ガストの心臓(柴田書店 月刊食堂1994年2月号)

ガストの心臓コンベアーオーブンって何だ?
(ガストセミナーより)

<ガストの厨房に学ぶこと>
先日、ガストの新店川越駅前店に2時頃訪れて驚いた。2時だというのに客席は満席で、15分間待たされた。90%の客層が女子高校生なのである。従来女子高校生はマクドナルドやミスタードーナツ、KFCにいっていたのにである。 ガストに行くと530円でハンバーグステーキとご飯が食べられる。そして後180円出すと、コーヒー等の飲物が飲み放題になるのである。710円で腹一杯になるのである。今ではハンバーガーなどのファーストフードより安いのである。はじめてファーストフード業界にインパクトを与えているのである。私がガストに注目するのはその価格のみでなく、メニューの絞り込みと、調理の機械化によるコストダウンである。

ガストをまねて単にメニューを絞り込み、プライスを下げることは大変危険である。ガストは単にメニューを絞り込むだけではなく、機械化による調理の合理化を前提にしてメニューの絞り込みを実施し、労働生産性を向上させ、損益分岐点を下げ、利益が出るようにしているのである。表面的な現象のみをとらえるのではなく、何を行っているのかを見る必要があるのである。

調理作業の標準化とメニューの絞り込みは、従来ファーストフードチェーンの最も得意とする所であり、それにより、メニューを絞り込み、売価を下げ、数品のメニューで売上の殆どを占める事により、効率を上げ高収入を上げていたのである。メニューを絞り込む事により、売れ筋の商品の売上に占める比率は最も高い商品で、20%を占めるまでになっているのである。その為、商品を事前に作り置きする事が出来、商品の提供時間が早くなり、テイクアウトのビジネスが成り立つのである。

例えば、ハンバーガーチェーンの厨房内では熟練した調理人は全く必要がない。食材は全て、原材料メーカーで必要なポーションサイズに加工され、店舗では全く加工する必要がなく、グリドルやフライヤーで加熱調理するだけである。包丁やまな板は存在しないのである。レタス等の野菜も洗浄殺菌され、カット後袋詰めされ店舗に搬入される。ソース類も事前に調合され、カートリッジに詰められており、店舗ではソースガン等で、ワンポーションづつディスペンスするだけである。

ハンバーガーチェーンは厨房機器が進んでいるだけでなく、厨房機器の特性に合わせて、精度の高い食材の品質管理をしているのである。例えば、ミートパティの設計誤差は何と±0.1mmなのである。それを焼く両面グリドルの間隔調整誤差は同じく0.1mmなのである。

当然のことながら、スカイラークグループは10年以上も前からファーストフード業界に進出するべく、ピザ、フライドチキン、サンドイッチ、ハンバーガー、持ち帰り弁当など、のテストをやっていた。ほとんど失敗してしまったが、今回のガストでそのファーストフードの勉強の成果が十分に出ているのである。 では、ガストの最新鋭の厨房オペレーションを見てみよう。

メニューは35品目に絞る。厨房の作業を自動化する為に、コンベアー式のジェットオーブンとオートリフター付きのコンピューターコントロールのフライヤーを入れ、作業を自動化し、サービスのスピードを早くする。ほとんどのメニューがこのオーブンとフライヤーで調理し合理化している。その為サービスはすかいらーくよりも格段に早く、必ず10分間以内に出てくるようになった。

ガストの厨房の革新的な調理方法を実現した、厨房機器のジェットオーブンを見てみよう

<ジェットオーブンとは何か>
<ジェットオーブンの正式な名称>
正式な名称はコンベアー方式のエアーインピンジメントオーブンと言います。日本語に訳すと、風をぶつけるオーブンということになります。インピンジメントというのは、ぶつけるとか、突き刺すと言うような意味なのです。
エアーインピンジメントオーブンの歴史
1970年代の初期に米国のダラス在住の発明家 故ダン・ポール・スミス氏が ジェット・スイープという技術を発明した。その技術を、数社の厨房メーカーに貸与したことから始まった。このオーブンの実現によりドミノピザのような持ち帰りチェーンが急速に発生したのです。
この特許をもとに米国と日本の数社が作っているわけです。 ですから会社によって当然商品名も異なります。ジェットオーブンもインピンジャーもともに商品名です。

<オーブンの特性>
図をみていただくとわかると思いますが、上下の両方から熱風が直接吹き付けます。コンベアーのオーブンはたくさんありますけど、みな加熱方法が違うんです。このタイプの特徴は、エアーを突き刺すように焼いている点です。エアーを噴き出す別の機種もありますが、この小さな穴が特徴で、「ディンプル(えくぼの意)」といって、ちょうど噴火口見たいになっているんです。
普通はエアーは拡散してしまうのですが、この場合は突き刺すように、つまり拡散しないで集中させるんです。要するにぶつけるわけです。

