キッチンスタディー- スチームコンベクションオーブンの応用、使い方(柴田書店 月刊食堂1993年4月号)

キッチンの能力を高める最新機器の知識

キッチンスタディー第四回

スチームコンベクションオーブンの効果的な使い方

スチームコンベクションオーブン(以下SCO)は大変高価な機械であり、また使い方が従来のオーブンと異なるため、なかなか使いこなす事が出来なかったり、購入をためらっている人が多い。

株式会社FMIコンサルティング室コンサルティングシェフ 岸 正氏によると、 「従来は温度とか時間を説明したが、どうも構造を説明した方が早く理解しやすい。最初にSCOの各モードの機能を説明するようにしている。特にスチーム、熱風はどう出るかを説明する。調理の経験のある人であれば、SCOの性能がわかれば調理方法は自分で考え出せる。

SCOを使うメリットは時間が早くなるという事よりも、安定して、良い味が出せる事にある。例えば茶碗蒸しは85℃で蒸すと、スが出来ずに、三つ葉なども色がきれいに出来上がり、置く場所によるムラもなくなる。茶碗蒸しを蒸すには、従来の蒸し缶と比べ蒸す時間は一緒である。ただ、水から沸かす時間がSCOほうが早く、結果として早く調理できるのである。

調理をする際にコンピューター制御で温度管理が正確であり、SCOに100%料理を任せる事が出来、途中で何回も確認しなくてもすむ。大量の食材を調理するには今まで考えられないような能力がある。熱の分布が従来のSOより均一なため従来の3倍の量の食品の調理が出来る。従来のSOとの味の違いについては、2ー3回の調理で覚える事が出来きる。一般的に従来のSOより15ー20%温度を低くし、時間を短くするようにしている。

しかしSCOは料理の素材の理解が出来ていないと使いこなす事は出来ない。有名なホテルレストランのシェフは素材の基本を把握しているので一回の説明で理解してしまう。大手のホテルのシェフはすでに、団塊の世代であり、新しい調理方法に対する理解度はたいへん早い。温度と時間の正確なコントロールは当たり前である。良い料理を造るには、ゴルフと同じで、良い器具が必要なのである。」とのことである。

それではSCOの各モードの構造と特性を見てみよう。SCOの構造に付いては3月号で詳しく述べたので参照して戴きたい。

<SCOの特性 >
コンベクションオーブンモード
COとしての機能は、通常のCOと変わりがないと思われている方がいるが、実は焼け方が異なるのである。SCOは一般的に間接燃焼であり、かつ、庫内がCOに較べ密閉されているので、肉を焼いたとき蒸気を入れないでも、中に食品から出た蒸気が溜まり易くその為に部留がよく、ジューシーに焼き上がる。タレ等に漬け込んだ肉類を焼いたときに、庫内に肉汁と共にタレがたれそれが焦げて、多くの煙が出てそれが肉につく問題があるが、SCOは排気のところにクエンチング用のウオーターミストがあるので、それにより庫内に発生した煙りを取り去る事が出来るので連続して調理する事が可能である。また調理終了後次の調理までSCOをスタンバイさせておくとき、庫内にたれた肉汁が焦げてしまうが、スタンバイの調理モードを高温スチームにしておく事により焦げの発生を大幅に減少させる事が出来る。
SCOは高温のスチーム(スーパースチームとも言う)が大きな特徴であるが、ユーザーによっては、COとしてのみしか使っていない場合がある。わざわざ高価なSCOを使う最大の理由は、使用後の清掃が簡単であるからと言うことである。COでローストビーフやローストチキンを焼くとタレや肉汁が垂れて庫内にこびりつき清掃が大変であるが、SCOは庫内にアルカリの洗剤をスプレーし、蒸気で15分間ほど蒸し、水をホースでかければ終了である。

上記の理由で、米国の大手のファーストフードチェーンがバーベキューチキンのテスト販売をしており、成功すれば2ー3年中に全店に展開するとの事である。、 SCOはCOより熱の分布はよいのであるが、熱風をファンで回転させる原理は同じであり、メーカーの機器により、風量分布が異なるので使用する前にそれを見ておく必要がある。厚切りの食パンを耳を切りとり、ラッックに並べ200℃位の温度で5分間ほど焼いて焼けムラを見る。焼けの濃いところには、大きい食材を並べ、弱いところには小さい食材を並べることにより、均等に焼けるようになるのである。また、上下のムラの確認をして置く必要もある。

