キッチンスタディー 厨房機器PMCチェックリスト表(柴田書店 月刊食堂1993年12月号)

キッチンの能力を高める最新機器の知識

キッチンスタディー第十二回

定期点検、部品交換整備

11カ月間、最新の機械を紹介してきたが、どんなに良い機械を採用しても、その能力を保つようにしないと、宝の持ち腐れである。機械の性能を維持するには、定期的な点検と、整備が必要である。営業中の忙しい時に機械が壊れては、売上とお客様の両方を失うのである。

店舗の機械には、体の健康診断と同様の、定期的な能力チェックが必要である。車であれば、ガソリン1リットル当たり何キロメートル走るか、常時記録しておけば、燃費が悪くなった時に不具合も解るのである。また、能力を気にするのであれば、制止状態から、400mの距離を何秒で走れるか見ておけば、調子が良くなったか悪くなったかがすぐ解るのである。

また、機械には交換の必要な部品がある。それを定期的に交換すれば、機械は壊れる事が少なくなるのである。

車の故障で一番多いのは、タイヤのパンク、バッテリー上がり、ファンベルト切れのオーバーヒート等である。ファンベルト等のゴムベルトは厨房機器でも多く使用されている。1年に一回交換すれば壊れてから慌てて交換する必要がなく、売上の損失も少ないのである。

車では、清掃の必要な箇所が多くある。例えば、ラジエターの内部や、エアークリーナーである。エアークリーナーを清掃しないと、空気が十分に入らなくなり、不完全燃焼を起こし、燃費が悪くなり、エンジンの修理が必要な故障に発展し易い。厨房でも、冷凍冷蔵庫のコンデンサーの清掃や、空調機のエアバポレーターフィルターの清掃をしないと、十分に冷えず、また、コンプレッサーを焼き切る事にもなる。清掃をする事により、空調機の寿命は大幅に延び、水道光熱費は下がり、空調の効きも良くなるのである。

機械の定期部品交換や、清掃、定期検査というと、難しく考え、敬遠する人も多いようであるが、厨房で使用している機械は何も特別の機械ではない。ちょっと車を運転できるだけの知識があれば誰でも出来るのである。ただ、必要なのは車に付いてくるのと同様の、分かりやすい説明書と、簡単な工具、チェックとスケジュールのリストである。

1年間新型の厨房機器の紹介をしていたので、新し物好きのように思われているが、筆者の車は9年間乗っており、走行距離も18万キロメートルに達する。しかし、時速150kmは楽にでるコンディションである。メインテナンスは、オイル交換、フィルターの交換、清掃、簡単な点検、壊れる前の部品交換のみである。知識は自分の財布を助けるのである。

図1は厨房機器定期点検、部品交換表の例である。毎日チェックする項目に沿って機械を点検する。週1回、月1回、年1回の項目は、毎日変わり、毎日の作業量を一定になるようにしてある。日曜、祭日、月末などは、作業量を前もって減らし、年間計画を持って作業を進めて行ける。また、店長やマネージャーが異動しても、どこをやれば良いか一目でわかるようになり、作業漏れがなくなる。

図2は点検作業をやり易くする為の、点検作業指示書である。これは文章のみでなく、イラストや写真を入れ分かりやすくしても良い。この指示書がある事により、トレーニングが容易で作業にミスがなくなる。また、十分トレーニングをすれば、アルバイトにも作業を実施させる事が出来る。

その他機械の説明書が必要である。これは一般的に機械の製造メーカーが作り、機械に同封されているはずである。説明書はメーカーにより内容に差があるので、自社のフォームを作り統一する事が望ましい。また必要ならメーカーの設計担当者に問い合わせる事も良いであろう。品質の良い機械を作るメーカーは問い合わせにも的確に、迅速に答えてくれるはずである。

店舗運営の社員のトレーニングコースに最低限度の機械の保守の知識を取り入れる必要がある。機械の保守と言っても、清掃、増し締め、部品交換と簡単な作業だけであり、それだけで機械の修理代は大幅に下がるのである。さらに水道光熱費の減少もあり、十分投資に値する物である。