普通のオーブンは周囲の雰囲気温度で熱するわけですが、熱境界層ができます。家庭用の、上下にヒーターの入っているタイプ(自然対流方式)がそうなんですが、食材に熱境界層ができて熱が伝わりにくい。熱境界層って何かといいますと、熱い風呂にゆっくり入っていると最初は熱いがだんだん熱さを感じなくなる。ところが隣の人が出たりしてお湯の流れができると熱が伝わって熱く感じますね。あれは身体の周囲に熱境界層という断熱層ができるんですよ。水中でも空気中でもできるのですが、それを空気を吹きつけることにより、吹き飛ばすんです。この吹き飛ばすやり方(強制対流方式)がコンベクションです。風を横から送って飛ばすのですが、そうすると手前のほうは焦げるけど、反対側は焦げないという問題が出てきます。それでこれを上と下から吹きつけようとしたのが、このタイプ(エア・インピンジメント方式)です。

早く、しかも均一に
焦げ目がつく特性を持つ
上下から吹き付けると、風量を3~4倍と強くできるんです。ところがコンベクションで3倍の風を横から吹きつけると、場所によって焦げムラができますから、それほど強くできないんです。そうすると熱境界層が残ってしまいますので、早く焼けない。この熱境界層を吹き飛ばすためには風速8mくらい必要です。普通のコンベクションは2ー4m程度です。しかし、ブワッと吹きつけると、逆にスポットの焦げ目がついてよくない。それで平均してきれいな焦げ目をつけるために、コンベアーで動かすのです。コンベアーは自動的に時間をコントロールするのと同時に、焼きムラをなくすという役目も負っているわけです。ですからこの特許は、コンベアーと上下からまっすぐ吹きつけるという2つの要素から成立しています。
<電子レンジやスティームコンベクションオーブンとの違い>
電子レンジというのは温めるだけで焦げ目をつけたり「調理」ができません。さらにバッチ処理ですから、たとえば1個温めていると次の1個は待たなければなりません。このオーブンなら簡単に追加もできますし、連続のオーダーにもまとめて対応できます。
スティームコンベクションオーブンも調理能力は高いのですが、エアー・インピンジメントオーブンは、焦げ目をつける調理に大変適しています。ですからすかいらーくがガストに転換してから、ドリア、ピザなどの焦げ目ものの品質は格段に上がりましたね。

<従来のエアーインピンジメントオーブンの使用例>
平たい素材を上下から吹きつけるわけですから。ピザはそれまで風が全然ないデッキオ ーブンでは10分くらいかけて焼いていたのですが、このタイプのオーブンを取り入れ た結果、5分でピザが焼ける用になりました。
デリバリーピザ、このオーブンができたために、ドミノの巨大なデリバリーピザチェー ンが発生したのである。ピザを5ー6分間で焼くことが出きるようになったのである。 ご存知のようにデリバリーピザの100%はこのオーブンを使用している。

フライドチキンチェーン
大手フライドチキンチェーンが、バーベキュウチキンの実験で使用していたことがある。
ハンバーガーチェーンでのピザ
米国の大手ハンバーガーチェーンがピザを販売するに当たり、採用された。ただ、スペ ースがないためコンベアータイプでなく、デッキタイプのオーブンを開発している。
デリバリーピザのフライドチキン、グラタン
最近では、ピザのチェーンがフライドチキンを売り出しているが、店舗でフライヤーで あげるのではなく、工場で揚げて冷凍してあるものを、オーブンで再加熱して提供して いるのである。オーブンを単なる調理器具としてだけでなく、調理済みの冷凍、冷蔵商 品を再加熱するのに使用しているのである。
惣菜工場、給食工場、病院
ハンバーグや、魚を焼くのに使用している
お好み焼き
デリバリーのお好み焼きで使用している
配達弁当への活用
現在検討中である。ガストの応用である。
<ガストの調理方法>
<スカイラークグループにおけるエアーインピンジメントオーブンの歴史。>
スカイラークグループが以前からファーストフードへの進出を図っていた。5ー6年前にピザのファーストフードの実験をしようとした際に出会ったのが最初である。 ピザの実験は失敗したが、その有効性に気がつき、すかいらーくやジョナサンで採用し出したのである。さらに、和食の実験店舗の夢庵でもこれを導入し、ランチタイムの焼き魚などで使用している。今後でてくる夢庵でも当然採用されるものと思われる。
<従来のすかいらーくのハンバーグステーキの調理方法>
グリドルで2ー3分間両面を焦げ目を付ける。
次に自然対流式のオーブンで火を通す。時間は8ー10分間位かかっており、コックの目でみての判断であった。
<エアーインピンジメントオーブンでの調理方法>
これを、グリドルで焦げ目を付けた後、エアーインピンジメントオーブンで調理する。
場合によっては、グリドルを使用しないで、鉄皿を余熱しておき、その上に食材をおきオーブンにいれている。時間が経過し調理が終了すると自動的に食材は外にでてくるので、調理のしすぎによる失敗が少なく、人間の目で調理の判断をする必要がない。時間は6ー8分間で出来るようになった。
ハンバーグも鉄板から、このオーブンの風で焼くようになって、ふんわり柔らかくなった。肉類は鉄板の上で高温で焼くと固くなると言う欠点がある。例えば、ビーフのリブアイはローストビーフで食べると大変柔らかいが、同じ肉を鉄板で焼くと固くなるのである。肉は低温でじっくり焼くと柔らかくておいしいのである。トンカツも同じである。