スチームモード
スチームのモードには3種類ある。
<1>100℃のスチーム
100℃のいわゆる蒸しの機能である。蒸し器と違うのは、蒸気発生器が常に85ー95℃位で余熱待機しているので、食品を庫内に入れてすぐに蒸しをスタートし、タイマーで時間コントロールも出来る事である。また庫内の温度分布がよいので、上下や置く場所を入れ換えなくてもよく、大量に蒸せる。
メーカーにより、蒸気発生器が余熱待機しなかったり、待機温度が異なる。朝スイッチを入れてから何分で蒸気が出てくるか、待機の状態からスターとして何分で蒸気が出てくるかを見ておく必要がある。また、温度分布のチェックと蒸気発生器の能力を見るには、ステンレスのパンに水を張り、5分くらい蒸気で蒸しその温度上昇を計測すればよい。一般的に5分くらいで温度は70℃位上昇するはずである。

ガスタイプのSCOの場合、蒸気の温度が103℃位に上がる物があり、蒸しが早くかつ表面がきれいに仕上がる。

用途としては、一般的な蒸しもの、真空調理の加熱、煮物などがある。煮物はホテルパンなどにつゆと入れ沸騰するまで加熱し、その後70ー80℃で1時間ほど置く。そうすると汁が煮詰まらず焦げ付く事もないので、かき回す必要もなく煮くずれがなく、色もきれいに仕上がる。

<2>低温スチーム
メーカーによっては、低温で温度コントロール出来るスチーム機能を持っている。これは、真空調理、茶碗蒸し、葉物野菜、ゆで卵、の調理に使用される。また、正確な温度コントロールと、湿度コントロールを持っている機種では、肉の低温調理や、保管庫として使用されている。
ほうれんそう等の葉物の野菜は、85℃で5分蒸すときれいな色にし上がる。栄養が逃げずまた時間の余裕が出来る。

低温スチームで大事なのは温度コントロールの精度である。温度は±2℃位でないといけない。実際に温度計を内部にいれ計測する。SCOの温度計は不正確な場合もあるので実測する。

<3>高温スチーム
100℃以上のスチーム加熱の事。スーパースチーム加熱とか、コンビ加熱、コンボ加熱と呼ばれている。100℃以上の蒸気は最も大きな蒸発潜熱を持っており、オーブン庫内に入った100℃以下の食品に触れると、露結し、その蒸発潜熱を食品に伝えるのである。そのため大変短時間に加熱する事が出来、かつ蒸気が庫内に満たされているので、食品の歩留がよくジューシーに調理できる。
この能力はメーカーにより大きく異なるので注意されたい。能力は蒸気発生器と、コントロール方法により異なる。庫内の温度を200℃にして、ステンレスのパンに水を2�入れ、5分ほど加熱する。性能の良い機種であると温度は85ー90℃ほど上昇するが、場合によっては、50℃位しか上昇しない機種もある。この能力が低いと、冷凍食品を大量に調理するときに温度ムラとなり、調理時間も長くなり、歩留が低くなる。

蒸気を使用しないオーブンモードの200℃で同じ水の加熱をしてみると、温度が20℃位しか上がらない。この温度の差が蒸気の加熱能力を物語るのである。

スーパースチーム200℃で、ステンレス容器にはいった水を加熱すると、ステンレス容器の外側に水滴が大量につくのが見える。そして7ー8分すぎるとその水滴の付着がなくなり、容器の表面が乾いてくる。そのときの水の温度を計測すると、ほとんど100℃近くなっているはずである。表面が100℃以上になると、水は露結しなくなる。つまり、食品の表面が100℃を越え出すとそれから以後の加熱時間は、オーブンと余り変わらなくなるのである。

東京ガスの業務用厨房担当の望月氏は、「このモードが上記の温度特性からいって、冷凍のフライドチキンの加熱調理に最適である。冷凍のお握りや、たこ焼きなども大量に加熱できるので、電子レンジに代わる高速加熱方法になるのでないか。また、冷凍のうどん、そばなどもこのモードで、急速に解凍出来るので、厨房の作業の合理化になる。」と見ている。