<この時期何故機械が重要か>
フードサービスの歴史で最も後発の業態は、ファーストフードである。ファーストフードは基本的にアルバイトでも調理が出来るように設計している。そういう意味で最も進んだ厨房と言えるだろう。
簡単にファーストフードという言葉で、ハンバーガー、フライドチキン、ピザ、ドーナツ等のチェーンを同一視する傾向があるが、その厨房レイアウト、調理機器、オペレーション、チェーン展開等の経営方法等には大きな差がある。あえて分類すると3つに分かれる。

ミスタードーナツ、ダンキンドーナツ等のドーナツチェーン
ドーナツの種類は大きく分けると、イーストドーナツとケーキドーナツの2種類である。ケーキドーナツはベーキングパウダーで膨らませてい為、アルバイトでも調理が出来るが、イーストドーナツはパンと同様に発酵をしなければならない。その為ドーナツ製造の職人を養成する必要がある。従来発酵技術はかなりの経験が必要であり、チェーン展開のし難いものであった。そこで、まず、プリミックスの採用で粉の配合を作り、スペックを統一した。次に発酵技術をマニュアル化し、ドーナツ大学という体系化したトレーニグコースを作り、全くの素人を1カ月間で一人前のドーナツ職人に仕立てる事に成功し、チェーン展開が可能になったのである。ただ、深夜にドーナツを作る作業が大変な為直営店では人の確保ができず、フランチャイズ展開が中心になっている。その為、投下資本を極力抑える為、フライヤー、プルーファー、ミキサー、フィリングマシン等シンプルであり、冷凍庫等は必要としない。1日の最高可能売上高は50‾80万円位である。

フライドチキンやピザ等のチェーン。
ケンタッキー州カービンという町にKFCの1号店が博物館になっている。ここで創始者のカーネル�サンダースはモーテルを営業しており、それに伴い食堂を営業していたのである。そこからフライドチキンが人気が出てフライドチキンのチェーンを開始したのだ。博物館を見るとその厨房は普通のレストランの厨房である事がわかる。当初はレンジの上で一般的な圧力釜で調理していたが、そのうち特殊な専門の圧力釜を開発しフライドチキンに特化していったのである。フライドチキンの店舗の最高可能売上高は1時間で30万円くらいである。

ハンバーガーチェーン
ハンバーガーはレストランチェーンとしては歴史が最も浅いのである。最後発のチェーンとして、最初からチェーン展開を考え、厨房などのレイアウトを行っている。マクドナルドの創業者である、レイ�クロック氏の伝記によると最初の店を作る前に、テニスコートに実際のレイアウトをして、作業分析をしたとの事である。シカゴにある第一号店も博物館になっており、見る事が出来るが、その35年以上前のレイアウトと現在のレイアウトが余り変わっていない事に驚くのである。出発の時点から人間工学的に分析し、車の製造ラインの流れ作業の考え方を取り入れているのである。 また、メニューや、原材料のスペック、機械のスペック、オペレーション、トレーニングなど、当初よりチェーン展開を考え組み立てられているのである。

ピークに売上を取れるように設計している為、時間あたり普通で50‾75万円の売上が可能である。

同じファーストフードと言っても上記のように大きく異なるのであり、厨房設備の考え方が異なるのである。

ハンバーガーチェーン厨房機器が進んでいるだけでなく、厨房機器の特性に合わせて、精度の高い食材の品質管理をしているのである。例えば、ミートパティの設計誤差は何と±0.1mmなのである。それを焼く両面グリドルの間隔調整誤差は同じく0.1mmなのである。現在の飲食業界でこれだけの精度を保てる会社は世界的にみても数社しかないのである。このシステムを運営できるので世界中で5000店以上の店舗数を維持する事が可能なのである。

ファーストフードの中でもドーナツチェーンは、職人を短期間で養成するというシステムで日本式レストランチェーンの展開に大変向いていたのであった。しかしながら、人手不足の時代になるとドーナツマンの確保という問題が発生してきた。そこで、工場での製造の検討がなされるようになって来たのである。

冷凍の生地を使い店舗で解凍後発酵しフライするというシステムである。原理的にはインストアーベーカリーと同じであり、冷凍生地をドーコンディショナーで解凍後、発酵するわけである。インストアーベーカリーとの大きな違いは、店舗の設備投資を抑えなければいけないという事である。インストアーベーカリー用のドウコンディショナーは高価である為、安価なドーナツ用の専用機の開発が必要になった。その為、発酵機に、正確な湿度センサーと、タイマーを組み合わせた、簡易型のドウコンディショナーを開発している。冷凍庫の増設や、冷凍生地を作る大型工場の確保が必要になり、開発にかなり時間がかかり、今年度から導入が開始されるようである。

