チェーン展開のポイント

チェーン本部サポート 第8回(商業界 飲食店経営2002年)

SVのコミュニケーション能力
SVの基本的な仕事は店舗と本社のパイプ役であるということだ。本社が打ち出すQSCの基準を店舗に守らせるために、店舗のQSCを抜き打ちにチェックし、問題点を正確に相手に伝えなくては行けない。しかし、何時も抜き打ちにチェックしていても店舗は受け身で終始し、毎回同じ指摘に終わることが多い。そのためには店舗の社員をしっかり教育をする必要がある。教育には2種類あり、店舗を一緒に運営しながら教育をするオンザジョブトレーニングと、座学で相手の知識をじっくり確認しながら行うオフザジョブトレーニングとがある。店舗のQSCの抜き打ちチェックとその問題点の分析はOJTであり、OFFJTは社員教育カリキュラム、店長会議、評価会議、ラップセッション(相手の言い分を聞き出すコミュニケーション)などの進行運営だ。

まず、部下の店長を一同に集める店長会議を開催させる。内容は、SV会議を元に進行するのもので、月に1回から2回開催する。一回は店長、もう一回はアシスタントマネジャーとする。アシスタントマネージャー会議は主として、考え方のトレーニングとなる。

優秀なSVを見てみるとこの店長会議の運営がうまいのがわかる。部下にとって重要なのは上司や会社の考え方、方向、ポリシー、年度方針が明確でわかりやすいことだ。それをかみ砕いて伝えるのが会議となる。会議の場では一方通行になるのではなく、参加者の理解度を判断しながらわかりやすく説明する。会議で重要なのは、SVや会社の考え方を一方通行で伝えるのではなく、彼らがその方針をどのように具体的に店舗に活かすかということまで理解させることだ。

また、会社の方針が誤っていたり、修正が必要なことがあったり、地区の特性によりより競合が厳しかったり、サービスやメニューに対する、特別な要望に応えなくてはいけない場合がある。顧客に接して顧客の要望を一番理解しているのは店舗の店長たちであり、彼らの意見、要望を組み上げ、会社の方針の反省させるのはSVの大きな仕事である。そのためには双方向の意見交換が可能な会議の運営であるべきだ。

会議の運営は資料の準備、進行方法などかなりの熟練が必要になる。経営者がそれを自ら教えるのは大変時間がかかるので、ベテランのSVと新人のSVを組み合わせ、会議を同時に開催させると良い。一つの会議に参加させるSVエリアの数は3名程度が適当であり、それ以上多いと参加店長の数が20名を越え、参加者全員の積極的な関与が難しくなる。

SVは会社の方針に忠実に従い、担当店舗の方向性を明確に伝えなくてはいけない。店舗を回りながらそれぞれの店長や社員に伝えていくことは可能だが、話す途中で言うことや表眼が変わり、正確に伝わらないことが多い。また、一方通行で会社の方針を伝えても店長が理解したかどうか、確認することは難しい。店長とSVに求められる能力で大きな差がでてくるのがこのOFFJTの能力だ。がむしゃらに朝から晩まで働けば店舗は店長独りで回すことが可能だし、その店長の姿を見て部下は育っていく。しかし、5~7店舗を担当するSVは一つの店舗に一日中居て切り回すことができない。部下の店長や社員の教育の効率化が必要である。そこで、OFFJTの際に、部下に正確に教育できる能力が必要になる。また、将来、地区部長や営業部長、本社本部各部の幹部に昇進させる際に必要なのは、色々な分野の人たちにわかりやすくコミュニケーションをする能力だ。経営者はSVになった早い段階で、このコミュニケーション能力を身につけさせるようにする。

さて、会議の運営進行の方法であるが、まず会議の運営方法のマニュアルが必要である。会議運営方法を以下のようにマニュアル化することにより、各人の経験と勘に頼っていた会議の運営を、如何に科学的に構成し、スムーズに運営できるかわかるだろう。

A)会議の運営方法の基本
会議の種類
(1) 伝達会議
会社の経営方針、年度方針、新商品発売、販売促進計画、利益分析、等、経営幹部会議で決定した内容をSVが店長たちに伝達する。例えば、就業規則や罰則規定の変更などを伝える場合に、それを説明するだけでなく、実施に当たって予測される問題点や疑問点などについて、あらかじめ回答を用意し、質疑応答に答える場合などをいう。この型の会議ではSVの統制と関与の程度はかなり強くなる。

