「あなたの店は安全か」エスカレートする「コンビニ強盗」(商業界 食品商業1995年10月号)

コンビニ強盗防犯対策
95年1月号でCVSの安全の状況と対策を見てみた。その時のデーターは94年11月までであったので、94年の12月までのデーターと95年度の状況はどうであったかもう一度見てみよう。

1.データーの説明
表1のように1月から11月22日までの発生件数は128件だった。その後の犯罪が幾つか追加され、最終的に142件の強盗の件数だ。これは新聞に発表されたデーターであり、実際の件数は200件に近いものがある。

このため警察、CVS本部で真剣に対策が練られたためだろうか、本年の発生件数のペースは昨年に比べ減っているようだ。ただ、今年8月日に八王子のスーパーでアルバイトが殺された事件でわかるように、本年の問題は、件数ではなく内容が危険になっていることだ。特に拳銃の使用が大幅に増加しているようだ。つい先日も中野のパチンコ屋から集金途中の銀行員が銃撃され売上金が強奪されると言う事件があったばかりだ。そこで今回昨年のデーターの整理とは別には1月から8月29日までの全ての強盗事件を朝日新聞のデーターベースから拾い上げ、内容を分析してみた。本年の最大の問題は拳銃の使用が増加していること、拳銃を使用する場合には犯行は連続して行われると言うことだ。また、暴力団新法のためか暴力団が短銃を使用し、犯行におよぶじけんもぞうかしている。外人による犯行も相変わらず減少していない。

本年の特徴はCVSより一般の商店がねらわれ、大手チェーンでないため金額が多額になっているという事である。表を見てもわかるように大手チェーンの被害金額が少ないが、チェーンに加盟していないところの被害金額が多いという傾向がある。これはチェーンが防犯対策のノウハウまで持っているという事を表すのだろう。

今年度予測されるのは単なる強盗だけではなく、経営者の誘拐などの荒っぽい事件である。昨年も関西で経営者が車で納金にいく途中を、ねらわれ、誘拐された事件があった。これも暴力団が絡んだ事件であるが、今後このように単なる強盗だけでない事件に一般の小売業の経営者も巻き込まれる危険があり、十分な注意が必要だろう。

2.昨年のデーター
94年の1月からの発生件数を全数データーからまとめてみたのが表1だ。1年間で新聞発表だけで、142件もある。これはコンビニエンスストアーだけのデーターだ。このデーターからチェーン別の発生件数のグラフを見てみよう(グラフ1)大手3社は店舗数が多いため、ファミリーマートが30件、ローソンが28店、セブンイレブンが27店と多くなっている。

グラフ2は地域別発生件数だ。関東地区の発生件数が89件、次に九州15件、近畿11件となる。これはコンビニエンスストアが関東に集中しているためではないかと思われる。

グラフ3は月別事件発生件数だ。6月以降発生件数が減っているのは、年度全般の余りの増加ぶりに、各チェーン及び警察が具体的に対策を実行しているためではないかと思われる。

グラフ4は時間大別発生時間である。2時から5時が多いと言われているが、午後9時から明け方の7時までが多い。特に多いのは2時から6時までの間である。

3.犯行状況からみる犯人像
1.服装
侵入者の60%以上がヘルメットやマスク、目出し帽などで覆面をしている。服装は黒系統の目だたない色が多い。

2.凶器
凶器の殆どはナイフ包丁などの手軽な凶器である。場合によってはタイヤレンチなども使用されている。

3.逃走手段
徒歩が殆どであるが、自転車、車がその次にくる。

4.狙われ易い店舗
店舗の場所の人通りが少なく、レジの位置が物陰に隠れて外から見えない、店員が一人というのが最も被害に逢い易い店舗だ

5.被害金額
平均の被害金額は円で、ある。チェーン別に見たのがグラフ?だ。チェーンにより金額の差があるのがわかるだろう。

6.年齢、職業
年齢的にはばらついているが、高齢者ほど衝動的な犯行に及び、すぐに逮捕されているのが多い。また、女性による犯行が3件ほどあるのが注目される。そのほか、外人による犯行が目につくようになった。外人の犯行の場合犯行を繰り返す特徴があるようだ。 従来、コンビニの強盗は素人が多かったが、暴力団新法による規制が厳しくなったため暴力団による犯行が数件見られるようになったのが特徴だ。従来は刃物が凶器であったが、95年は銃器による犯行もあり十分な対策が必要だ。

