米国レストランピリ辛情報 「DRI社の新業態 スモーキー・ボーンズ」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2005年10月号 NO.469)

DRI社の新業態 スモーキー・ボーンズ Smokey Bones Barbeque
読者の皆さんはDRIを御存知だろうか?ダーデン・レストラン・インク Darden Restaurant Incの略だ。大手食品メーカーのゼネラルミルズの外食部門をスピンオフしてできた会社だ。
現在の総合店舗数は1300店舗、従業員は145000人、年間売上は5500億円に上る。DRIはネーションズレストランニュースNRN誌2005年6月27日号の米国TOP100社ランキングの発表で会社として売上げ規模で、1位コンパス(給食)、2位マクドナルド、3位ヤム(KFC,ピザハット、タコベル等)、4位アラマーク(給食)、についで第5位となっている。主力のブランドとして日本にも進出したことのあるフィッシュレストランの最大手レッド・ロブスターを680店舗、カジュアルイタリアンのオリーブガーデンを543店舗展開。その他にスモーキー・ボーンズ、バハマ・ブリーズ等のチェーン展開をしている。
DRIの成功の要因はカジュアルレストランのような雰囲気とサービスであるが、客単価が12~15ドルとリーズナブルだと言うことで、米国で新規コンセプトのチェーン展開をする際の価格設定として参考にされている。
昨年12月に退任したジョー・リーJoe Lee 氏がビル・ダーデンBill Darden氏とともに1967年のレッド・ロブスターの1号店の開店から携わってきた。レストランは1970年にゼネラルミルズの傘下に入り、1975年にリー氏はレストラン部門の副社長に、1979年に社長、1991年には親会社ゼネラルミルズの財務担当上級副社長まで昇進した。1995年にDRIとしてゼネラルミルズからスピンオフした際に、リー氏は社長に就任し、昨年まで陣頭指揮を執っていた。また、全米レストラン協会NRAの会長職も勤め、業界の発展に貢献してきている。
そのDRIの新業態で急成長しているのがスモーキー・ボーンズというバーベキュー・チェーンだ。西海岸には展開をしていなかったのでなかなか訪問する機会がなかったが、シカゴ郊外のウッドフィールドショッピングモールの近所に開店したので、訪問してみた。
コンセプトはロッキーマウンテンの山岳地帯に丸太で建てられた山小屋で食べるワイルドなバーベキューだ。入り口を入ると当時の人たちがくつろいでいた山小屋の暖炉のある応接間があり、その奥に店舗が広がっている。もちろん、ロッキーマウンテンの水で醸造された美味しいビールやお酒を飲めるようにバーも併設。
大人をターゲットにしたお店でスポーツバーのように大型のTVモニターを複数設置し、全ての客席から見えるようになっており、テーブルの上には音量を調節できるスピーカーを設置している。
さて、肝心のメニューには店名からわかるようにアメリカ人の大好きな甘口のソースを使用したバーベキューがずらりと並んでいる。
色々食べたかったのでコンビネーションを注文することにした。
2種類の肉の組み合わせで11.99ドル、3種類の組み合わせで14.99ドル。
人気のBarbeque Ribsも選べるが、サイズにより2.49ドルから3.99ドル追加となる。
肉は6つの肉の中から選べる。
手作りの豚の燻製
ビーフブリスケットの燻製
1/4羽のバーベキューチキン
焼き上げたソーセージの燻製
ターキー胸肉の燻製のスライス
バーベキューリブ
等だ。

その他につけあわせとして
コールスロー
ベイクド・ビーンズ
フレンチフライ
マッシュポテト
グリーンビーンズ
シナモンアップル
をそれぞれ1.69ドルで注文できる。

試食は3種類の肉+バーベキューリブにしたが、そのボリュームの多いこと、
思わずお持ち帰りを頼んだ。米国でうれしいのはどんなお店でもお持ち帰りができることだ。米国繁盛店の一つのポイントはボリュームが多いことだが、いくら米国人の体が大きいからと言ってそんな大きな料理を平らげることはできない。料理を残すとウエイターは必ずお持ち帰りをするかと聞いてくれる。どの店舗にもドッギーパックと言う持ち帰り容器を置いており、お客様の要望に応えられるようにしている。日本では最近は食中毒の恐れからほとんどの飲食店で持ち帰りを断るが、米国の場合消費者の自己責任で持ち帰りをする。これにより店舗は高い客単価を維持しながら、顧客に価値観を提供できると言う戦略をとれるし、残飯が少なく環境問題も発生しないと言う副次的なメリットもある。
さて、午後3時の一番暇な時間帯に訪問したのだが、15名ほどのお客がバーでお酒を飲んでいた。夜になると活気あふれるお店になるだろう。
NRN誌7月25日号のSecond100チェーンの発表によると、スモーキー・ボーンズは昨年の188位から今年は128位へと急成長し、現在104店舗となっている。今年の5月29日の時点で過去1年間で35の新店舗を開店。そして今年はさらに急速展開をする予定であった。
しかし、急成長がたたり、1店舗平均の売上げが低下すると言う問題も抱えはじめた。1店舗の平均年商は昨年が320万ドルだったが、今年は310万ドルに低下してしまった。2004年既存店対前年売上げの伸びは1.1%に過ぎなかった。その原因は地域的に不振店があることと、当初の店舗立地に問題があったということのようだ。地域を分析してみると、フロリダと北東部地域が一番好調で平均年商が390万ドル、不振なのはフロリダを除く南部で270万ドルだった。当初に開店した10店舗は立地に問題を抱え、2003年と2005年にそれぞれ1店舗づつ閉店をした。
今後の対策はメニューの幅を広げターゲットの客層を広げるとのことだ。テーブルサービス型レストラン業界第一位でも新業態開発に当たっては試行錯誤であることがわかるだろう。今後DRIがどのように新業態を熟成させていくか注目をしていきたい。

○DRI会社HP
http://www.darden.com/

○スモーキー・ボーンズHP

Home

○メニューのPDFファイル
http://www.smokeybones.com/menu/menu.pdf
以上

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