米国レストランピリ辛情報 「シカゴ編その2 シカゴのマルチコンセプト会社レタス社の最新動向」(綜合ユニコム 月刊レジャー産業資料2002年8月号 NO.431)

「シカゴ編その2 : シカゴのマルチコンセプト会社レタス社の最新動向」
月刊レジャー産業2002年2月号 NO.425でご紹介したLettuce Entertain You Enterprises, INC. の最新の動向をフォローしよう。レタス社のコンセプトで一番興味深いのは、シカゴダウンタウンの高級ショッピングモール、ウオータータワー中二階にあるフードコートのfoodlifeだ。ほかの店舗は写真撮影しても何も言われないが、ここだけは厳重な禁止令がでており、監視は大変厳しい。ここで開発したコンセプトを販売するためにノウハウの漏洩を嫌っているのだろうか?

店内は高級なフードコートを点在させ、入り口を入る際に客にカードを渡し、客はそれぞれのブースで好きな物を買い求めそこで、カードに記録される。帰る際にカードをまとめて精算する仕組みだ。10年以上も経営しているが毎年その年に最新のコンセプトに入れ替えて運営している。

店内の料理はテックスメックスのトルティア、スープバー、中華麺、モンゴリアンバーベキュー、お総菜、グルメコーヒー、手作りハンバーガー、サラダバー、デザートバー、ジュースバー、イタリアンの生パスタ、などである。

今年の最新のコンセプトはニューオリンズのケイジャン料理だった。南部のニューオリンズ地区の料理はケイジャンとかクレオールとよばれ、元フランス領と黒人奴隷料理を組み合わせたスパイシーな料理が特徴だ。高級料理もあるのだが、ニューオリンズからはダスキンが展開しているベニエ(カフェ・デュ・モンド)や、POBOYというサンドイッチ、ガンボというスープがカジュアルな料理として有名だ。

レタス社が今年取り入れたケイジャンはそのPOBOYとガンボスープだ。POBOYとはプワーボーイの略で、貧乏な若者が腹一杯になるサンドイッチを意味する。スパイシーに煮込んだ豚肉やビーフをたっぷり挟んだり、ニューオリンズ名物の牡蠣フライを挟んだボリュームたっぷりのサンドイッチだ。米国人にとってのケイジャン料理は日本人にとっての京料理のようなあこがれの料理であり、米国ショッピングセンターのフードコートでお目にかかるようになるかも知れない。

昨年以来の独立店舗の新作は2つで、1つはチョップをメインとしたイタリアンのPetterino’sともう一つはタイフレンチのVONG(ニューヨークのトップシェフが開発した高級タイフレンチのシカゴ版)のカジュアル化 VONG’S THAI KITCHEN だった。

VONG’S THAI KITCHEN
6 West Hubbard St. Chicago
312-644-8664

VONGは3年ほど前に開店した、フレンチレストランの雰囲気とサービスでタイ料理を食べさせるという高級店舗であったが、世の中のカジュアル化の波には抵抗できず改装をしたものだ。よりエスニックな内装と、東洋人サーバーにより本格的な雰囲気を醸し出すようにしている。料理は20ドル以下(平均15ドル)にして、より来店頻度を増すようにしている。

レタス社が高級レストランのドミナントを築いているのが、シカゴ郊外のOakbrook Centerだ。ここでレタス社が数年前に開発したギリシャ料理コンセプトのPapagus を食べてみた。ギリシャは東洋にもっとも近い西欧であり、シルクロードを通じて、中近東から中国へつながっている。そのため料理もイタリアよりもより中近東や東南アジアに近く、東洋人にも食べやすい料理がある。ただし、中近東からギリシャの肉や乳製品の多くは羊を多用するため、羊の乳チーズなど独特の風味を持っている。羊の独特に臭味が嫌いな方はギリシャ料理を敬遠し勝ちだ。また、店舗もやや薄暗いあか抜けないお店が多い、そこで、レタス社はテーマをエーゲ海として、ブルーと白のリゾート地風の明るい内装とした。料理も丸ごとの魚の炭火塩焼きと、豊富な野菜の組み合わせで、ヘルシーさを売り物にしている。内装、味とともに日本人の味覚にぴったりだ。

日本ではイタリアンのブームの後、スペイン料理、モロッコ料理などを模索しているが、日本人の好きなエーゲ海と魚介類を売り物にするギリシャ料理もこれから人気がでそうな予感を感じた。

Papagus
市内
620 North State Street Chicago, IL 60610
312-642-8450

Oakbrook
272 Oakbrook Center Oakbrook, IL 60523
630-472-9800

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