4.犯行パターン
同一の店舗で同じ犯人と思われる人間に何回も襲われた店舗がある。また、一晩に数件を襲ったり、連続して襲ったりしているのが本年の特徴だ。同一犯人と見られる犯行で多いのは7店舗を襲った例がある。

5.逮捕状況
新聞発表からの逮捕状況は50%位だが、警察発表では80ー90%の逮捕状況だとのことだ。逮捕率が100%でないのは、店舗での犯人像を明確に掴んでいないためだ。各店舗とも防犯カメラの備え付けはあるのだが、テープを入れていなかったり、作動させていなかったりするようだ。場合によっては犯人がテープを持ち去った例もある。

6.必要な対策「ハードウエアー」
1.防犯カメラ
まず必要なのは防犯カメラだ。従来は単なる白黒の感度の悪いカメラであったが、カラーカメラの方が良い。犯人に服装特に色が明確であるからだ。また、VTRの精度も問題がある。一般的には120分間のテープで24時間記録するのだが、これでは1秒間5コマしかとれない。一般の映画フィルムは1秒間に24枚なのだが。そしてカメラを4台くらい同時に記録するので、同時に4画面写すと画質が荒くなり犯人像が明確でないし、1コマづつ表示するようにすると1秒間に1枚しか写らないことになり、犯罪捜査のデーターとしては不十分である。最近では、1秒間に20コマ撮れるカメラも出ているので必要なら交換するべきであろう。覆面をしていてもコンピュータグラフィックスを利用し犯人の素顔を割り出す手法があるので有効な犯人割り出しの手段だろう。

カメラの位置も重要だ。犯人の多くはヘルメットをかぶったり、つばのある野球帽をかぶっているので、カメラの位置が天井にあると顔がよく写らないことがある。そのため、レジの前のカメラは位置をやや下げ顔がよく写るようにするべきである。カメラの位置を低くし、犯人の身長も計測し易いのだ。従業員の証言を見ると動揺しているためか、身長が実際とかなり異なっていることが多いようだ。

犯人は事前に店舗を視察にくるので、1週間分のテープを分けて記録すると良い。7本のテープを用意し各曜日を記入し、曜日別に記録すれば最低1週間の記録は出来る。また、犯人がテープを取り去ったり、従業員が止めたり出来ないような安全装置のついたVTRを使用しなければならない。最近ではレジの周囲でなく別の安全な場所に置き、鍵をかける例もあるようだ。経営者は毎日テープをきちんとチェックするべきであろう。

2.釣り銭を最小限にする。
被害金額を見るとチェーンにより異なる。ローソンは最も少なく、ファミリーマートは最も多い、その他のコンビには被害金額が多いようだ。強盗を少なくするためには、被害金額を少なくし、強盗は割にあわないという風にしなければならない。ローソンが最も被害平均が少ないのは92年に従業員が刺殺されて以来真剣に対策に取り組んでいるからではないかと思われる。

被害金額を少なくするには1万円札などをレジに入れず、従業員が開けられない金庫などに入れ口をつくりそこに小間目に保管することである。米国の飲食チェーンの強盗対策も全く同様で、1時間ごとに釣り銭以外の売上を封筒にいれ、金庫の内金庫に入れる。内金庫の鍵は店長と集金人の2人の鍵がないと開かないようにしてある。また、当然のことながら金庫は持って行けないような重量で、床に固定してある。

チェーン店は十分注意しているようだが個人営業の店舗の被害金額が多いのが目だつ。チェーンの対策が進み犯行に及び難くなると、個人営業店舗のコンビニや商店が被害にあうので十分な注意が必要だ。