ドーナツは主食という巨大なマーケットに拡大するには力不足である。その為、中華点心等の飲茶の導入を予定している。メニューは肉まん、海老餃子、シューマイ等であり、従来の設備にたいして、スチーマーや保温庫を導入する。一般的に飲茶は蒸して温かい内に提供する物であり、保管するのが難しい物であったが、特殊な機器を開発し保管時間を2時間にする事が可能になった。食材は冷凍で店舗に搬入される。輸入食材を使用し、食品原価を下げ価格競争力を持たせるようである。

従来上記のようなファーストフード業界の調理システムは他の飲食業界には無縁の物のように思われていた。ところがすかいらーくグループが大変な実験を開始したのである。それが、ガストとバーミヤンである。一般的にガストとバーミヤンは同じディスカウント路線であると思われているが、両者の厨房の設計システムは全く異なる物である。 ガストのオペレーションを見てみよう。

まず、店舗の損益分岐点を75%以下に落とせるように、人手を削減し、テーブルの案内等の余分なサービスはしない。ナイフ、フォーク等のテーブルセッティングはしないで、バスケットに入れ、客席に置く。ドリンク、水はセルフサービス。従業員のユニフォームは、自分のジーパンであり、シャツは既製のクリーム色の物に、ガストのバッジを付けネームを刺繍するコストを落とす。メニューは、写真の入っていないワープロで打ったクリーム色の紙をパウチしてあるだけである。すかいらーくからガストへの変更に際し実施するのは、看板を代え、コンベアーオーブンを入れるだけである。

メニューは35品目に絞る。厨房の作業を自動化する為に、コンベアーオーブンを入れ、作業を自動化し、サービスのスピードを早くする。ほとんどのメニューがこのオーブンとフライヤーで調理し合理化している。その為サービスはすかいらーくよりも格段に早く、必ず10分間以内に出てくるようになった。

従来、ファミリーレストランの調理と一般のレストランの調理は、冷凍食品を多く使う違いはあるが、調理方法に大きな違いはなかったのである。厨房では専門のコックがおり(アルバイトであろうと)、グリドルや、フライヤーを使い、目で見ながら調理を判断していた。しかし、今回のガストのやり方は、コンベアーオーブンで多くの調理をする為に、ファーストフードの様に、ポーションサイズや調理時間を正確に設定しているのである。
商品開発は、機械の特性に合わせて、同じ温度や時間で調理出来る様にしなければならないのである。機械の温度、時間を統一する商品開発は大変な作業であり、ポーションの重量、厚さ、温度、水分率、脂肪含有量等のスペックを厳格にコントロールしなければならないのである。現在のメニュー開発には2年間も時間を費やしているのである。もし、この巨大な実験が成功し他社が真似しようとしても、今準備していないと、数年の遅れになるのである。この意味で、ガストの実験は飲食業界に大きな影響を与えると同時に、自動化の機械という意味で、厨房業界の技術革新も求められる大きなターニングポイントであると思われる。

バーミヤンは同じくメニューを35品目位に絞り込んでいるが、その調理システムは全く異なる物である。従来は、宴会料理も出来るようなメニュー構成であった為、専門のコックが必要であった。コックをなくすには、冷凍食品を多用するという方向があるが、中華レストランでは炒め物をなくす事は出来ない。そこで、炒め物は残しながら、調理作業をパートでも出来るようにメニューを絞り込み、メニューを町の中華レストランと同様な日常食に切り替えた。また、料理の単価を下げた為、客の来店頻度が増加し、売上が上がり、さらにコックを使用しない為、経費も下がっているのである。ただ、厨房の機械化を実施していないため厨房内の人員は、ガストと比べ多いのである。現在はそれでもやって行けるが、将来の労働人口の減少時には何かの対策が必要と思われる。

このガストや、バーミヤンの影響はファミリーレストランのみならず、ファーストフードの世界にもかなりあるであろう。現在のガストの顧客層は、ヤングの18ー20代の後半である。料理類は600円で食べられるし、飲物は180円で飲み放題である。ファーストフードより安いのである。今後ファーストフード業界もディスカウント戦争に巻き込まれるであろう。いや、ディスカウントというより、飲食業デフレの時代になるのである。