FMI社ではクックチルの普及につとめているが「SCOで再加熱するのが品質が最も良い。一般の調理でも骨付きの肉類をこのモードで低温でじっくり焼くと、骨離れが良く、柔らかく仕上がる」といっている。

冷凍パンのチェーン展開をしているアンデルセンでは「焼成後の冷凍パンをSCOで加熱すると、焼き立てのように内部がふっくらし、表面がカリット仕上がる。特に、フランスパンのようなパンに向いている」と見ている。

トーエイ工業の志田課長は「コーヒーショップなどのハンバーガーパティを焼成後冷凍し、それを店舗でスーパースチームで加熱するとフックラと仕上がり、肉が柔らかくジューシーになる。今後、調理方法が大きき変わるのでないか。」と述べている。

このモードでのテストは、温度上昇の時間も大事であるが、調理の前後の食品の重量を計測し、どのくらい重量が失ったかを見る事は品質面から大事である。

<SCOの使用実例>
FMI 岸シェフ
*コンビモード(低温)
130℃で煮物を調理する。 煮物も、パンにいれて調理すると煮汁が煮つまったり焦げたりせずにしあがり、野菜の煮くずれがない。魚は蓋をし、野菜や穀類は蓋をしない。また出来上がるまで、かき回す必要がないので手間が省ける。ビーフシチュウ、クリームシチューにも向いている。
*コンビモード(高温)
高温の調理では、鳥や魚の焼き物、パイに向いている。柔らかく仕上がり、歩留まりが良い。芯まで熱がきれいに伝わる。COだと表面が焦げて、水分が失われる。魚の場合、焦げ目がややつきにくいが、味噌漬け等の調味料につけてある場合にはこのモードの方がよい。白身の魚は余り焦げがない方がよいので、コンビモードで焼くと水分が失われずに柔らかく仕上がる。背の青い魚はオーブンモードの方がよい。鳥などのように骨のある物は熱の通りがよい為に、骨離れがよい。コンビモードの調理に熟練するには、ローストチキン等250℃位の温度で色をつける材料からレシピーを開発した方がよい。ミートパイの場合、フィリングの水分を失わずに表面がカリット仕上がる。冷凍食品の加熱、特に冷凍お握りの加熱に向いている。コンビモード150℃で、16分間加熱で、154個のお握りを加熱できる。
*コンビニエンスストアーでのセントラルキッチンでの使用例
弁当は煮物が多い。焼き物は、しゃけ、ハンバーグ、そのほか冷凍食品の解凍調理につかわれる。スーパーマーケットの食品売り場のオープンキッチンでの使用が多い。オープンキッチンで使用した場合、電子レンジで加熱するより、いかにも調理をしているように見え良い。真空調理のパック詰めの加熱に蒸気モードを使用する。ニチイは肉の調理。イズミヤはローストチキンで使用する。パートでも温度と時間の管理が簡単に使用できるので良いとの事。パートタイマーで嫌がるのはやけどをしたり、紙の毛に臭いがつく事であり、密閉して調理できるのは喜ぶ。」
京都の懐石割烹 菊乃井 専務取締役 村田吉弘 氏談
「SCOを3年ほど使用している。従来、日本料理屋は利益率が高く、老舗という事で、旦那は職人に仕事を任せておけば良かったが現在のように競争が厳しくなると、経営者が自らオーナーシェフとして調理をせざるを得なくなってきている。オーナーシェフは協会から派遣する調理人に痛い目にあっているので、自社で調理人を養成するようになってきている。そのためには、調理人を早く養成する必要性がでてきている。仕事の出来ない者に対して会社として高い給料を払う事は出来ないのである。
また働く側の調理人も人生設計しているので、昔であれば10年かかっていた事を5年くらいで修行しないと、先行きの不安がでて脱落してしまう。早く調理を覚えるためには、先輩のつくった調理のマニュアル化が出来たら、誰でもそれを見て作る事が出来る。勿論全部マニュアル化は出来ないし、新しい料理や材料の開発も必要であるが、どんな料理でも基本は一緒であり、マニュアルがあればそれを応用して簡単に出来る。
10年かかって教えていたことを5年間で教えるためには、調理方法をマニュアル化し、レシピー化する事が必要である。レシピー化のためには中心温度の設定と時間管理が大事である。そして、温度と時間を正確に管理しマニュアル通りに料理を作るには、性能の良いSCOのような調理機器が必要になってくるのである。
日本料理もいつまでも経験と勘の時代ではない。見て覚えるトレーニング方法では、味は一代で終わってしまう。代々に味を伝えるには、マニュアル化が必要である。マニュアルは永久に変わらないのではなく、時代に応じて変化させているのである。そのためには、ファーストフードのマクドナルドのような商品も馬鹿にするのでなく、なぜそんなに売れているのかを研究していく必要がある。