3.入り口のチャイム
従業員が強盗に襲われるのはレジカウンター内に居るときでなく、陳列棚の整理や補充を一人で整理しているときに刃物を突きつけられるのが多い。犯行の多い時間に1人で勤務するときには、陳列棚の整理は最小限にし、入り口のチャイムを取付、人が入ってきたときに分かるようにする必要がある。

4.警報装置
強盗に襲われたときに、非常ベルなどを鳴らせるようにする。スイッチをレジのそばの目だたないところに置き、従業員によくトレーニングする。陳列棚などの整理中に襲われる場合の為に最近では、リモートスイッチを押せば、4カ所に自動的に電話がいくシステムがあるので危険な店舗では備え付けるべきだろう。

また、非常警報装置のスイッチを押すことにより、外の赤い回転ランプが回転し外の通りかかりの人に連絡してもらうシステムをつけるチェーンもある。

5.ドアーと鍵
カウンター内部に入る扉に鍵をつけ外から簡単に入れないようにすると良い。犯人の多くはナイフ等の凶器を使用するので、距離があれば逃げられるからだ。必要なら、カウンター周囲にガラススクリーンなど必要だろう。物理的な距離があれば襲いにくいからだ。

なお、鍵を信頼しすぎてもダメだ。市販している一般的な鍵はマスターキーの入手が容易であり、犯罪のプロは持っているものと思わなければならない。筆者の経験では、ある時家においてあった高額の金を盗まれたことがあった。玄関の鍵はかかっており、家の内部は全く荒らされた様子はなく、内部の犯行としか思えなかった。当時家にでは入りしていたのは、筆者と妻、その他お手伝いさんであった。当然妻は筆者を疑ったが、潔白だ。次に疑われたのはお手伝いさんであり、彼女は警察でポリグラフまでかけられたが、無実であった。しかし、我々にとっては彼女しか以内という感情は拭えず、彼女はとうとう居ずらくなり、やめてしまった。それから2年ほどしてから警察から電話があった、数年前の盗難の犯人が捕まったというのである。空き巣で捕まった犯人が過去の犯行を自白し、その一件が家の盗難の事件であった。警察に聞いたところ彼はプロであり、マスターキーを持っており、家に入り金のおいてありそうな箇所だけを探し、痕跡を残さないのだとのことだった。そこで対策を聞いたところ、市販の鍵ではダメでコピーの作りにくい特殊な鍵を2重につける必要があるとのことであった。鍵を2種類つけてあるとプロは警戒し忍び込まなくなるとのことだった。

また、できれば非常口などがあった方が避難できて良いだろう。レジカウンターは外からよく見える方がよいが、レジの後ろに窓がある場合はブラインドなどを置き、どのくらいお金が入っているか、非常ベルがあるか等見えないようにする必要がある。

事務所の扉は自動ロックにし外から簡単に入れないようにする。仲から外が見えるように覗き窓を設置したり、VTRのディスプレーを置いておく。裏口のドアーも同様に常時ロックして置く。24時間営業でないときには閉店時開店時に裏口で襲われるのが多いからだ。裏口には照明をつけ明るくして置くこと。裏口や玄関には邪魔物を置かないですっきりし、犯人が隠れる場所をつくらないことが必要だ。

6.その他
襲われた後に犯人を捕まえることが重要だ。犯人の多くは徒歩で逃走するので周囲の捜索で捕まることが多いが、最近金融機関の防犯用に使用されるカラーボールも使用も良いだろう。犯人が逃げるときに投げつけ着色液が付着し犯人が分かるようにするのだ。今年金融機関の強盗犯がカラーボールで数件逮捕されており、有効だろう。ただしこれを使用するのは、犯人に危害を与えられないと判断した時だけである。

レジの周囲に凶器になる包丁やはさみ等の刃物を置いては行けない。ある店舗では護身用の木刀をレジの中に置いてあったために、犯人にその木刀で殴られた例もあるので注意されたい。

7.必要な対策「ソフトウエアー」
強盗を防ぐためには上記の設備の対策が必要だがそれだけでは防ぐことは出来ない。日常の心構えが重要なのだ。

1.勤務体制
まず、深夜の一人勤務をなくすことだ。犯罪例を見てみても圧倒的に従業員が一人の時をねらっているので、深夜営業時はなるべく2人勤務が望ましい。しかし、2人勤務であっても襲われている例がかなりあり安心してはいけない。

