経営学科のフードビジネスを担当していました。

2004年4月から2009年まで立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の教授
を務め、F&Bマーケティング、サービス・マーケティングなどを教えてお
りました。

立教大学観光学部、杏林大学外国語学部応用コミュニケーション学科観光文化
コース、韓国のSejong大学大学院フランチャイズ学科、女子栄養大学・短期大
学、会津大学・短期大学、等でも非常勤講師をしておりました。

2012年9月に脳梗塞で倒れ、重い嚥下障害を患っており、その顛末と嚥下対策
を月刊厨房に1年間記事投稿したのでご参考ください。
http://sayko.co.jp/article/cyubou/index.html

● 世界・日本各地の食情報
● 読者からのご意見・要望・質問・情報 コーナー
● 食ビジネスニュースリリース
● 王利彰のレストランチェック
● 日本外食ニュースと米国外食ニュース


              △▼△▼△▼△▼△▼△

● 世界・日本各地の食情報

1)食の宝庫九州から上田さんです

【うきはの宝】「ばあちゃん食堂」の快挙

福岡県南部のうきは市、何かと元気な町ですが、そこにユニークな会社があり
ます。

率いているのが大熊充さん、40歳。Webデザイナーとして独立後、様々な事業
をうきは市で始めます。

そのひとつが「ばあちゃん食堂」

「75歳以上のおばあちゃんたちが働ける会社」です。

うきはの宝株式会社で製造しているのは、そう菜や漬物、ゆずこしょう、地元
産果物のピューレなどは通販や首都圏の食品加工会社に納品しています。

また、山菜おにぎりなどを、地元の「道の駅うきは」で販売しています。

「ばあちゃん食堂」には、75歳から86歳の女性18人が働いています。

年金だけだと、ちょっと生活が厳しい。元気なのに働く場所が無い。そんな後
期高齢者の女子を集めた会社なのです。

そんなおばあちゃん達がいきいきと働いているのです。

農林水産省のビジネスピッチで最優秀賞を獲得しています。

ますます人気になっていきそうです。

うきはの宝 ホームページ

https://ukihanotakara.com/
https://youtu.be/h3dwFhiaYoE

「うきはの野菜セット」オンライン販売
https://ukihnotakara.thebase.in/

農林水産省「INACOME(イナカム)」
https://www.facebook.com/nouson.maff/posts/2437309903188093/

令和2年度INACOMEビジネスコンテストで最優秀賞獲得
https://inacome.jp/news/3952
https://www.youtube.com/watch?v=PeV3tKNG2rU

ふくおか人物図鑑
https://fukuoka-person.com/ookuma-01/

ハチドリ電力インタビュー
https://hachidori-denryoku.jp/interview/user-okuma/

【プロフィール】

上田和久

kazz@studiowork.jp

スタジオワーク合同会社 代表

1959年熊本県生まれ、京都、福岡で暮らし、都城の単身生活を終え
福岡に戻っています。
国際HACCP同盟認定リードインストラクター、JHTC認定リードインス
トラクター

上田和久 facebookは
https://www.facebook.com/kazz.ueda

経歴と仕事分野
 厨房設備施工会社、電機メーカーで冷蔵設備の設計施工営業を担
当後、食品メーカーへ転職し、品質保証の仕事を経て、2016年コン
サルタントとして独立。
 主に、HACCPの認証取得が目的ではない、あるいは安全安心な食品
を提供することを目的にした企業に対して、HACCPに基づいた衛生管
理の取り組みを支援している。
 具体的には、食品工場に対し、これまでの計画施工から現場運営
まで経験を生かした新築・増改築についての助言を行う他、製造現
場に対して、クレーム対応、異物混入の原因の究明と対策、再発防
止の仕組み作りの提案を行っている。
 食品工場の抱える問題やこれからますます厳しくなる要求への対
応、それらを一緒に解決していくことを使命とし、精力的に活動し
ている。

2)石川メルマガ157回目

HACCPと厨房から始まる食品産業のDX
あと3ヶ月、HACCP(ハサップ)完全制度化の準備はできていますか?
2018年6月に可決した「食品衛生法」改正によって、2020年6月から食品を扱う
全事業者に対し、HACCPに基づく衛生管理基準の導入が義務化されました。
2020年の法律施行から1年間は猶予期間でしたが、2021年6月から完全制度化と
なります。
厚生労働省 食品衛生法の改正について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理とは、食中毒予防の三原則(有害な微生
物をつけない・増やさない・やっつける)を基本に、今取り組んでいる衛生管
理とメニューに応じた注意点をあらかじめ衛生管理計画として明確にし、実
施、記録する一連の作業のこと。これまでと全く異なる対応ではなく、計画や
記録により、衛生管理を「見える化」することです。
ホテル、レストランなど食品を扱う事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の
危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の受け入れから、最終製品まで
の各工程で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程
(CCP)を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法です。
この手法は国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である
食品規格 (Codex) 委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国
際的に認められたものです。
HACCPには準拠すべき様々なガイドラインが示されていますが、その一つが食
品の適切な温度管理です。例えは、飲食店の厨房内にある冷蔵庫、冷凍庫の温
度、調理行程中の食品の中心温度など管理をします。
2021年6月からは、この温度を記録・保管する必要があるほか、適正に管理さ
れているかをモニタリングする方法を設定しなければなりません。
私は2011年から元京王プラザホテル井部修さんが主催されている、「ホテル・
ホスピタリティビジネス衛生管理実践研究会」に参加し、年数回、現場で日々
悩まれている衛生管理マネージャー約40社と研究会を開催し、議論をしていま
す。
毎回、調理場の管理者である参加者から悩みが聞こえてきます。
「コックコートを来ている人に、調理とはかけ離れた冷蔵庫などの温度記入を
させている。」「記録作業が面倒で嫌がる」「手書きなので、温度を正確に記
録していない可能性がある」「決められた時間に記録しなければならず、仕事
への集中力やモチベーションを下げている」
そこで、この作業をI Tで解決できないか?模索する動きが広がっています。
しかし、課題もありました。
・管理したい厨房に、複数のメーカー設備があると、一つの管理システムで温
度を見ることができない
・温度データを出力できない機器がある
・取り組みたいが、費用がかかるので上司(支配人など)が理解してくれな
い。

これら課題を解決するため企業間のコラボレーションで開発スピード加速さ
せ、厨房業界として「Internet of Kitchenプラットフォーム」が完成したこ
とについて、厨房設備機器展でプレゼンがありました。
厨房機器メーカー10 社とシステム事業者で構成されるワーキンググループの
取り組みで、エレクトロヒートセンターがまとめていて、フクシマガリレイ北
川氏や、コメットカトウ吉岡氏等が登壇していました。
電化厨房ドットコム(エレクトロヒートセンター)
https://denkachubo.com/platform/index.html

「Internet of Kitchenプラットフォーム」は複数のメーカーが混在する厨房
機器データを一元管理することができます。HACCPと厨房から始まる食品産業
のDXです。
データの発信は厨房機器で、集中管理装置に入れてから、クラウド上にデータ
を集約し、管理を行うことで、厨房施設を使用するお客さまや管理者がいつで
もどこでもデータを活用できるようになったのです。個人情報は持たず、メー
カー名、機種名(型式番号)、製造番号で管理された情報を閲覧することがで
きます。
「Internet of Kitchenプラットフォーム」で実現できること
1 温度データが見える
2 機器からの警告が見える
3 お客さまの日々の業務を改善できる