新しい料理を考えるときに味付けは大事であるが、それよりも、素材を理解する事が大事である。材料により味の染み込みが違うがなぜそうなるのかという事を素材と対面しながら考える事が大事である。それがわかればどんな機械でもすぐ使いこなす事が出来る。

料理の順番はふつうは、お造りの後、椀をだすが、菊乃井では椀の変わりに蒸し物を出している。この蒸し物に一番手をかけている。そのために、SCOを使用している。SCOは戦略上欠かせない機器となっている。
蒸し物をやる場合のSCOのメリットは、温度の快復力が早いという事である。お客様のペースで調理するので頻繁にドアーを開け閉めしなければならず、温度の快復力の良い物が必要である。温度が下がって時間がかかりすぎると、料理のダレが出てくるのである。
蒸した後、そのまま庫内に保管しても冷めにくく、お客様のペースに合わせ易い。また庫内の温度が一定である事もマニュアル通りの時間コントロールのために重要である。
以前は、各分野のプロがいて勘で出来たが、今は一人で全ての調理をやらないといけないので、正確な温度と時間のコントロールの出来る機械が必要なのである。従来の蒸し缶であれば、湯の量、最初の水温でスチームの出方が変わるし、上下、等の置く場所で出来上がりが変わってしまうのである。また、SCOにする事により場所がとらずまた、厨房の環境がよい。厨房にはなるべく熱が外に直接出る物を使用したくないのである。

そのほかに、低温のスチーム機能を使用し、真空調理をする。ただ、真空調理は繊維質が全て柔らかくなるので、向いていない素材もある。」

新阪急ホテル調理部 デリカ担当 デリカートの料理長 石川一男 氏談
「新阪急ホテルのデリカの食品を調理しており、阪急百貨店等で販売している。80品目程を製造しており、月商1600万円ほどの売上である。現在中型のSCO、真空冷却機を使用している。調理をした後、真空パックし、それをSCOのスチームモードで蒸して殺菌する。そのため一般細菌数は大変少ない。なま物以外はすべてSCOで調理をする。
*調理例
鳥のももを、オーブンモードで焦げ目をつける。→味付けをし、真空パックする。→スチームで蒸す。→冷却し、冷蔵庫に保管する。→配送し、販売する。
ローストビーフと、鳥もも3本、スープ、48時間もつ保冷材、温度計と調理方法のマニュアルのセットを宅配販売している。昨年度は1セット1万円で1800万円の売上をあげた。毎年60%売上が伸びている。本年1月の全体の売上は前年対比で30%の売上が増加している。」

株式会社 ホテル日航大阪 調理部 洋食料理長 日高 弘訓 氏談
「スチームコンベクションは中型小型2台を使用している。50人以上の宴会料理の時に中型のオーブンを使用する。保温機能は使用していない。スペースが節約でき、清掃がしやすいので使っている。
焼き物として使用している。外国製の物の方が丈夫である。真空調理はやっていない、ポリシーの問題である。中華のキッチンで、小型のSCOを2段重ねで使用している。従来の蒸し機の代わりに導入した。同時にスープ釜の代わりにスチームケトルを設置した。最大の理由は、調理場の作業環境の改善である。導入前は夏になると、厨房の反対側が陽炎でゆらぐような暑さであったが現在では大幅に改善された。」

