米国レストランピリ辛情報 「63#シリコンバレーの中華料理」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2006年11月号 NO.482)

サンフランシスコの新興の中華街
サンフランシスコ、シアトル、ニューヨーク、横浜、神戸、などの港町には貿易や出稼ぎなどで移民した中国人が集まって独特の雰囲気の街を作っており、サンフランシスコ市内には西海岸の鉄道工事に出稼ぎに来た中国人たちが作った、米国一番の規模のチャイナタウンがある。
中国人から移民したての貧しい頃は中華街に身を寄せるが、事業で成功するように
なると段々、高級な街に住みたくなる。サンフランシスコ中心の中華街は駐車場が少ないし、歩くには坂が多くて住むには不便だし物価も高い。そこで、中国人たちはハイウエー101沿いをシリコンバレーの方に南下し、サンフランシスコ空港の付近からシリコンバレー入り口のマウンテンビューなどに住み着くようになってきた。マウンテンビューにはレストランを中心とした小さな中華街が誕生して数十年経過している。
しかし、最近さらに新しい中華街が誕生している。そのきっかけは1997年7月1日の香港返還からだ。それ以来、香港籍中国人達が環境、雰囲気の似たサンフランシスコ周辺に移住を開始した。また、台湾のコンピューター産業が米国との取引拡大により、台湾から家族ぐるみでシリコンバレーに移住するようになった。郊外のシリコンバレーは環境が良いと、それらの裕福な中国人に好まれ、多くの不動産を取得し居住を始めたのだ。
それらの中国人を対象にランチ99と言うショッピングモールがカリフォルニアに中華ショッピングモールの多店舗展開を開始した。キーテナントのランチ99マーケットは新鮮な魚(活け魚)や野菜、そして中国食材を豊富に販売している。米国の食の醍醐味は豪快なバーベキューだが、何時も肉ばかりでは飽きる。筆者の好物は鰻の蒲焼だが、米国では手に入らない。そこで、代替として鯰の蒲焼をバーベキューグリルで作るのだ。ランチ99では生簀の新鮮な活きた鯰を目の前でさばいてくれるのが嬉しい。
さて最近、サンフランシスコ郊外シリコンバレーの人々が東南アジア料理を話題にするとその中心はミルピータスMILPITASになる。ミルピータスはシリコンバレーの中心サンノゼ市の北側にある新興の住宅地だ。サンフランシスコからハイウエー101に乗って60KMほど南下するとマウンテンビュー市になり、そこからハイウエー237に入って、数マイル進むと左右にショッピングモールが広がっている。そこがミルピータス市で、過去10年の間に東南アジア人が倍増している。
現在のミルピータス市人口63000人の出身地の半分は東南アジアとインドとなっている。これは1990年人口統計の倍の数値である。その結果、彼らの出身地のレストランが増加することになったのだ。
市のレストランは296店舗あるが、その料理は香港スタイルの飲茶、インド、マレーシア、中国イスラム系料理、タイの麺、日本の寿司、韓国の豆腐料理、ベトナムのフォー、ハワイアン料理、と幅広い。
さて、ランチ99は10年ほど前にミルピータスにマッカーシーランチと言う北カリフォルニアで最大規模の中華ショッピングモールを開業し、ランチ99の食品スーパーの他に、集客力の強いサンフランシスコ市内ゲアリーストリートの有名中華料理店、五月楼Mayflower Seafood Restaurantを誘致した。
http://www.milpitasquare.com/directory.htm
その五月楼の周囲にはさらに色々な中華料理店が開業し、日曜日には昼間から飲茶を楽しむ人でにぎわっている。五月楼は300席ほどの巨大な客席を備えており、昼は広東スタイルの飲茶、夜はサンフランシスコの新鮮で豊富な魚介類を使った本格的な広東料理を楽しむことが出来る。美味しいレストランのポイントは、優秀な調理人、高価な料理を楽しむ財力のある顧客、新鮮で豊富な食材であり、五月楼はその3つが造り上げた素晴らしい中華料理店だ。
筆者の大好物はサンフランシスコで取れたダンジネスクラブのガーリック炒め、グルーパー(鱈科の脂の乗った魚)の蒸し上げ、北京ダック、雪豆(さやえんどう)か豆苗(とうみょう)の炒め物、などで、シリコンバレーを訪問するときには必ず訪問するお店の一つとなっている。
中華料理は苦手だという人も心配しなくても大丈夫だ。ハイウエー237号線をはさんでマッカーシーランチの北側には、米国人向けの、アップルビーズ、イン・アウト・ハンバーガー、ブラック�アンガス、スポーツバー・デイブ&バスターズ、がウオールマートを中心としたパワーセンター周辺に展開しているので、米国人も好きな食事を楽しめるようになっている。
サンフランシスコを訪問するときには古い中華街だけでなく、シリコンバレー・ミルピータスの中華街を訪問することをお勧めする。

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