メリット
1.HACCP制度化に必要なデータがクラウドアクセスで閲覧できる
食材の保存温度や調理加熱温度・時間など調理過程において管理が必要なデー
タはさまざまな部署・担当者で見ることができ、管理が容易になる。
2.警備、メンテナンスなどのデータ連携が簡単に厨房機器の使用電気量や、機
器から発信される異常情報など稼働状態を示すデータ等が分かるので、突然の
機器故障による作業負担を減らすことができる。
3.発注データ、POSシステムとの連携。発注・在庫管理の手間を減らす。
料理ごとに異なるレシピの発注状況・食材保管量など調理補助を行うデータが
得られ、食材発注・在庫管理時間を削減できる。

参加しているメーカーは厨房機器メーカー10 社やシステム事業者で構成する
ワーキンググループ株式会社アイホー、エレクター株式会社、株式会社コメッ
トカトウ、タニコー株式会社、 株式会社、中西製作所、ニチワ電機株式会
社、日本調理機株式会社、フクシマガリレイ株式会社、 ホシザキ株式会社、
株式会社マルゼン、一般社団法人日本厨房工業会、一般社団法人日本 ガス協
会、一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム、ウ
イン グアーク 1st 株式会社

ここで、一つお伝えしなければならないのは、スチコンの大手メーカー「RATI
ONAL」「UNOX」はドイツ・イタリア等の外資系のため、このプラットフォーム
には入っていないということ。しかし、機器からの温度管理情報は取り出せま
すので、ご安心ください。
外資系と国産両方の厨房機器がある場合どうするのか?
都内某Pホテルの事例でご紹介しましょう。

Pホテルでは、HACCPの温度管理を食材の仕入れから、提供、作業者の体調管理
も含めて、クラウドで調理部、購買部、人事部、システム管理部などが同じ画
面を見て確認作業を行いたいと考えています。
まず厨房機器からのデータは、複数の機器メーカーが混在しても管理できるフ
クシマガリレイHACCPマスターを使っています。ホテル社内システムとの連携
には、別途費用がかかりますが、専門の技術者(今回はホテルのシステム担当
者とフクシマガリレイのシステム技術者)にお願いして連携方法を検討。技術
的には難しいことではないのですが、関係者が多くコロナ禍でZOOM会議をしな
がら、慎重に開発を進めています。
2021年6月までにこのシステムが整えば、食材搬入から冷蔵・冷凍庫保管、調
理、提供までの流れで、温度管理ができ、万が一食中毒が発生した際の履歴を
追うことができるようになります。また、調理の労務管理にも使いたい人事部
へデーターを閲覧できる権限をお渡しする予定です。衛生管理は記録の信頼性
が上がるだけではなく、調理人の生産効率やモチベーションも上がるでしょ
う。
都内プリンスホテルでは、タイムマシーン社の温度管理システム「ACALA」を
使用しています。
タイムマシーン株式会社「ACALA」
https://tmcn.jp/

クラウド型の温度管理システムで、設置された機器、計測データ、そしてクラ
ウドアプリケーションが連携したトータルサービスです。ACALAは薬局が保有
する薬剤ストックの温度管理を目的に開発されたシステムですが、今日では医
療バイオ分野のみならず、食品関連の工場・倉庫・厨房・店舗・物流および農
業分野などで多くのお客様に温度管理システムとして採用されています。
The Okura Tokyoはフジマック厨房管理システム「キッチンリンク」を使用
し、従業員の入社時体温チェックから、各室の温度・湿度、機器の温度管理、
食材の入荷から提供までの温度管理、データの自動記録。厨房環境をパソコン
で一元管理しています。
フジマック厨房管理システム「キッチンリンク」
https://www.fujimak.co.jp/products/products/cat189/000472.html

また、メズム東京は冷蔵庫に後付け設置できる「CHINO」社製温度計を使い、
ほぼ自作でクラウド管理システムを作っています。このホテル担当者のITスキ
ルが高いからできることですが、温度管理だけなら、ローコストでシステムを
作り、クラウド画面で24時間、365日管理も可能です。
HACCP制度化に向けて、ラストスパートですね。
皆さん、一緒にがんばりましょう!

【プロフィール】

石川史子 Ishikawa Fumiko (旧姓 戸田)
food field creative
facebook https://www.facebook.com/ffcnippon/
HPとblog http://ffcnippon.com/

 東京都生まれ。立教女学院中学・高校を経て立教大学理学部化学科を卒業後
、東京ガスに入社。最初の基礎技術研究所で材料の研究、次の商品技術開発部
では給湯器がメインでしたが、炊飯器やピピッとコンロの技術評価も担当しま
した。その後、家庭用燃料電池の商品化に向けたプロジェクトのメンバーに加
わり、2003年頃からは、技術戦略、営業戦略、プロモーション、営業を経験。
2010年、業務用厨房ショールーム「厨BO!SHIODOME」のオープンと同時に異動
し、最適厨房研究会の運営等に携わりました。「厨BO!SHIODOME」には稼働す
るガス調理機器があるので、お客様へのプレゼンや、レストランショーなどの
際に有名なシェフの方にお手伝いいただき、厨房設計を支援できる私はフラン
ス料理界のシェフにかわいがられるようになりました。

 2015年秋に東京ガスを退職し、現在はフリーランスのコンサルタントとして
、活動をしています。リケジョとしての能力と、仕事を通じた調理機器メーカ
ー、フランス料理界、居住地の埼玉県の農業と触れ合い、現在の厨房業界や農
業、料理業界のPRに幅広く取り組んでいます。また、立教学院評議員として、
ホッピーミーナさんこと石渡美奈社長や、日比谷松本楼の小坂文乃社長他、校
友会の皆さんと活動しております。幅広い視点で食の光景をご紹介します。

 社内結婚した夫が浦和レッズの熱烈なサポーターのため、浦和で家族と暮ら
しています。趣味は野菜作りで、ご指導いただいている同世代の農家さんとの
交流を楽しんでいます。

その他
MLA豪州食肉家畜生産者事業団 ラム肉PR大使「ラムバサダー」
全日本司厨士協会 埼玉県本部 広報企画部長
全日本司厨士協会 東京地方本部 協賛会員
フランス料理文化センター アミテイエグルマンド 会員
ホテル&ホスピタリテイビジネス衛生管理実践研究会所属
立教学院諸生徒礼拝堂ハンドベルクワイア OBOG会会長
立教大学観光クラブ、校友会企画委員
立教学院評議員
深沢アート研究所 マネージャー

3)南イタリアプーリア便り イトリアの谷の食卓から 第233回

三寒四温の頃とは言え、気温差が激しいのは日本もプーリアも同じ様です。野
草は花を咲かせる前のこの時期が美味しいのですが、ルーコラやボラジなどは
例年より1ヶ月程早くすでに花盛りです。

ルーコラはルッコラ、ロケットとも呼ばれていますが、ゴマのような風味とち
ょっと辛みと苦味のあるイタリア料理に馴染みの深い葉野菜です。
魚や肉との相性がよく、お刺身にルーコラを散らし、お好みでレモン、塩、コ
ショウ、オリーヴオイルをかければカルパッチョという立派なイタリア料理に
変身します。
我が家ではルーコラはそこらじゅうに自生しているので野草扱いです。栽培し
ている数種類のレタスと共にルーコラもほとんど毎日サラダとしてたくさん食
べています。ルーコラ好きの私としては嬉しいことにカルシウム、鉄分、ビタ
ミンCが豊富で、さらに血管の老化を予防する効果があると言われる一酸化窒
素の体内濃度を高める食品の一つであるということです。プランターなどでも
簡単に栽培できるので是非ご家庭で育てて身近に感じていただきたい野菜で
す。

ボリジという草は馴染みが薄いかも知れません。イタリア語ではボラジネと言
います。マドンナブルーと呼ばれるルリ色の可愛らしい花はエディブルフラワ
ーとしてサラダや料理の付け合わせとして食されたりハーブティーとして飲ん
だりします。キュウリのような生牡蠣のような変わった匂いがする葉はサラダ
に入れたりもします。解熱作用や強壮作用があると言われ古くから薬草として
扱われていた植物です。