(2) 討議会議
会議で会社の方針だけを伝達して一方交通で終わる場合が多い。それでは参加した店長たちが本当に会議のテーマを理解したか、店舗で部下の従業員にわかりやすく説明することができるかがわからない。会議の目的の一つは会社の方針を具体的に自分の言葉で理解させることである。そのためには店長たちの過去の知識や経験に基づいた意見や考え方に基づいて、積極的な質疑応答やディスカッションを行わせ、参加者全員が自分の言葉で説明をできるまで理解させるべきだ。会議のやり方は以下の3つに分かれる。

1) 自発的意志決定誘導型会議

SVはテーマに対する一応の結論や回答をもっているが、それを発表しないで店長たちから積極的な意見や考えを求め、その結論と同じもの又は一層良いものに到達させるという式の会議である。例えば、経営幹部会議で、店舗の人件費が年間予算を超えており、早急に削減が必要だという結論が出されたとする。それをすぐ現場に命令しないで、その結論が出たときと同じ手順や条件を出して全国部長会議、統括SV会議、店長会議と段階を踏んでディスカッションを行わせ、同様な対策や結論を得させるようにする。そうすれば、その結果について発言した各参加者は自分の発言に責任を持って、問題点の改善に取り組むようになる。訓練会議もこの型がとられることが多い。

2) 問題点に対する原因探求会議

一つの問題について参加の店長から多くの情報や意見、解決策を求める。それらの情報や意見をSVや統括SVは上級の会議に上申し、店舗の問題点の改善を会社として取り組もうという物である。店舗の問題点を理解し、解決可能な現実的な対策を打ち出すために必要不可欠な手段である。料理の味やサービスに対するクレームへの対策、労務災害や事故、退職率の増加や求人上の問題点などの原因探求によく用いられる。

3) 問題解決会議

参加の店長たちに意見や考えを積極的にディスカッションさせ、一つの問題についてどうすべきかの対策を求めるものであって、店長会議や店内会議などの現場で多く行われる。参加の店長や社員によって結論が出されるもので、社員だけでなくアルバイトパートまで参加させるとより効果が高くなる。

問題点の解決策を会社や上司のSVから頭ごなしに言われるとそれが正しくても実行する気がしなくなる。時間はかかるが店長たちに問題解決の対策を具体的に立てさせると、自分たちの立案した解決策だから、責任を持って実行するようになる。

B)会議の計画と準備
(1) 会議を開くかどうか決める
本当に会議は必要か、何時も行っているので惰性で開催していないかを考える。会議のための会議であっては行けないからだ。会議を開く前に以下の4項目をチェックし、本当に必要な会議であるか判断して、開催を決定する。

1) 会議ででてくる問題は自分の責任権限の範囲で解決できるか

会議では部下の店長から問題解決の具体策、改善策を提案される。そのときに自分の決済でできるのか、それとも上司や会社の他部門の決済が必要なのかを瞬時に判断して、回答を出さないと部下の店長からの信頼を失う。会議の前には提案や改善策を事前に予測し、それに対してどのような回答をすることができるのかを検討しておく必要がある。事前に以下の項目をチェックしておく。

自分だけで処置できるか
上司の統括SVや部長などの上司との相談や決済を必要とするか
本部、本社の各部スタッフの人々と相談する必要があるか
部下に任せられないか
2) その問題は会議以外の方法によって処置できないか

会議は大変有効なコミュニケーション手段ではあるが、反面、大きな時間の消費である。外食産業において、一番重要なのは顧客に対して最大限のQSCを提供することであり、なるべく多くの時間を店舗現場で費やすべきである。そのために会議はなるべく必要最小限にしなければいけないのだ。会社が大きくなるにつれ無駄な会議や会議のための会議が開かれるようになり勝ちなので、会議を開く前には以下の内容をチェックしなくては行けない。

文書による連絡、協議で代行できないか
電話やFAX、メールの方が効率がよいか
問題のある店舗は限定しており、その店長と個人的にじっくり話し合う方がより効果があるのではないか
他の会議議事録やマニュアル、作業指示書などを提出したり、読ませたりすればすむ問題ではないか
3) 会議が必要な場合の一般的基準

それぞれのSVに会議開催の必要性を判断させるのは無駄な仕事である。基本的には経営者や本部本社は年間の必要な会議スケジュールを作り上げて最低限の時間を会議に費やさせるようにする。それでもSVの判断で会議を開くことがあり得るので、その場合には以下の項目で必要かどうか自己判断させる。

