米国レストランピリ辛情報 「Atkinsダイエットと牛肉価格の高騰」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2004年7月号 NO.454)

本誌2004年2月号でAtkin’sダイエットのブームを紹介したが、そのブームは冷めず、過熱状態にあり外食業界は食品業界に色々な影響がでてきている。
全米肥満協会 American Obesity Association によれば, 米国人成人の65%が太りすぎで、31%の人は肥満に分類されている。http://www.obesity.org/
肥満になった消費者から原因は販売するハンバーガーであり、業界トップのマクドナルド社は被害を補償しろと訴えられたほどだ。消費者の肥満に対する懸念への対応として、ファスト・フード業界ではモスバーガーが発表した匠レタスのようにバンズの代わりに、焼き上げたミートパティをレタスの葉で包んで食べる商品を発表している。最初はハーディーズなどの中小のチェーンが発売を開始したが、とうとうハンバーガー業界第2位のバーガーキングがそのハンバーガーを追随販売することになった。業界トップのマクドナルドもテスト販売を開始したようだ。
西海岸中心にハンバーガーチェーンを展開しているカールス・ジュニアの売り物は肉汁たっぷりの大型ハンバーガーだったのだが、時代の流れで顧客の要望が健康志向になっていることに対応した2種類のサラダと低炭水化物サンドイッチを発売する。
低炭水化物チキンクラブサンドイッチはバーベキュー・ソースで味付けをした鶏胸肉とベーコン、トマトスライス、スイスチーズ、マヨネーズ、を新鮮なアイスバーグ・レタスの葉で包んでいる。炭水化物は10gしか含んでいない。販売価格は$3.99だ。
バーベキュー・ランチ・チキン・サラダはアイスバーグ・レタスとロメイン・レタスのミックスにチェリー・トマトとキュウリ・スライス、レッドオニオン、そしてブラックビーンズが入っており、かりっとしたトルティアと炭焼きのチキンスライスをトッピングしている。
バーベキュー・マンダリン・チキン・サラダにはアイスバーグ・レタスとロメイン・レタスのミックスにマンダリン・オレンジ、キュウリスライス、レッドオニオン、を入れ、トッピングにカリットとしたワンタンをと炭焼きチキンを乗せ、味付けは胡麻ドレッシングだ。この2つのサラダは$4.89の売価で

6月2日から販売開始。
しかし、同社の大型ハンバーガーファンへのサービスを忘れていないのはさすがだ。5月26日は米国のハンバーガーデーにあたり、同社はファスト・フードの歴史の中で最大のハンバーガーを販売する。1ポンド(450g)の肉を焼き上げた、ダブル・シックス・ダラー・ハンバーガーだ。アンガスビーフ100%使った225gのハンバーガー・パティ2枚を使用したハンバーガー愛好家向けに開発した物だ。
米国産牛肉のBSE発生で日本は米国産牛肉の輸入を止め、米国政府は米国産牛肉の日本輸入の再開を要請しているようだが、実は米国は日本への輸出能力を失っている。天候不順の干ばつの影響で牛肉生産量が落ちているにもかかわらず、このダイエットの影響で牛肉消費量が急増し、さらに中国の経済成長に伴い、中国が食材輸入を増加させている事が、牛肉や乳製品価格急騰をよんでいる。
この被害を受けたのがカンサス州ウイチタに本社のあるローンスターステーキハウス社だ。複数のアナリストは収益予測、1株あたり34セントが、20~24セントになるだろうと収益低下予測を発表した。この発表をうけて、ナスダックに上場している同社の株価は$29.75から$25.20に15%低下した。同社は300店のステーキハウスを経営しているが、牛肉のコストは1年前に比べて16.7%も上昇しているのだ。
しかし、ダイエットブームの一番の被害者は4年前に株式公開したクリスピークリーム・ドーナツ社で、初めて四半期ベースで欠損を出した。同社は5月初めに利益予想を下方向修正したところ株式の売りを浴びて株価は大暴落した。5月2日の第1四半期の結果は1年前に$13.1ミリオンドルだったのが、今期は$24.4ミリオンドルの欠損をだした。年間の売上高は20~25%の増加で、既存店の対前年売上の伸びは5%程度と、売上が順調なのに欠損を出した原因はMontana Mills Bread Co.等の別事業の事業撤退が原因で、その撤退費用を差し引けば$14.3ミリオンドルの利益であり、昨年度より多少良いはずだと同社は発表している。しかし、投資家はダイエットの影響はより同社の収益に悪影響を与えると見て、同社のニューヨーク市場での株価は過去1年間で一番高かった2003年8月の$49.74から、5月末の$19.85と半分以下となっている。
http://www.ckr.com

著書 経営参考図書 一覧
TOP