庭に勝手に生えて花を咲かせたり、実をつけたりしてくれる植物がたくさんあ
るのは有難いことです。自然の流れに任せてその時期になったらその時期にし
かない恵みとして有り難く食べさせていただく。知らなければ食べない様な野
草ですが、美味しいだけではなく身体に良い効能まであるとは。きれいに形が
整ってもいませんし、場合によっては先客(虫や鳥)に先を越されてしまった
りもします。お天気によって花や実のつきが毎年違います。そういうものだと
納得して味わう食物は買ってきたものとは違う味がします。

大橋美奈子 Facebook
https://www.facebook.com/minako.ohashi

メール・アドレス
minako@da-puglia.com

大橋美奈子さん経歴

 演劇の勉強で欧米に留学し、欧米の料理に馴染みました。主人の
ジョバンニ・パンフィーノはスイスの有名ホテル学校を卒業後、
レストランビジネスに入り、 高級ホテルやイタリア高級レストラン
のビーチェのヨーロッパの店舗で働いた後、 東京椿山荘に開業した
超高級ホテルのフォーシーズンの高級イタリアンとして開業した
ビーチェの指導責任者としての勤務経験がある外食のプロです。
 そのジョバンニ・パンフィーノと,日本で知り合い結婚し長女を
授かり育てていたのですが、数年前に子供の教育と生活環境を考
え、主人の故郷であるイタリア・プーリアに本格的に移住したので
す。母が料理学校を主催している関係で食に興味を持ち、自ら自家
農園で野菜を育て、自家製のオリーブオイルで体に優しい料理を楽
しんでいます。現在はプーリアで生活をしながら、イタリアの情報
発信をしたり、コンサルティング、輸出入ビジネスを行っておりま
す。

 また、時々イタリアの食ツアーを開催しています。これから私が
惚れ込んだイタリア・プーリア地方の自然を堪能する食情報を
お届けします。

 ブーツの形をしたイタリア半島のちょうどとがったヒールの辺り
がプーリア州です。私たちが日本とプーリアの架け橋になろうとダ
プーリアという会社を起したのは15年前です。その頃と比べ、日
本でも随分認知度が高まったプーリアですが、この数年主に欧米人
のヴァカンス先として大変注目を浴びています。
https://www.facebook.com/1438029856464276/photos/a.1438031556464
106.1073741828.1438029856464276/1523683344565593/?type=1&theater

 プーリア州の中心部にあるイトリアの谷(谷というより盆地という
方がふさわしい)にあるこの地に東京から移り住んで6年、兼業農
家的生活も板に着いて来ました。プーリアといえばイタリアの食料
庫といわれる程の一大農産地でオリーヴオイル、ワイン用のブドウ
をはじめ多くの野菜や果物がイタリア1番の生産量を誇ります。

 また、この地特有の地元でしか食べられない産物も沢山ありま
す。プーリア料理の身上は新鮮な食材をシンプルに食す事。この地
で生産されるチーズやワインもその料理と切っても切れない関係に
あります。そんなプーリアの我が家の毎日の食卓に上る食べ物、
飲み物たちをご紹介させていただきます。
 我が家では7対3の割合ぐらいで一般的に言うところのイタリア
料理(プーリアの郷土料理)と日本食、その他(私が個人的に好き
なアメリカン及びアジアンテイストな創作料理)を食べています。

有限会社ダプーリア 
http://www.da-puglia.com/

大橋美奈子プロフィール 
http://www.da-puglia.com/archives/000047.html

プーリア州の説明
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%AA%E3%83%A3%E5%B7%9E

ダプーリア
大橋美奈子

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● 読者からのご意見・要望・質問・情報 コーナー

 読者の皆様のご意見・要望・質問・情報・欄を作成しました。皆様のご意見
・要望をぜひお送りください。匿名で掲載させていただきますので忌憚のない
ご意見をお聞かせください。また皆様が見聞き体験した外食・食材情報もお知
らせください。
 このFOOD104を支えてくださっている組織にFSPROと言う食の世界の専門家の
方が500名ほどいらっしゃいます。皆様のご質問・疑問に答えられるようにな
っておりますので,ご遠慮なくご質問などをお寄せください。ちょっと時間は
かかりますが回答させていただきます。

              △▼△▼△▼△▼△▼△

● 食ビジネスニュースリリース ————————————■□

2月18日~2月24日

◆悪化した業績を立て直したカサノバ氏。20年12月期に全店売上高と営業利益
が過去最高を更新したのを機に社長交代。お見事。
日本マクドナルドHD
日色氏が社長兼CEOに、カサノバ氏は会長
https://diamond-rm.net/management/76297/

◆「一番好きな回転ずし」1位は559店舗を構える業界大手の「スシロー」
gooランキング事務局
1位はスイーツメニューも充実の「スシロー」!gooランキングが「一番好きな
回転ずしチェーンランキング」を発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000045004.html

◆1億円に減資「中小企業扱い」で税負担軽減。キャッシュアウトを抑える戦
略。
JTB
資本金1億円以下に減資して外形標準課税の対象から外れれば、法人事業税の
支払いを抑えることができ、手元資金を確保できる。飲食業界では カッパ・
クリエイト や チムニー などが1億円への減資を表明。航空業界でもスカイマ
ークが資本金を90億円から1億円に減資して配当原資などに充てる方針だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ230T70T20C21A2000000/

◆食塩・化学調味料不使用はコンビニでも普通になりました。
ローソン
2月23日(火)より食塩・化学調味料不使用のカレー発売
購入者の6割以上が女性のお客様で、特に30~50代の女性のお客様を中心にご
好評。フレンチシェフの松嶋 啓介氏が、原材料の調達や調理方法などアドバ
イス。カルダモン、クミン、シナモンなど多種類のスパイスで丁寧に煮込むこ
とで素材の相乗効果を引き出し、うまみを感じられる仕立てにして食塩・化学
調味料不使用を実現。
https://release.nikkei.co.jp/attach/605533/02_202102221732.pdf

◆ファーストフードでプレミアムな食パンを販売。
モスバーガー
週末のちょっとリッチな“おうち朝ごはん”におすすめ! 「バターなんてい
らないかも、 と思わず声に出したくなるほど濃厚な食パン」
3 月 12 日(金)よりエリア限定・店舗限定で発売
毎月第 2・第 4 金曜にモス店舗で販売(予約・お持ち帰り専用)
https://www.mos.co.jp/company/pr_pdf/pr_210218_1.pdf

◆私も地方創生と循環型モデルの構築を同時に企画提案しています。
WakeAi
地方創生SDGs官民連携プラットフォームへ、WakeAi(ワケアイ)が参加
社会貢献型通販モール:WakeAi(ワケアイ)を運営する株式会社WakeAi(本社
:東京都港区、代表取締役社長:慎 祥允)は、このたび地方創生SDGs官民連
携プラットフォームへ参加いたしました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000072264.html

◆XTechのスタートアップ。既存産業×テクノロジーで外食ビジネスに新規事
業を創出。
クロスマート株式会社
食品流通のDXを推進するクロスマート、シリーズAラウンドで2.7億円の資金調
達を実施
金融機関ネットワークを活用した営業強化、メーカー販促サービスの開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000044256.html

◆渋谷は人が多いようですね。人気店で食事をする時はお気をつけて!
有限会社GC
【満員御礼、更に大行列!!】レモホル酒場渋谷駅前店、11日間の単品ドリン
ク半額キャンペーンの開始を決定!あの話題沸騰中「レモホル酒場」から更に
お得なキャンペーンが再来!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000065081.html

◆千葉にもジビエがあるとは!
オニオン新聞社
デリバリー・テイクアウトで房総ジビエを味わおう!
第3回房総ジビエコンテスト優秀作品も決定!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000053539.html