販売価格を下げ、かつ利益を出すには、店舗の作業や、調理方法を見直し、自動化の機器による省力化や、コストダウンをしなければならない。いままで、機械には無頓着なファミリーレストランも機械の正しい知識を持ち、自動化の厨房機器を導入して行かないと、この時代やって行けなくなるのである。また、食材の調達もこの円高を利用し海外での、製造拠点の開発が必要になるのである。

<何故筆者が機械に興味を持ったか>
私の本業は店舗の運営である。レストラン西武時代のダンキンドーナツ、日本マクドナルド社も含めて、一貫して店舗の運営にタッチしてきた。その私が何故機械に携わるようになったのかというと、営業成績を上げる為である。営業成績とは、QSCを維持し、売上、利益、を上げ、人材を育成するためである。
筆者がスーパーバイザーの時、店舗のQSCのチェックをしていたが、その評価が良くなかった。特に品質が悪かったのである。店舗のマネージャーの運営方法が悪くて品質が悪かったのではなく、機械や、原材料が仕様通りでなかったのであった。
当時はファーストフードが日本に進出してから余り時間が経過していなかったため、機械メーカーや原材料メーカー、更に我々の知識、経験が不足していたのである。その為に、機械を調整できなかったり、機械の能力が不足し調理が出来なかったりしたのである。
また、原材料も日本で入手できなかったり、知識不足のために、基準通りの品質を保つ事が出来なかったのである。それを、我々のせいではないと、文句を言っていたのであった。ある日、米国の本社から運営の担当者がきたので、「品質が悪いので何とかならないか」と、注文したのである。そうしたところ「君は何を文句いっているのだ。もし問題を自分で感じているのだったら、君自身で勉強し解決するべきだろうと」言われたのである。
そして、運営担当者の彼は、原材料の問題解決方法と、機械の改善方法を説明してくれたのである。筆者が驚いたのは、運営担当の彼の知識の深さであった。私が「何故そんなに知っているのか」と聞くと、「仕事で止む無く覚えた」のだと言われたのである。

それから、自分で問題を感じた点を勉強し、一つ一つ直していったのである。勿論自分一人で直す事は出来ないから、スタッフの協力を仰ぎながら勉強していったのである。

日本は世界でも最もシェイクの売上が高いのである。夏場であると、食べ物の売上よりシェイクの売上の方が高い位であった。当時、シェイクの売上は高い店では1店舗で1日に2トンの重量のシェイクミックスが出たのである。その為、シェイクマシンはフル稼働であった。当然能力を越え、シャブシャブのシェイクを出す事になってしまった。米国から持ってきた機械であり、これはしょうがないのだと思っていた。

当時の機械の輸入業者に聞いても、「売れすぎですよ」との一言であった。よく考えてみたら、米国の電気は60サイクル、208V仕様であり、関東の50サイクルでは能力が落ちるはずである。そこで、業者にそれを聞いたら、「この素人が何を言っているんだ。そんな対策は当然やっているよ」との返事であった。売り言葉に買い言葉で、それから2週間ほど徹夜で店舗を回り、モーターの回転数をチェックして回ったのである。そうしたら、何と60サイクルの仕様のまま入っているではないか。よし、「能力の低いのはこれが原因だ。これならすぐに問題解決だ」と、機械の能力を調べだしたのが運の尽きで、それから問題解決に3年もかかってしまったのである。

まず問題点を明確にする為の、店舗での温度チェックが必要であった。当時の温度計はガラスの棒状の温度計であり、精度は高いが応答性が遅くとても店舗で使える代物ではなかった。そこで正確なディジタル表示の応答の早い精度の高い温度計を設計したのである。それもシェイク専用の白金抵抗体の±0.1℃の精度の温度計を作ったのである。

次に、シェイクミックスの違いによる能力の比較をし、関西と関東のサイクルの違いがどの様に影響するか、のテストを数店で徹夜で実施した。結果は残念ながらサイクルの影響は出ていないのである。