多くの人が関係するので会議の方が効率良いか?
多くの人の知識、経験、協力を必要とするので、一同に会した方が良いか?
多くの人に同じ情報を正確に知らせる必要があるか?
予算会議などのように会社の年間予算をたてる上で必要不可欠な会議のように、規則や年間行事で、会議にかけることになっているか?
多方面、多分野の情報の同時解決が必要か?
会議の目的がはっきりしているか?
(2) 会議の進め方のプランを立てる
会議を開くことが決まったら次には準備が必要だ。配付する資料をわかりやすく作り直したりする必要がある。経営会議などで提出された資料をそのままコピーして配ると自分の言葉で説明できなくなる。手間がかかっても経営会議などの資料を基に、よりわかりやすい内容に書き換えることにより、より効果的な会議の運営が可能になる。また、どれだけSVが真剣に会議の準備をしているかを部下の店長は判断するので、きちんとパートナーのSVとディスカッションをしながら準備をすすめる。他部門の専門家に会議に参加して説明してもらう場合でもその専門家と事前に打ち合わせをして、内容を理解してから会議に臨まないとならない。専門家の場合、店長の知識レベルを考慮しないで話を進め勝ちなのでその場合にはフォローをしなくては行けないからだ。事前の準備に必要なのは以下の内容だ。

会議の目的を皆に十分に納得してもらうために何を、どのように話すか。
皆の考えや意見を引き出すために、どのような質問を、どんな順序で投げかけるか。
どの程度までその討議を掘り下げ、どのような要点をはっきりさせるか。
その説明や討議に必要な情報やデータなどであらかじめ準備しておくことはないか。
説明や討議の内容であらかじめ上司の統括SVや部長、他部門の専門家の意見や考えを聞いたり、相談しておくことはないか。
会議のため所要時間はおよそどれくらいでよいか。基本的には一つの議題に連続して集中できる時間は2時間くらいであり、それ以上になる場合には昼食や休憩を挟むこと。会議を短時間で終了するためには事前の情報や資料の配付を行うことが重要である。
(3) 必要な資料・データを整え、全員に通知する
説明のために必要な資料、実物、写真、絵などのデータは十分に用意する。
説明により各人に配布するプリントを人数に応じて十分に用意し、できればあらかじめ配布しておく。
参会者にはあらかじめ開催日、時刻、場所などを知らせる。必要により、資料、ノート、筆記用具などを持参するよう伝えておく。会議の連絡は緊急な物以外は少なくても1ヶ月以上前に伝達し、定例的な会議開催日は、5日、10日、月曜日、火曜日、等と決めておくと店舗のスケジュールを組む際に障害とならない。
議題についてあらかじめ考えてくるよう依頼しておく。
場合によっては良い成果を出している店長に依頼し、詳細なレポートや発表を依頼しておくとよい。他店の参考になるような内容は数ヶ月前から依頼して事例をわかりやすく準備させると良い。優秀な店長であれば他店の参考になる内容をきちんとまとめられるはずだ。また会議運営の能力はSVにとって重要な能力であり、SV候補の店長の教育にも最適なのだ。

(4) 会議場を整える
ディスカッションをスムーズにおこなったり、参加者の注意力を集中させるためには会議場の環境は大変重要である。

皆が話しやすく、聞きやすく、見えやすく、落ちついて討議に集中できるようにする。
外から突然の参加者や面談、電話などの邪魔が入らぬよう配慮する。
出入その他室内動作が討議を妨げないよう、レイアウトに配慮する。
椅子、テーブル、灰皿、飲み物、食事、などを用意する。昼食を挟んで会議を行う場合には、外部に食事に行くと集中力がなくなる場合があるので、時間の短縮のためにも事前に弁当などの手配をしておく。
会議中は基本的には禁煙とする。喫煙しながら会議を進行するとだらだらとし勝ちなので、喫煙は休憩時間のみとする。

C) 質問の仕方
会議の場では、リーダーは参会者、状況によって、次の質問の型を使い分ける必要がある。

(1) 全員対象質問
これは、別に答える人を特に指定しない質問である、主として討議の初めに用いられ、話題を持ちかけ、問題を明らかにしてから討議を始めるに際してこの質問を用いる。これによって会議参加者が進んで答えるように、討議の参加に勇気を出すようにする。

例:平均的な水道光熱費に比べ、新店舗の水道光熱費の上昇はどのように思われますか?

(2) 指名質問
気後れしたり気乗りしない人に、また生まれつき消極的で自分の意見を述べるのが下手な人、こうした参加者には、場になれさせたり元気づけるために、特に指名して意見や考えを発表してもらう。また特定な人にその人のもっている専門知識や経験を述べてもらう場合、参加者の意欲がかたよらないようにする場合、特定の参加者の注意を集中させたりする必要のある場合に用いる。

例:○○さん、今の意見について何か考えがありますか?