◆アートのような飴細工の大きな苺の8重層パフェ「苺 Art of Strawberry」
は2021年4月中旬まで
アマン京都
【アマン京都】苺を味わいつくすアートのような飴細工の器の8重層パフェ
「苺Art of Strawberry」と春を満喫する「苺と桜のアフタヌーンティー」 期
間限定販売
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000070053.html

◆美味しそうな野菜と料理に思わず目が釘付け
株式会社バルニバービ
<淡路島から厳選こだわり野菜の詰合わせをお届け>お取り寄せサイト「キャ
ンドルテーブル」がフレッシュグループ淡路島の「香るハーブと彩り野菜」を
新発売。ご自宅で使えるレシピBOOKもお届け。
野菜にかけるだけ!シェフこだわりの時間をかけて丁寧に作られたオリジナル
のバーニャカウダソースもセット販売スタート
https://candle-table.com/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000222.000025087.html

◆仙台へ出張する時はぜひ。産地、製法の違いが感じられる4種類50mlセッ
ト。
株式会社吉岡屋
仙台発! お酒との出会いの場を提供するワイン&ウイスキーショップが3月
1日オープン!ただ買うだけはもう古い!? 見る、嗅ぐ、味わう、聞く、そ
して選ぶ。体験型のリカーショップが仙台駅西口に誕生
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000068672.html

◆ホテルと地域食材のコラボイベント。とても美味しそうです!
株式会社阪急阪神ホテルズのプレスリリース
「呉阪急ホテル」×「よしの味噌」タイアップ企画 呉市最古参の蔵元「よし
の味噌」を使ったレストランフェア開催 2021年3月1日(月)より販売開始
https://gourmetpress.net/525740/

◆福井の日本酒と押し寿司3000円で参加できるお得なオンラインイベント。
株式会社Tokyo Bento Labo
<限定20組>オンラインイベント「“禅の心”を知る!橋本幹造氏と福井県永
平寺町の伝統料理を作ろう!」開催
2021年3月14日(日)14時からzoomにて
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000074637.html

◆ホテルの活用方法が広がっていますね!
株式会社リアルゲイト
ホテルをコンバージョンしたクリエイティブオフィス「GLEAMS
AKIHABARA」「GLEAMS NIHONBASHI」2021年3月にグランドオープン。ホテル&
ホステルのDNAを引き継いだホテルライクなラウンジ付きオフィスが誕生。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000089.000007228.html

◆「生活自由度」感染拡大以前の状態100点→54.9点。3か月連続で減少。
博報堂
博報堂生活総合研究所、「第11回 新型コロナウイルスに関する生活者調査(20
21年2月)」結果を発表
https://r.nikkei.com/article/DGXLRSP605418_19022021000000?s=4

◆「旅館・ホテル」の人手不足割合は5.3%で過去最低を記録
帝国データバンク
人手不足に対する企業の動向調査(2021年1月)結果を発表
https://release.nikkei.co.jp/attach/605595/01_202102241704.png

◆オンラインで働くパティシエ。新しいですね!
Sweets Concept
1人のパティシエのお給料で、3人分の知恵・経験を借りられる!Mama Patissi
er Director’s Labo 本格始動
https://gourmetpress.net/525682/

◆50万円から300万円の範囲で助成が受けられます。
サントリーホールディングス株式会社のプレスリリース
サントリー文化財団 2021年度 研究助成「学問の未来を拓(ひら)く」
「地域文化活動の継承と発展を考える」募集
https://gourmetpress.net/525676/

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

マックの裏側 第2回 2021年02月24日

 AOC(マクドナルドの店長向け講座)で難しい機械のメインテナンスもきち
んとしたマニュアルとトレーニングカリキュラムがあれば誰でも出来るように
なると言うことは大きな驚きと共に,自分たちで改善しなければと思わされた
わけだ。エクイップメントマニュアル(調理機械構造と性能の図解詳細説明、
分解清掃、部品交換修理方法)や店舗の設計図を抱えて日本に持って帰ったの
は言うまでもない。また、米国の調理機器はインチサイズであり、日本などの
ようなメートル単位でなく何時も修理の際に工具が無くて困っていた。米国研
修時のショッピングセンター見学は絶好のチャンスで、当時は世界最大の小売
業だったシアーズにいき工具を買いあさったのだった。

 店舗の見学は単に見るだけではなかった、訪問したら必ずハンバーガーを購
入して食べることを強制された。一日に10件ほど見学するからそれだけで腹
が一杯になる。しかし、まず食べてみないと何が違うかわからない、買ってみ
て初めてサービスのスピードや品質がわかるという現実的なアプローチを徹底
的に行わされた。勿論,マクドナルドばかり見ていると勉強にならないから、
夕食には他のレストランチェーンに行って食事をしたのだった。当時、サンフ
ランシスコに創業したてのビクトリアステーションというローストビーフのチ
ェーンが大繁盛しており(のちにダイエーが提携し日本で展開)、そこのサン
フランシスコ1号店を訪問したときだった。マクドナルドのハンバーガーで腹
一杯の筆者は(当時のクオーターパウンダーという113グラムの肉のハンバ
ーガーを中心に10個以上は食べていた)メニューを見て、一番高いロースト
ビーフを頼んだ。なぜかというと日本ではステーキ屋などで一番高いステーキ
を頼むと大抵は最高のヒレ肉で美味しいが量が少ないからだ。そう思って一番
高いローストビーフを頼んだ訳だ。そうしたらウエイターが何か筆者に聞いて
きたが、当時英語を全く理解できなかったから、朝原氏に聞いたら「何も問題
ないよ」と笑うだけだった。ビクトリアステーションは日本にはまだ無かった
サラダバーがあり、珍しい物だからお腹がいっぱいなのに無理してぱくぱく食
べていた。しばらくしたらローストビーフが運ばれてきて飛び上がるほど驚い
た。筆者の頼んだのは一番高いサイドトラックというメニューでなんと重量が
2ポンド、約900グラムもある巨大な物だった。ここで、残すとジョン朝原
氏に連れて帰らないという脅しを受けて(反対に食べたらおごってくれる)、
筆者は必死に食べ切った。廻りの米国人は体の小さな筆者(当時は今の体重の
半分くらいと軽量小柄だった)に巨大なローストビーフが運ばれた物だからど
うなんだろうと注目していたが、見事に食べきった筆者に盛大な拍手を送って
くれた。その時は良かったが、翌朝起きたときもまだ喉まで牛肉がつまり、さ
すがの筆者も翌朝の朝食は食べられなかったほどだ。これは、マクドナルドが
常に言うモットーのQSC+VのVは米国ではこうなんだよと教えるためだったの
だ。

 ジョン朝原氏は、時々食事をおごってくれ、話をじっくりした。しかし集団
旅行時には各人が自分で払うのだった。例外が、賭ける時だった。米国のバリ
ュー(ボリュームといった方が良い)を教えるために、本社のあるシカゴを訪問
時にパルテノンというギリシャ料理に日本人をよく連れて行った。当時は数ド
ルでボリュームのあるフルコースを提供していた。

 20年前まで30ドル以下でフルコースを提供していた。
The Parthenon (残念ながら2016年に閉店)
https://chicago.eater.com/2016/9/7/12835928/parthenon-chicago-greek-cl
osed-flaming-cheese-opa
https://chicago.eater.com/2016/12/12/13920164/parthenon-greek-restaura
nt-lawsuit-ambassador-public-house-bar-open