2.店内を外から見やすくする。
レジカウンターが外から見やすいように窓ガラスにポスターをベタベタ貼らないこと。レジが外から見えないと襲い易いのだ。棚の陳列も高くしないで店内の見晴らしを良くするべきだ。強盗だけでなく万引きにも有効だ。

3.交番の警官巡回
入り口に警察官巡回店舗のポスターが貼ってあるが、警官を見たことがないのでは有効ではない。警察官も人の子だから顔見知りではない店舗の中に入りにくいのだ。なるべく近所の交番と仲良くして、顔なじみになり店の中に気軽に入ってもらい、雑談をする仲にまでなるべきだ。私が環境の悪い新宿の店長をやっていた時には定期的に交番に差し入れにいき、しょっちゅう店舗の見回りにきて貰ったものだ。余り仲良くなり警官が移動の時には挨拶まで来られた物だった。店にきて貰ったらコーヒーの一杯でも出してゆっくりして貰うべきだろう。警察官と仲の良い店だという評判がたてば強盗も襲いにくいのだ。

4.挨拶をする
防犯とは関係ないように思えるかも知れないが、サービスを向上するべきだろう。特に店舗に客が入ってきたときには、いらっしゃいませと目を見ながらきちんと声をかけるべきだ。顔見知りだったら雑談をしても良いのだ。もし強盗をしようとして店に入ったときににっこりといらっしゃいませと声をかけられ、目をあわせたら犯行には及びにくい物なのだ。

犯人は客が他に居ない時間を見計らって犯行に及ぶわけだから、繁盛していつも客がいる店は安全な理屈だ。サービスを良くしてお客と顔馴染みになるのが最も効果的で、一石二鳥だ。コンビニのアルバイトの場合人数が少ない為か、十分なトレーニングをしていないようだ。特に深夜店舗を訪問すると無愛想なのだ。しっかりとしたトレーニングが必要だろう。

5.情報の入手
強盗犯は連続して近隣の店舗を襲う例が多いので、近隣の店舗警察と協力し、犯行があったら連絡し注意をする必要がある。最近警察でも緊急情報をファックスで流す場合もあるようで相談するべきだろ。普段からなるべく警察と仲良くして情報を早くもらえるようにしよう。

6.銀行納金時の注意
売上金を納金するのは店長や経営者が昼間やるのだが、納金に注意する必要がある。時々異なった経路を使用したり、時間を替えたほうが安全だ。道を曲がるときにも強盗が隠れているかも知れないので、大回りをして安全を確認する。スーパーの管理者が売上を納金するときに車で当てられ、降りたら金ごと誘拐された例もある。これは暴力団が絡んだ事件であるが十分に注意されたい。

8.強盗に襲われたとき
以上のように注意していても運悪く強盗に襲われたときの対処の方法をしっかりトレーニングして置く必要がある。

1.ヒーローになるな
決して強盗に立ち向かってはならない。幾ら武術の有段者であっても立ち向かってはならない。お金は働けば戻ってくるが命は戻ってはこないのだ。今後、銃器の使用も予想され十分な注意が必要だ。時々、店舗の人や通行人が犯人を逮捕して、警察が表彰しているが大きなまちがいである。米国のチェーンでは犯人を従業員が逮捕したら処罰するくらいだ。86年にはコンビニに入った強盗を追いかけた大学生が、92年5月にはローソンの従業員がナイフで殺されているのだ。決してヒーローになろうと思ってはいけない。

2.冷静になれ
レジの内部に必要な釣り銭だけ入れて置けば被害額は5~6万円ですむのだ。重要なのは、冷静になって犯人の顔の特徴。鼻、目、耳の形、ほくろの位置、服装、なまり、年齢、身長、靴など正確に覚えて置くことだ。この特徴を正確に警察に伝えることにより犯人の逮捕が早くなる。また、逃走する場合に車を使用するのなら、ナンバー、車の色、メーカー名などをすぐにメモし警察に連絡することが重要だ。また、凶器の種類、サイズも重要な証拠になるので覚えるとよい。