1年ほどして解ってきてのは、どうやらフリージングチャンバーを削り取るスクレーパーブレードが基準より摩耗すると、能力が落ちるという事である。そこで、サイズの異なるブレードを用意し実験した。やっと原因が解ったのである。スクレーパーブレードが摩耗するとチャンバーに凍り付いた、シェイクミックスを十分に削り落とす事が出来ずに、冷却能力が低下するのである。機械の取扱い説明書には、スクレーパーブレードの交換基準が書かれてあったのだが、何故交換するのかが書いていなかったので、解らなかったのである。テストの結果、取扱い説明書の摩耗基準の半分の基準で交換した方が良い結果が出たので、マニュアルにそれを明記した。米国のマニュアルが変更されたのは、その数年後であった。

これで問題は解決するはずであったが、まだ店舗で機械の規格能力が発揮できない問題が出ていた。そこで冷却原理を最初から勉強し直さざるを得なかった。そこで発見したのが、蒸発弁の低圧の調整と、水冷の節水弁の調整であった。シェイクミックスの冷却温度に合わせた、フレオンガスの蒸発圧力を正しく調整する事により、機械の能力が最大に発揮出来るのであったの

。また、同時に日本仕様の特別の能力の高い機械を製造させ、フレオンガスもより能力の高い種類に変更したのである。

機械の能力をあげると問題も発生した。それは機械の洗浄に時間がかかる事。機械が複雑になり、洗浄が旨く行かずに、殺菌の効果に問題が出てきたのである。そこで、大手乳製品メーカーの牛乳製造ライン洗浄のプロシージャーを、研究した。その結果解ったのは、牛乳には脂肪分、タンパク質、カルシウム等が含まれており、中性洗剤等で洗浄しても、汚れが落ちず、フリージングチャンバー内部に硬質分が固着し、細菌の発生の原因になる事が解った。そこで、専用の洗浄殺菌洗剤を作成したのである。最初は、米国の洗浄殺菌洗剤を使用したのであるが、どうも、機械の金属部分を腐食するのである。また、アルバイトの手荒れも酷く使える物でなかった。米国の水は日本と比べ、硬質分が高いので、キレート材を多く配合しているのであった。その為日本の軟水では、金属の腐食や、手荒れを引き起こすのである。

その課程で発見したのが、次亜塩素酸ナトリウム溶液の安定性の問題点である。当時、次亜塩素酸ナトリウムの12%溶液を使用していた。6%と12%の両方があったが、大手メーカーが言うには12%の方が性能が良く、コンパクトでスペースを取らないとの事であった。良く調べてみると、濃度が濃い場合、溶液のPHが高くなり、殺菌効果の安定性が悪い事が解った。また、容器を一回開封すると、安定性が落ちるのでもあった。そこで、濃度を6%に落とし、小分けの容器を使用する様にし、安定性を大幅に向上させた。

機械や洗剤の開発が何でQSCや売上、利益、人材育成に関係するか思われるだろう。このシェイクマシンの能力向上により、1時間あたりの販売能力は2.5倍になり、700杯を売る事が可能になったのである。1杯200円として、14万円を売り上げる事が可能になったのである。勿論シェイクマシンの能力だけを上げるだけではなく、その他のサンドイッチや、デザートの能力も上げなければならない。それによって、1時間に最低50万円の販売能力が可能になったのである。メニューを絞ると、1時間に150万円の販売が可能になるのである。その結果店舗によっては1カ月に1億円の売上を上げることが出来たのである。ファーストフードはテイクアウトがあるので、1時間あたりの売上は製造能力で決まるのである。

売上が上がれば当然利益は上がるし、機械の能力が正しく出れば、電気ガス水道の使用量も減るのである。機械を手入れすることにより、故障が少なくなり、修理代の支払も少なくなり、寿命も延びるのである。

機械が正しく動き、エアコンも効く事により、厨房の作業環境も良くなり、従業員のモラルも上がり、人材の確保も容易なのである。マネージャーやスーパーバイザーも、口先では機械を騙す事が出来ないから、成果が冷徹に明確に現れてくるのであり、評価を正確にする事が出来るようになるのである。

今後の飲食業に携わるものは、店舗運営担当、機械担当、原材料担当と細分化していては、臨機応変に対応できないし、時代の養成に応じられないのである。皆さんの今後の精進に期待する。

1年間ご愛読にお礼を申し上げるとともに、来年も宜しくお願い申し上げます。

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