 ここでジョン朝原氏は、賭けをする。コース料理を全て食べられたら、奢っ
てやるというのだ。ボリュームがあるだけでなく日本人の苦手な食事が出てく
る。山羊乳原料のチーズだ。独特の風味があり日本人には抵抗がある。量的に
もかなりあるし途中で出てくる山羊乳のブルー・チーズ(ロックフォール 青
カビ・ブルーチーズ)の臭いでみんなダウンする。それを見てジョン朝原氏は
大喜びするのだった。この賭けに勝った日本人は筆者を含めて数人という、ジ
ョン朝原氏の米国の食の洗礼だった。因みにこの店は、ジョン朝原氏の国際部
の上司に当たる、バイス・プレジデントのクラーク・ボールドウイン氏のガー
ルフレンドが運営しており、それで知ったそうだ。そのガールフレンドは、シ
カゴの有名なマフィア、アル・カポネの親族だったそうだ。

 こんな経験を積みながら日本と米国の価値観の違いを勉強させられた。ジョ
ン朝原氏は筆者たちと個人的にじっくり話をしたり進路を考えさせる際に、食
事をおごってくれた。その際、「クロックさんのおごりだよ」と必ず付け加え
た。朝原氏は一滴も酒を飲まないので、会社も食事などの交際費経費には一切
文句を言わなかったようだ。また、通常米国企業の日本駐在員というと、六本
木や青山などの外国人が好む一等地に住み、家賃も莫大なものだが、朝原氏は
、良い住宅地ではあるが通常の日本人の住む地味な家を選ぶという質素な生活
だった。この質素で酒を飲まないことが、米国本社のフレッド・ターナーや、
レイ・クロックの信頼につながっていたようだ。

 そんなように訪問した店舗で徹底的に食べたので、調理機械の違いだけが品
質の差ではないという事が胃袋で理解をするようになり、食材も違うというの
だという発見をした。ハンバーガーパティはグリルで焼く際に,ターニング(
片面が焼けたらひっくり返す)してから塩を振りかけるのだが、米国で見てい
たら塩胡椒(塩と黒胡椒)を振りかけていた(当時の日本は塩だけだった)。何故
?とジョン朝原氏に聞いたら、日本で胡椒を入手しようと思ったらラーメン屋
の白胡椒しかなく、塩と混ぜて振りかけたらパウダー状の白胡椒はフワーット
ダクトに吸い込まれたから止めたと返事されたので大笑いした。日本でも黒胡
椒は手に入るのだが、一般的でなかったので知らなかったようだ。米国のマニ
ュアルにもはっきりと塩と胡椒の割合を書いてある。あわてて胡椒の種類とメ
ッシュサイズ(挽く際の細かさ)、メーカー名を記録し、日本に持ち帰った。
その他でも、バンズの品質の良さ、チーズの味の違い、ピクルスの品質,ケチ
ャップ、朝食メニューなど数多くの品質の違いがあるのに気がつかされたのだ
った。

 アルバイトの作業の生産性も大きな違いがあった。米国の厨房設計には標準
レイアウトがあり、各機器間の通路巾、入り口からカウンターまでの距離、カ
ウンターの巾、など作業の生産性を維持できるような標準化と理論が確立され
ていた。些細なことだが、厨房床の材質も大きな差があった。当時の日本の厨
房は滑りやすくて、忙しいときなど段ボール箱を敷いて作業をして不衛生だっ
たが、米国の厨房は汚れのつきにくい煉瓦色のタイルで鉄粉を混ぜて、滑り止
めの効果がタイルの寿命と同じくらい長い物だった。また日本のタイルは客席
も厨房も上薬がかかった物で、しばらく使っていると上薬がはげて、色が変わ
り見苦しくなってしまった。米国の物は金太郎スタイルで下地まで色が同じ材
質であり、すり減っても見苦しくなくタイルの厚さがあるかぎり使用できる耐
久力の高い物であった。

 標準店舗レイアウトももの凄く参考になったがマクドナルドの創業者レイ・
クロック氏がオープンした一号店が当時はまだ営業しておりそれを見学できた
のが大変参考になった。驚かされたのがその20年前のレイアウトが最新の店と
そんなに変わらず、現役で商売が出来ると言うことだった。それだけ、当時の
エンジニアの店舗レイアウトの素晴らしいアイディアと、耐久力を持たせた素
晴らしい厨房だったわけだ。
 
<2>香港研修
 朝原氏のトレーニングで面白いのは、他の人に自分の得意な分野の業務を教
えさせることである。人に教えるためにはよい加減なことは教えられないか
ら、自分でしっかり正確に勉強する必要がある。他の人という意味では、自分
の部下ではだめだ。赤の他人のほうが良い。相手は自分の出世に影響しないか
ら、教える人が良い加減なことを言えば、そっぽを向くからだ。

 筆者が入社し日本のハンバーガー大学を出て、最初の店舗に配置されてから
間もないころに朝原氏が店舗を訪問し、筆者の勤務ぶりを眺め、筆者に何をし
ているのかと質問した。筆者は忙しいランチタイムであったので、アルバイト
の補佐でハンガーガーを作るのを手伝っていた。それを見た朝原さんは、アル
バイトより高給の筆者がハンバーガーを作るのでは儲からない、マネージャー
の仕事は全体を俯瞰しアルバイトに作業指示をして、お店がスムーズに回ると
ことなどを理解させてくれた。

 知識の少ない筆者を見て、朝原氏は筆者へのトレーニングの進行状況の質問
をした。その当時は米国でフレッド・ターナーが開発した、MTP(Management
Training Program)
というカリキュラムを、日本でスタートしたばかりであった。米国マクドナル
ドのトレーニングカリキュラムは、実践的なものであり、毎日少しづつ教え、
理解度や熟練度を上司とトレーニングを受けるものが確認しながら行うもので
あった。
 筆者の上司の店長とスーパーバイザーが、まだそれを使っていないことを発
見した朝原氏は激怒し、2人に何か厳しくいったようであった。その晩、店長
とSVが徹夜で筆者にトレーニングを実施したことは言うまでもない。しかし、
まもなく筆者は金庫に指を挟んでけがをするという失態を犯し、ハンバーガー
を作る作業はほとんど覚えず、店長になり、スーパーバイザー、統括スーパー
バイザー(SVを6~7名管理する)になってしまった。

 当時のマクドナルドの場合は時間当たりの販売数量が多いため、厨房機器の
製造能力の知識及び、生産性をあげるためのオペレーションの知識が必要にな
るのである。

 フレンチフライ(マックフライポテト)の調理はアルバイトでもできるよう
に、サーモスタットによって一定温度の保たれたフライヤーに、規定量の冷凍
フレンチフライをバスケットに入れフライヤーに入れる。そして、コンピュー
ター付き(マイコン)のタイマーのスイッチを入れると、コンピューターが調理
時間と調理中の油の温度を計算し、一定の熱量が加わったら、ブザーを鳴ら
す。ブザーが鳴ったら、アルバイトは上がったフレンチフライのバスケットを
上げて、油を切る。(途中30秒後にブザーが鳴ったら、バスケットを一度上
げ、ゆすって解凍してお互いにくっついたフレンチフライをほぐして、かりっ
と上がるようにする)。というように自動化して現在もその仕組みは変わらな
いという完成度の高いものであった。

 それに比べ、ハンバーガーの具のミートパティーを焼き上げるのは依然とし
て職人芸であった。冷凍ミートパティの調理はオーダー毎に作業するバッチ処
理方式であった。一度に焼く最大の枚数は決まっていないし、焼成時間も決ま
っていなかった。1時間のミートを焼成能力も決まっていなかった。

 当時使っていたハンバーガーの冷凍パティを焼くグリルは、現在のものより
大きな、奥行き900mm、幅1500mm(幅5フィート)のサイズであった。ピ
ーク時にはそのグリルに冷凍パティ全面並べ(96枚)焼き上げる。湯気がほわ
ーっと昇りミートパティを焼くというより蒸すというような状態だった。最初
のミートパティは生で、最後のミートパティは真っ黒になるというひどさだっ
た。グリルの能力の低さ、当時の日本で使っていたガスのカロリーが低くか
つ、日本が参考にして作った米国のグリルの能力が生肉用の火力が低いという
のが原因であった。筆者は数年かけてグリルの能力を米国並みに改善した。し
かし、機械の次にオペレーションの改善が必要となった。