特に重要なのは犯人の身長だ。身長を正確に計測するには入り口のドアーに170CM位のところに目印をつけるなどの工夫が効果的だ。

犯人の観察にはトレーニングが必要だ。米国マクドナルド社では強盗が店舗を襲うVTRを見せてトレーニングする。一回見せて「犯人の特徴を言って下さい」と言うのだが、ほとんどの人が正確に言えない。しかし、テープを何回も見せることにより、犯人の特徴を正確に記憶し、表現することが可能になってくる。テープがなくても普段からゲーム感覚でのトレーニングをすることが有効だろう。

3.連絡
非常ベルがあるのなら、普段から押す練習をさせよう。犯人に分からないように押すことが重要であり、普段から練習していないと、慌てて押すことができないのだ。警報装置を押し、時間を5~6分稼げば警官が到着するので冷静な対応が必要だ。

非常ベルを押せなくても犯人が立ち去ったら、逃走用の車、自転車、逃走方向を確信したら、必要なことをすぐにメモし、110番をする。次に最寄りの交番、警察、経営者、店長、チェーン本部など必要なところへの連絡を忘れないようにする。

慌てると、電話番号がわからなくなるので、緊急用の電話一覧表を電話器のそばにおいておく必要がある。場合によっては犯人が電話を壊していく場合もあるので、最寄りの公衆電話の位置を確認し、電話用の10円玉などを用意しておくことが必要だ。

4.現場の保管
犯行後は直ちに店舗を閉め、犯行現場を保存する。犯人の指紋や、靴跡など証拠を他の客に荒らされないようにすることが重要だ。

9.最後に
警察が防犯対策で強調するのはハードウエアーの用意と従業員2人対策だ。しかしこれには費用が必要だし、かけた費用の効果が十分にでるかどうかは保証の限りではない。 一番効果的な対策はトレーニングだ。防犯対策のトレーニングや襲われたときのトレーニングも大事だけれど、最も必要なのは接客トレーニングだろう。従業員が感じが良く、地元の支持を受けていれば、店舗も忙しいし襲う暇がなくなるのだ。また、犯人の多くは店舗の近くに居住しており、過去に利用した経験があることが多いのだ。利用したときに感じがよい店舗であれば、襲い難くなるのが人間の犯罪心理だ。もし応対がぶっきらぼうで機械的な応対をされたら、襲う方も良心の仮借なく犯行に及べるのだ

筆者がマクドナルド社で西日本の店舗の統括SVをやっていた時だ。ある店舗を土地毎購入したことがあった。町の真ん中のものすごく良い土地が安く買えたのだった。ところがその店舗の回りには暴力団の事務所が20カ所以上、しかもさらに難しい住民が住んでいたのだ(差別問題なので具体的に言えないが)。開店準備1週間しないうちに店長は暴力団の事務所に監禁されたり、警察に言っても取り合ってくれないで散々な目にあった。そして、筆者が県警本部の丸暴の課長と直談判し、開店当日には警官立ち会いで最初のお客はつまみ出すという経験をしたことがある。その時には、開店はしたがいいけれどこれからどうなるのだろうと暗い気持ちであった。ところがその後全く問題がなく店舗の運営ができたのである。その秘密は住民に愛されることであった。実は店舗はプレイランドという子供の遊技場を設置した楽しい物であった。周囲の暴力団や難しい人たちも家族持ちであり、日曜には子供連れで店舗に来店したのだ。自分の子供たちが楽しんで遊んでいる店舗を恐喝したりすることはできなかったのだ。暴力団も人の子だったのだ。

普通の飲食店やコンビニはすぐ潰れるので競争相手がなく、子供も親が十分な小遣いを与えるので客単価が高く、売上の大変高い高収益の店舗に化けてしまった。感じの良い地元にとけ込んだ店づくりが、店舗を繁盛店にし、かつ犯罪を防ぐ秘訣なのだ。

著書 経営参考図書 一覧
TOP