(3) リレー質問
参加者の中には、自分の意見を述べずに会社の考え方や回答を知りたがったり、SVの意見や回答を求めたがる人がいる。こうなると参加者がますます、自分で問題点を考えたり問題解決しようと思わなくなる。こうした場合、SVは直接回答することはやめて、他の誰かに代わりに回答させるようにする。つまり、質問を多の人にリレーすることだ。

例:Aさんの質問に対して、○○さんはどう考えますか?

(4) 投げ返し質問
参加者がSVに対して、意見や回答を求める場合、自ら深く考えようとしないか、又は自分で意見をもっているが、あえてSVに質問してくることがある。こうしたときに、リーダーは直ちに返答しないで、同じ質問を再び本人に投げ返し、深く掘り下げたり、質問の真意を探ってみる。こうすることによって、相手に考えようという意欲を出させるのである。また、SVをライバルと思っている店長の場合にも、SVの考え方を発表させようとし勝ちであるので、その場合には逆に彼の意見を言わせるようにする。

例:それは鋭い質問ですね。さて、○○さん、あなた自身はどうお考えですか?どうしたらその問題を解決できるのでしょう?

D) 討議指導の手順
会議をうまく進めるには、次のような手順を踏むとよい。

(1) イントロダクション
まず会議の議題を説明し、参加者でディスカッションさせる。ディスカッションテーマの問題点をはっきり説明し、その課題に関係する必要な情報やデータを文書や表でわかりやすく説明して、会議の目的を明らかにする。こうしているとだんだん参会者の関心が高まり注意が問題に集中するようになる。

(2) 意見を引き出す
ディスカッションで議論が活発になされるようになったら、次に、その問題に関係ある各参加者の考えや意見を質問によってより具体的に引き出す。さらにその問題に関係ある参加者の過去の経験、失敗談、成功事例、情報も引き出す。

注意:質問は司会者の武器であると理解すること。会議は全て主催者が話す必要がないのだということを理解しなくては行けない。参加者が話せば話すだけ彼らの理解度が高まると言うことを忘れてはいけない。

(3) 結論に導く
皆から出された意見や考えや情報を、質問によって比較したり、区別したり、結合したり、分析したりして、問題の解決に役立つ意見や考えを識別評価させて、だんだん皆の意見や考えを一致させ、結論へもっていく。

(4) クロージング
最後に、全体の会議をまとめる。同意の得られた結論や一部の主だった意見をもう一度振り返り整理整頓してまとめる。黒板や紙などのまとめてわかりやすく表示すると良い。場合によっては参加者の店長の中に書記を指定し、黒板でまとめた内容を清書し、会議終了後すぐにコピーを配布し、店舗で活用できるようにすると仕事がスピーディーになる。

E) こんな場合の対策
(1) 皆の発言が低調な場合
SVが会議の議事進行に慣れず、最初から堅い口調で、人の言葉を借りてしゃべると会議が面白くなく、参加者がしらけてくる。また、新人のSVの場合には担当の店舗を完全に把握していなかったり、店長とのコミュニケーションが不十分だったりすると、会議の進行がぎくしゃくし、参加者の発言が少なくなる。その場合には以下のように対処する。

何故発言しないのだ等と怒ってはよけいに会議がしらけるので辛抱強く指導する。
皆が興味を持っている話題を提供する。
余り堅い話をするとしらけたりするので、実例、実話、場合によってはSV自身の失敗談などを話し、興味と関心をかき立てる。
答えられる人にまず質問を向けて討議のきっかけを作り、他の参会者にも討議を発展させる。場合によっては参加の店長の一部に事例発表を用意させ、簡単な発言を依頼しておく。そして会議でその店長を指名し、スムーズに発表を行わせると、他の店長も自然に発言をするようになる。
最初はハイか、いいえで答えられる簡単な質問を出し、それから何故そうなるのか、問題解決のためにはどうするのかという掘り下げの質問に進んでいく。
好奇心に訴えたり、刺激するよう全体質問を投げかける。
(2) 内気な参会者がいる場合
その人に答えられる簡単な質問をしたり、店長の店舗の成果をほめて、何故そのようなことができたか聞いてみる。自分の店舗のことであれば内気な店長でも自信を持って答えることができるはずだ。そして、話し出せばだんだん自信がついて、スムーズに他の議論にも参加をするようになる。
店長から、些細なことでもよい意見がでたら誉めてあげる。人間ほめられると自信がついてさらに話を続けることができるようになる。
余り適切な意見でなくとも、辛抱強く取りあげ、真剣に耳を傾ける。SV自身が話すよりも聞き上手になることが大事なのだ。
(3) 脱線した場合
ディスカッションが活発になっていくと、場合によっては脱線したり、議題と全く異なった内容に発展して、時間の浪費が始まるので、SVはコントロールを始めなくては行けない。