筆者はマクドナルドの店舗で1985年ころには実際に1時間に最大75万円の
売上の経験がある。そのとき販売したハンバーガーの数は1500個であっ
た。つまりファミリーレストランの10倍以上の製造能力である。そのときに
調理したハンバーグミートパティの枚数は1時間に正確に1500枚であっ
た。

 当初のミートパティの調理は、グリルの上にミートパティを置き、スパチュ
ラで上を軽く押す。冷凍ミートパティの周囲1センチくらい解凍してきたら、
スパチュラでひっくり返し、塩を一振りし(米国は塩コショウであったが、日
本は筆者が変えるまで塩のみであった)、水で戻した乾燥玉ねぎのみじん切り
を3.5gほど乗せる。ミートパティの中心1センチくらいに肉汁が出てきたら、
スパチュラでグリルから取り上げ、トーストしてケチャップ、マスタード、ピ
クルスを乗せたバンズの乗せるというものであった。フレンチフライの調理と
比べ如何に遅れていたかお分かりだろう。そのため当初は熟練した職人肌のア
ルバイトの独壇場であり、生焼けや焼き過ぎのハンバーガーが当たりまえであ
った。それではいけないと、米国マクドナルドは、ミートタイマーを開発し、
ミートパティの焼き上げ時間を定めた。

 冷凍ミートパティの調理はオーダー毎に作業するバッチ処理方式であった。
12枚焼いてから次の12枚を焼く。 焼けすぎを防ぐため、一度に焼く最大
の枚数は12枚と制定した。焼成時間は両面で2分10秒間。1時間で332
枚のミートを焼成出来るのであった。冷凍ミートパティを置く場所も決め、冷
凍ミートパティを置いてから、20秒後にタイマーが鳴り、シアーツールという
専用の重いスパチュラで冷凍ミートパティの上をしっかり押さえつける。冷凍
のミートパティの表面は凸凹しており、冷凍状態のうちはグルル面に全体が接
しておらず、そのままにすると焼けムラができる。そこで、シアーツールで解
凍して軟らかくなったミートパティをグリルに押し付け、密着させ、加熱され
たグリルの熱が均等にミートパティに伝わるようにする。55秒後にタイマーの
ブザーが鳴る。スパチュラ(刃物のように鋭利な状態に研いでおく)で1枚1枚
丁寧にミートパティをひっくり返す。焦げ目が均等に充分ついたミートパティ
に塩コショウを軽くかけ、水で戻した乾燥玉ねぎのみじん切りを3.5gほど乗せ
る。2分10秒後に再度ブザーが鳴る。ミートパティが焼きあがった合図であ
り、スパチュラで丁寧に掬い取り、ドレスされたバンズの中心に乗せる。この
オペレーションにより、品質が飛躍的に安定した。しかしこのやり方では1台
のグリルで1時間300枚ほど、2台(当時の日本標準、米国の標準は3~4台)
600枚程度と能力が不足であった。

 そこで米国マクドナルドは連続処理のオペレーションを考案した。12枚のミ
ートを焼いてひっくり返した後、次の12枚の ミートを並べる。つまり70
秒毎に12枚の肉を焼成出来るというターンレイ・システムであった。1時間
で倍の600枚のミートを焼けるようになった。しかし人間的な作業ロスを考
え、生産能力を計算上の70%と、1時間に420枚の生産枚数とした。 こ
れでも1時間25万円の売上を達成することは可能であり、グリドルの能力も
余裕がでる。実際の能力としては420枚とするが機械の製造能力としては1
時間に600枚を焼成できる能力に設定する。さらに機械をカリカリにチュー
ニングして調理する人を増やすと先のように750枚も焼けるようになるわけ
だ。

 筆者はこのころには統括スーパーバイザーとしてスーパバーザーを6名、30
店舗を管理していた。だが筆者は、ハンバーガーを正確に大量に焼くことがで
きなかった。マクドナルドのトレーニングメソッドは軍隊式で(山本五十六の
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」
という方式であった。(上杉鷹山の「してみせて 言って聞かせて させてみ
る」と同様であるが)つまり、部下に教えるには自分ができないといけない。

 日本の会社であれば、やってみろ、覚えろの一言の命令だろう。だが朝原氏
の考えたのは一風変わっていた。筆者に香港のマクドナルドに行って教えてほ
しいという婉曲な命令であった。筆者は香港、特に広東料理が大好きだったの
で、単に教えるだけなら簡単と承諾してしまった。

 日本が藤田田氏と米国マクドナルドが合弁会社を作り、繁華街中心の都市型
店舗で大成功すると、東南アジアの華僑は注目し、東南アジア各国の華僑は日
本に倣って、店舗展開を開始した。その第一号が、香港人で英国でコンピュー
タエンジニアリングの教育を受けた、ダニエル・Ng氏であった。日本に学ぼう
と日本によく勉強に来ており、ジョン朝原氏と仲が良かった。

 ダニエル・Ng氏は英国で教育を受け、英語も堪能だし、藤田田氏のようなア
ンチ米国ではなかった。そのため、日本の繁華街出店をしながらも、米国の厨
房施設を輸入し、米国基準の大きさの店舗で大成功した。筆者は日本の国産厨
房機器の能力の問題を認識し、その解決策として本場の米国厨房機器の勉強に
香港を2度ほど訪問していた。香港のマクドナルドは繁華街一の立地に大型の
店舗を作り大成功していた。日本と違い米国の能力の高い厨房機器を導入しな
がらも、店舗の売り上げが日本以上のため、店舗のオペレーションの問題を抱
えていた。その中でもハンバーガーを作る上記の新しいシステムの導入が遅れ
ていた。そこで筆者に香港で教えてほしいという婉曲な命令であった。

 承諾した後、教え方を言われて驚愕した。香港の筆者と同じ地位の統括スー
パーバイザーと店舗で実際にハンバーガーを、新システムのターン・レイで焼
く競争をし、違いを見せてねという。しかも香港で教えるのは、江ノ島とよく
似た高級リゾート地レパルス・ベイ(repulse bay beachi)店という超繁盛店で
あった。
http://www.discoverhongkong.com/jp/see-do/great-outdoors/beaches/repul
se-bay-beach.jsp

http://image.search.yahoo.co.jp/search?rkf=2&ei=UTF-8&gdr=1&p=repulse+
bay+beach+hong+kong+mcdonald%27s#mode%3Ddetail%26index%3D0%26st%3D186

 筆者はアルバイトに単に教えるだけだったら、マニュアルや言葉でごまかせ
ると簡単に考えていたので、ハンバーガーを焼いた経験の少ない筆者は困って
しまった。当時の筆者は英語が全くできなかった。言葉ができればごまかせる
が、できない場合には体で見せないといけないからだ。ましてや競争とあって
は。そこで筆者の担当の一番忙しい店で練習することにした。1978年10月17日
に開店した日本では154号店、世界では5000号の記念店の江の島店であった。
記念店であり、海外からも見学に来るだろうと、700坪を坪25万円で購入
し、大型のドライブスルー店舗とした。厨房設備も国産ではあったが、米国
の広い厨房レイアウトにしていた。当時は湘南地区がリゾートとして人気が高
く、昼のピークには1時間で50万円、月間9000万円(最高時、月間1億円)も
売る店であった。その昼のピークに3日通い、上記の最新のターンレイオペレ
ーションを汗だくになって身に着けたのであった。