肉の松坂屋 取締役 櫻澤徳蔵 氏談
「3年半前よりSCOを使用している。スチームモードでは朝、サラダ、コロッケに使用するじゃが芋を蒸す。スペースをとらずに場所の節約になる。じゃが芋はゆでるすぎるとグラグラした時に、芋が割れて崩れてしまう。SCOで蒸すと崩れる事がなくきれいに仕上がり、ホクホクして品質がよい。
20Kgのじゃが芋を水洗いし、まるごと1時間で蒸す。ゆでると場合によっては皮の汚れが割れたじゃが芋の中に入ってしまう事があるが、蒸す場合は割れないのでよい。
ニラ、もやし、は3分くらいで蒸せる。ブロッコリー等色が変わらずきれいに仕上がる。にんじんを蒸す。人参はサラダなど用途に応じてカットの大きさと堅さが異なるがカットした後時間をうまく調節して蒸すと、簡単に堅さの調整ができて便利である。鍋でゆでると、湯を沸かす時間がかかるし、熱い湯を捨てるので危険であったが、SCOだとすぐにスチームがでてくるので簡単で早い。
コンビモードでは
*ローストビーフ:
1ー2Kgの肉の塊を、合計20ー30Kg調理する。120ー130℃で1時間ほど調理する。中心温度が35℃になったら、スイッチを切って30分間放置する。そうすると中心温度は50ー55℃になる。普通、COを使ってローストビーフを焼くときに、シーズニングを塗ってすぐに焼くと焦げてしまったが、コンビモードの良い点は、すぐに焼いても焦げ目が付きにくく、流れでない事である。
*ローストポーク
コンビモードで120ー130℃、中心温度が70℃になったらスイッチを切りそのまま30分間放置する。そうすると肉汁が流れ出る事なく味がよい。
*チャーシュー
タレで中心温度が70℃になるように1時間煮込み味を染み込ます。そのまま一晩つけて置く。翌日オーブンモードで焼いて焦げ目を付ける。焼く事により香りが付き、一週間置いても内部の肉の色がピンク色できれいである。
*焼き鳥
鳥肉と、なが葱を串に刺す。タレを付ける。120℃のコンビモードで10分間焼く。これだけだと焦げ目が付かないので、ある特殊な方法で焼け焦げを付ける。低温で焼く事により、肉が柔らかく仕上がり家に持ち帰っても食べ易くなる。
*ポークスペアーリブ
リブにシーズニングを付ける。コンビモード120℃で、20分で焼く。シーズニングで焦げができるのでそのまま出せる。調理時間が短く簡単なので夕方の忙しくなる直前に調理し焼き立てを出すので大変人気がある。以前はCOを使っていたが、3倍位の量が一度に調理でき、清掃も簡単でよい。
*採算
元々松坂牛の専門店であったが、スーパーの牛肉の仕入れのコストには勝てないことに危機感を持ち、スーパーでは出来ないような調理の必要な惣菜の加工販売を5年ほど前より開始した。
しかし、厨房が狭いので効率の良い機器を探していた時に、SCOを見て、3年半前に購入した。使いこなすのに1年ほど苦労したが現在では戦略的な機器になっている。
SCOは当時約200万円と高価であったが、半年で回収した。SCOを購入することにより、惣菜のメニュー数が40%増え、利益率の高い商品を販売することが出来たのである。現在、食肉の販売ではほとんど利益がでていないが、惣菜で利益を稼ぎだしている。
主力商品は、鳥の手羽先の香味焼きである。鳥の生の手羽先は一本の販売価格は33円位にしかならないが、これを香味焼きに加工することにより、一本80円で売ることが出来る。調理にSCOを使うことにより、商品に高い付加価値を付けることが出来、利益率が高く、かつ競争にも強くなるのである。」
そして、最後に櫻澤氏は筆者に、「なにか良いアイディアがあったら教えてほしい」と言ったのである。今回取材をしてこの質問をしたのは、櫻澤氏とデリカの石川氏のみであった。この不況の時期に前年対比の売上を延ばしているのは何を物語っているのであろうか。食品加工の小売業はこの不況にめげず、レストランの味を武器に外食から家庭内食への進出を狙っているのである。外食チェーンも単に店舗のコストダウンとか、安い単価の商品を出すばかりでなく、味のよい調理方法を研究する時がきたようである。

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