脱線したことが、議題とどういう関係があるか尋ねる。
参会者の発言を、議題に結びつけて、議題についての討議に戻るように導く。
議題に密接に関連のある、新たな話題を提供する。
脱線した討議を打ち切るよう、提案して了解を得る。
討議された内容を要約して、ケリをつける。
その討議を若干時間認める。
(4) 紛糾した場合
色々な店長が参加するわけだから、テーマに対して合意しないで、意見が分かれたり、場合によっては感情的に言い争いになったりする。会議で感情的な言い争いが発生することは百害あって一利なしなのでうまく収拾を図らなくては行けない。

すぐに関与するとディスカッションがしぼんでしまうので、しばらく放置する。
感情的な発言を続ける店長に対しては視線を向けてコントロールする。
SVが立ち上がり、紛糾している店長たちに歩み寄ることにより、参会者に紛糾した事態に注意を向けさせる。
黒板を使って討議の中心を示したり、発言を整理して、ディスカッションの内容を他の店長に示したりする。
信頼のおける店長に質問を投げかけ、紛糾した場面を調停する発言をするよう仕向ける。
他の角度や観点から問題を考えさせるような質問を投げかける。
自信を持った態度で丁寧に、秩序ある討議をするよう指導する。
場合によってはコーヒーブレークを挟み、感情的な雰囲気の沈静化を図る。
(5) 参加者の間で言い合いを始めた場合
SVの発言で仲裁をする。
両者が冷静になるようしばらく放置する。
他の店長やベテランの店長の意見を聞く。
言い合いの内容が議題にとって役に立つものであれば、両者の発言を黒板に整理して皆で検討する。
(6) SVに抵抗する参会者がいる場合
同じ店長の中から抜擢された新人のSVに対しては挑戦的な態度をとる店長が必ず存在する。その場合には

他の参加者に発言させることによってコントロールする。
その参加者の言い分を十分聞くようにする。
SVがその参会者を圧服しようとすることは、SVの自信のなさを物語る物であり、とってはならない態度である。
(7) SVが述べる結論を認めようとしない店長がいる場合
どんな場合でも、自分の存在感をアッピールするために些細な表現や結論にこだわる店長が存在する。

表現が異なっても同じ意味の結論が店長の口から得られるように注意深く討議を導く。
リレー質問を用いて他の店長の口からその参会者に対して話してもらう。
賛成者、反対者の数を読み、反対者が多ければ、よりわかりやすい表現に置き換えていく。
(8) 常習的な反対者がいる場合
店舗の実績がない店長の場合、周囲の店長に自分の実績やリーダーシップをアッピールするために常にSVにチャレンジしたり、SVの意見に反対をする場合がある。その場合にでも

なるべく相手の立場に立って考えさせるようにする。
反対する意図をくんでやる。
他の店長にも受け入れられるように発言を言い直してやる。
リレー質問を用いて皆の意見をわからせる。
投げ返し質問をすることによって、当人の本当に言いたいことを発言させる。
(9) 統括SVや部長などの上司が会議に出席している場合
SVの上司や経営者が会議に参加すると参加者の店長は萎縮して意見を述べなくなったり、改善や意見を会社に対する反抗だと判断されないかと、消極的になってしまう。そのためには以下のような注意を払う。

他の参加者と同じように扱う。
上司の前で他の参加者が困るような場面に追いやらない。
上司に結論的なことを述べないよう前もって依頼しておく。
参加者を萎縮したり、点取り主義的な発言をさせないように上司にメモをとることを控えてもらう。
(10) 会議以外のことで参加者が動揺したり、討議に熱が入らなくなったりした場合
原因を取り除くよう手を打つ。
その原因をたくみに会議の指導に利用して、逆に討議の雰囲気をもり立てる。
休憩にするか、後日また会議を開催することに変更する。
お断り

このシリーズで書いてある内容はあくまでも筆者の個人的な経験から書いたものであり、実際の各チェーン店の内容や、マニュアル、システムを正確に述べた物ではありません。また、筆者の個人的な記憶を元に書いておりますので事実とは異なる場合があることをご了承下さい。

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