 しかし、単に作業を熟練するだけではジョン朝原氏の朝原氏に「高い時給の
職人ができたね」と嫌味を言われるのがおちだ。そこで誰でもスムーズに作業
に熟練できる仕組みを考案しなければいけなかった。ただやみくもに練習して
も役に立たない。作業を分析し合理的にトレーニングできるようにしないとい
けない。そこで連続処理のオペレーションの作業分析を行い、合理的なトレー
ニング方法を考え出さなくてはならなかった。

(1)ハンバーガーの製造手順
ハンバーガーの製造手順を分解して見てみる。最初はプルレイ(1回1回焼き
上げる方式)の製造手順だ。

1.冷凍ミートパティの入っている冷凍庫内の段ボール箱から片手に6枚づつ、
両手で12 枚の冷凍ミートパティを正確に掴み、手前から奥に並べていく。
2.タイマーを作動させる。
3.20秒後にシアーブザーが鳴ったら、ボタンを押してブザーを止める。
4.グリルの奥においてあるシアースパチュラを掴み、1枚1枚のミートパティ
を上から押 し付け、しっかりとシアー(焦げ目をつけること)をする。パテ
ィをしっか りシアー スパチュラで押さえ、グリルの奥から手前に向かって
焦げ目をつけていく。シアーが正 しくできていれば押した時に「ジュー」と
いう音がする。
 このシアーの作業が必要な理由は、冷凍のミートパティは平らでないと言う
ことだ。や や凸凹で縁にバリが出ている。そのままにしておくとミートパテ
ィがグリルに接触する 面積が少なくなり、生焼きになったりしする。
 使用したシアースパチュラは、綺麗なタオルで拭いてから正確にスパチュラ
ホルダーに 戻す。綺麗にしないと次に使うときにミートパティに汚れがつく
し、脂が固まるとミー トパティがシアースパチュラにくっついてしまう。
5.55秒後にターニングブザーが鳴り始めたら、パティを1枚ずつ手前から奥
に裏返して いく。スパチュラは両手で持ち慎重にミートパティをターニング
(ひっくり返す)する。 その際にシアーでついた焦げ目を損なわないように慎
重にターニングする。ターニング ブザーは自動的に止まる。
 この際に使用するミートスパチュラはやすりで丁寧に研ぎ、最後は包丁と同
じ位切れる ほど鋭く歯をつける。研磨が不十分だとターニングの際にパティ
を傷つけたり、取り上 げる時にグリルに汚れが残る。
 グリルの汚れはスクレーパーで削り取るのだが、その作業が殆ど必要ないよ
うにスパチ ュラの研磨を行う。また、鋭い歯がついたスパチュラで作業をす
ると疲れない。1時間 の作業を行うのあれば、途中で刃が丸くなるので、ス
ペアーを用意しておく。
6.パティを全部裏返したら、各列ごとに塩コショウを奥から手前に均等に6イ
ンチ(約15cm)の高さから正確に振りかける。そのために、綺麗なテーブル
の上で、この作業 を行い、平均的に塩コショウがかかるか練習をする。
7.戻しオニオンを手前から奥へ1/8オンス(約3.5g)ずつミートパティに
載せる。こ れも片手に21gを掴み、正確に分けられるように練習をする。
綺麗なテーブルの上に 、ミートパティの円を描き、そこに正確に乗せる練習
を繰り返す。
8.ドレス(焼いた上部のクラウンにマスタード・ケチャップ・ピクルスを乗せ
る)したバ ンズが載っているバントレーをグリルクリップ(トレーを掛ける
ところ)に掛ける。
9.105秒後にリムーブブザーが鳴ったら、一度に2枚ずつのミートをスパチ
ュラで取り ながらドレスされたバンズの上に載せていく。
 この時、ミートから出ている肉汁を切ってはいけない。(ダブルバーガー、
ダブルチー ズバーガーのミートパティは肉汁を切る)パティは、ドレスした
バンズの中央に置いて ミートパティを引き抜く要領で載せる。
10.バンパーソンにビッグマックの場合は「クラウンプリーズ」、その他の場
合は「ヒール プリーズ」と声を掛ける。
11.グリルマンの横にいるバンマンが焼き上げたヒールをスパチュラでクラウ
ンの上に乗ったミートパティの上に滑らせるようにして載せる。
12.グリルマンは完成したハンバーガーを載せたトレーをパッケージングエリ
アにまわしな がら「バーガーズアップ」と声を掛ける。
13.グリルスクレーパーを使って2往復でグリル表面の肉汁とカーボンを完全
に取る。
 グリルスクレーパーの刃は特殊鋼で大変硬いので、専用の研ぎ機で研磨し、
剃刀のように鋭くしておく。そして、グリル手前から奥向けて焦げ付いた肉の
カーボンを削りとっ ていく。何回もその作業を行うと刃が丸くなるので2往
復だけで正確に清掃する。
 この基本的なプルレイは簡単だが生産能力が1時間300枚程度と少ない。
そこで編み出されたのがターンレイと言う連続作業で休みなくミートパティを
焼き上げる手順だ。
 ターンレイの製造手順は、最初のミートパティをターニングした後、休むま
もなく、直ちに次の回のミートパティを並べる。次に、最初のミートパティに
塩コショウを振り、 オニオンを乗せる。そして休むまもなく2回目の肉のシ
アーをして、最初の回のミートパティを取り上げてバンズに乗せる。そしてグ
リルを清掃し、スパチュラを拭き上げる 。
 次は2回目の肉のターニングだ。そして3回目の肉を焼き上げ開始。このよ
うに休む暇もなく、理論的に1時間に600枚(疲れやミスを考慮し70%の
高率としても420枚)のミートパティを焼き上げるのだから、一瞬の時間の
無駄も許されない。

(2)無駄な動作をなくす練習

<1>ミートパティの掴み方と並べ方
 そこで、冷凍のミートパティを正確に両手で6枚づつ掴む練習をする。それ
より少なくても多くても、冷凍庫に戻したり、取りにいったりと作業に数秒の
無駄が出るからだ。正確に6枚づつ掴む練習をする。そして、掴んだミートパ
ティを正しいグリドルの位置に並べる。
 グリドルの横幅は900mm、奥行きも900mmだ。直径10cmのミートパ
ティを横に8列並べると800mm。グリドルの左右25mmはコールドゾーンと
言って温度が低いので使えない。ミートパティ同士の間隔は5mm程度あけて並
べる。ピッタリ隙間なくつけて並べると、片側が焼きあがってスパチュラでタ
ーニング(ひっくり返す)する時に横の肉を傷つけるからだ。これだけきっち
りと寸法が決まっていると、ミートパティを正確に位置決めをして置かないと
いけない
 本物のミートパティで練習すると肉が溶けてしまうので、コルクをくりぬい
てミートパティの大きさの模型を作り、それを使って掴んでグリルに正確に置
く練習を考案した。大体1時間ほどで上手になる。
 戻しオニオンを1/8オンス(約3.5g)ずつミートパティに載せる練習も
必要だ。これも片手に21gを掴み、正確に分けられるように練習をする。綺
麗なテーブルの上に、ミートパティの円を描き、そこに正確に乗せる練習を繰
り返す。

 ちょっと細かい作業を延々と述べたが、これはマクドナルドの教育システム
の神髄である。筆者がマクドナルドに入社したのは、銀座に1号店開店の2年後
であった。筆者が外食産業に入ったのは、大阪万博の頃であり、実家の飲食業
に入ったが、まだ水商売と言われた飲食業のノウハウ不足を実感し、勉強が必
要と、大手企業で学ぶことにした。当時の外食でトップ企業は、国鉄参加で列
車食堂などを運営していた日本食堂(現在の日本レストランエンタープライ
ズ)であった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%A3%9F%E5%A0%82

 筆者は地元池袋にあった西武百貨店子会社のレストラン西武の門をたたい
た。レストラン西武は、西武百貨店の社員給食から始まり、社外の大手企業の
社員給食やゴルフ場などのレストランを受託運営していて、日本食堂に次ぐ大
手外食企業だった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E3%83%95%E3%83%BC%E3%
83%89%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%AB%E
3%83%BC%E3%83%97

 当時は飲食店経営には調理技術も必要であると思われていて、筆者は調理人
の道に入ろうと思ったのだった。当時のレストラン西武は、日本橋の大日本イ
ンクビルの最上階で高級なフレンチレストラン「レストランプリンセス」を経
営していたのでそれを希望した。しかし当時のフレンチは厳しい徒弟奉公制
で、筆者のような大卒では年が取りすぎているからと、フレンチのウエイター
に採用された。2か月ほど働いて、フレンチのおいしさに目覚めたが、ウエイ
ターの限界にも気が付いた。当時レストラン西武は、チェーン展開のノウハウ
を学ぼうと米国ハンバーガーチェーンのバーガーキングとの提携を考えてい
た。しかし米国側が日本の牛肉価格の高さと輸入できないことを理由に断って
きた。そこで独自にハンバーガーチェーンの「コルネット」を展開しようとし
たがうまくいかなかった。そこで米国ドーナツ業界でトップのダンキンドーナ
ツとの提携に踏み込み、日本ダンキンドーナツを設立した。ドーナツは朝食中
心の小規模な店舗で、数人で運営できるのであった。ドーナツは、製パンに基
づいた製造技術をマニュアル化し、フランチャイジーに1っか月ほどで製造方
法を身に着けさせたのだった。素人のフランチャージ―に調理技術を教えるた
めに、見事なマニュアルと、ドーナツ大学の授業カリキュラムが出来上がって
いた。店内のカウンターには、アンダーカウンターの皿洗器があり、手洗いは
ほとんど必要なかった。
 筆者がダンキンドーナツ1号店を銀座に開店したころ、やはり銀座三越1階に
マクドナルドが開店して大繁盛していた。ダンキンドーナツも大繁盛していた
のだが、その差は大きかった。ダンキンドーナツの2号店は国立でここも大繁
盛だった。仕事の帰りには近所の甲州街道沿いの夜遅くまで開いている郊外型
レストランに行くのが楽しみであった。それがすかいらーく1号店であった。
 ダンキンドーナツで2年ほど頑張ったが、やはり主食のハンバーガーだと、
マクドナルドに転職した。マクドナルドに入ってびっくりした。外部から見た
マクドナルドは、完璧なマニュアルが整備され、高度にシステム化した調理シ
ステムと思っていた。しかし、ダンキンドーナツよりかなり遅れたマニュアル
と教育システムだった。当時のマクドナルドは米国内でベイビーブームと住宅
の郊外化の波に乗り急成長しており、完璧なマニュアル化システム化は遅れて
おり、ハンバーガーの調理システムもなく、職人芸に依存していた。閉店後の
清掃も前時代的で、皿洗器もなく、パンツ一丁で汗だくの清掃作業2時間の重
労働だった。しかしマクドナルドのすごいのは上記のようにハンバーガーの焼
き方を詳細に定め、タイマーや機器の整備をしたことだ。現在では、その職人
芸に頼らず。クラムシェルで全自動で焼き上げるように進歩している。そのシ
ステム化がマクドナルドのすごさだ。

以下はダンキンドーナツ時代から、マクドナルド転職の経緯だ。
http://sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/96/96-01.html
http://sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/96/96-02.html
http://sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/96/96-03.html
http://sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/96/96-04.html
http://sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/96/96-05.html
http://sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/96/96-06.html

マクドナルドの調理システムの歴史
http://sayko.co.jp/food104/mac1.html
http://sayko.co.jp/food104/mac2.html

続く

              △▼△▼△▼△▼△▼△
● 日本外食ニュースと米国外食ニュース    ——————-■□

最新の情報は私のfacebookに掲載していますのでご覧ください。
https://www.facebook.com/toshiaki.oh

<日本外食ニュース>

柏原光太郎(カッシー)さん発行の飲食業界ニュースまとめのリンクです。

 柏原さんは、文芸春秋の編集者で1967年から続くグルメガイド『東京い
い店うまい店』(私が愛用していた信頼のおけるグルメ本です)の編集長を務
め、自身もグルメとして知られる有名な方です。

10月1日にスタートした「文春マルシェ」は柏原さんと食通販サイト「セコム
の食」伝説のバイヤー猪口由美さんがタッグを組んでいます。「セコムの食」
は残念ながらこの3月に閉業。そこで「文春マルシェ」では、これまでが猪口
さんが築き上げたおいしいものの人脈に、柏原さんの有名シェフの人脈がプラ
スされていて、魅力たっぷりに紹介されています。

おいしいは、ニュースだ

「文春マルシェ」
https://shop.bunshun.jp/store/top.aspx

2018年1月に「日本ガストロノミー協会」を設立し会長に就任しています。
https://www.japangastronomy.com/

食べログフォロワー数5万人。
https://tabelog.com/rvwr/kotarokashiwabara/

飲食業界ニュースまとめ #329 2020/2/18
https://note.com/kassie/n/na39185aa5e30

飲食業界ニュースまとめ #330 2020/2/19
https://note.com/kassie/n/n408fd34b0d27

飲食業界ニュースまとめ #331 2020/2/20
https://note.com/kassie/n/ne6666964c9a8

飲食業界ニュースまとめ #332 2020/2/21
https://note.com/kassie/n/n1e01e7ed2cfb

飲食業界ニュースまとめ #333 2020/2/22
https://note.com/kassie/n/n4d22ba89eaf2

飲食業界ニュースまとめ #334 2020/2/23
https://note.com/kassie/n/n0cbea19fcdb6

飲食業界ニュースまとめ #335 2020/2/24
https://note.com/kassie/n/n2d1981c9e988

みんなの経済新聞
https://minkei.net/

フードスタジアム
http://food-stadium.com/

フードリンク
http://www.foodrink.co.jp/news/

東洋経済オンライン 外食
http://toyokeizai.net/category/restaurant

フーズチャンネル
https://www.foods-ch.com/gaishoku/

Goo外食ニュース
https://news.goo.ne.jp/topstories/business/559/

サンケイBIZ
https://www.sankeibiz.jp/business/lists/service-n.htm

日本経済新聞
https://www.nikkei.com/

流通ニュース
https://www.ryutsuu.biz/

M&A NEWS 食品・外食
https://ma-times.jp/category/manews/food

リテールテック
https://messe.nikkei.co.jp/rt/

<米国外食ニュース>

QSR マガジン
https://www.qsrmagazine.com/

NRN紙
http://www.nrn.com/

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チェーン展開をする企業へのサポートを行っています。
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ご質問、ご相談はeditor@food104.comにお寄せ下さい。

実務的な仕事だけでなく、外食産業を基礎から学びたい、家業の飲食業を
企業にしたい、家業の飲食業を継承したい、外食産業に将来就職したい、
将来独立して飲食業を経営したい、将来外食企業の経営者になりたい、
と思っている方にお勧めするのは、

関西国際大学人間科学部経営学科
http://www.kuins.ac.jp/old_faculty/management.html

立教大学大学院ビジネスデザイン研究科
https://business-school.rikkyo.ac.jp/

立教大学ホスピタリティ・マネジメント講座(毎年9月~12月、30回、受講料5万円)
http://www.rikkyo.ne.jp/grp/kanken/

大学で外食を含む観光分野をきちんと学びたいという方は
立教大学観光学部
杏林大学外国語学部観光交流文化学科
等で学ぶことをお勧めします。
https://www.rikkyo.ac.jp/undergraduate/tourism/
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王利彰の長年蓄積した調理機器開発のノウハウは最適厨房研究会
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