<オーブンの特性と設定>
<温度>
120℃から285℃まで可能、ガストでは285℃前後の高温。
<時間>
1分30秒から20分間まで調節可能、ガストでは4分間前後。
さあー、これで条件がわかったから、オーブンを買ってきて明日から ガストのまねをすぐしろと言われても出来ません。 温度時間を同じ条件で設定しているので、異なった食材を同じ時間と温度で出来るように、商品開発をする必要があるのです。ハンバーグの厚さも1mm違ったら焼く時間は変わるでしょう。捏ね具合もゆるかったり、きちっとしていたり、ちょっと変わちゃうとできませんよね。

サイズの異なるハンバーグステーキの場合、同じ時間温度で調理が可能なように、グリドルでの調理などで補うことは可能です。時間の調整は横の小窓からいれることにより半分の時間で出来上がる。もうひとつは2段、3段まで重ねれることができる。3段重ねれば3種類の違ったものができます。また、1段式でもベルトを2つの時間が異なるベルトで2種類の時間をセットすることが出来るものがある。すかいらーく、ジョナサンでは2段ベルトを使用している。

しかし、ガストでは1段で全部やっている。ダブルにしても2種類しかできませんから、だったら、たとえばピザが連続で出た場合にかえって難しくなるので、1段で全部できるようにCKで各メニューの製造工程を調整して、同一時間で焼き上がるようにすり合わせしたほうが生産性がたかくなるわけです。そのために、ガストではメニューの絞り込みを実施したのである。ガストではなるべくオーブンで調理をするようにしているのである。だから原材料の加工もかなり技術がいるわけです。すかいらーくはCKを自社で持っていますかから、自分のところでできるからこそやれることと思われます。

そういう意味では、私はガストはファーストフードに近い。ファーストフードというのは調理機器に合わせて食材を作りますけど、FRはしませんでしたからね。FRでもある程度コックが自分の目でみて舌ででみて、という感覚でハンバーグなり焼いていたでしょ。従来、ファミリーレストランの調理と一般のレストランの調理は、冷凍食品を多く使う違いはあるが、調理方法に大きな違いはなかったのである。厨房では専門のコックがおり(アルバイトであろうと)、グリドルや、フライヤーを使い、目で見ながら調理を判断していた。しかし、今回のガストのやり方は、コンベアーオーブンや自動フライヤーで多くの調理をする為に、ファーストフードの様に、ポーションサイズや調理時間を正確に設定しているのである。

この場合機械の性能で決まってしまいますから、食材の重量、サイズ、温度、加工度などがきちっと決まらないとなりません。ガストの場合2~3年は開発にかかったのではないですか。食材をこの機械に合わせてどうやるのかで、ずいぶん苦労されたと思います。商品開発は、機械の特性に合わせて、同じ温度や時間で調理出来る様にしなければなりません。機械の温度、時間を統一する商品開発は大変な作業であり、ポーションの重量、厚さ、温度、水分率、脂肪含有量等のスペックを厳格にコントロールしなければならないのです。

そういう意味で、ガストさんがメニューを絞りこんだというのは偶然ではありません。大量に、早く、しかも混在で同時に調理できる、これは相当考えられた結果でしょう。

安定した商品を作るという前提があるからには、メニュー開発に時間を要するでしょうね。ただそのぶん今度はできてからの完成度が高くなりますが。現在の課題は出来上がった商品の温度にムラがまだある点です。現在はかなりの商品が冷凍で配送され、それを店舗で解凍して調理しているようですが、余り売れすぎて解凍が間に合わないのではないかと思われます。ガストでは今後冷蔵での配送を検討されているようですが、そうすれば、温度が安定し、さらにコストが下がると思います。冷蔵で配送すると日持ちが短くなるので、商品を絞り込み売れ筋を決めることがさらに重要になります。

では、もう一度エアーインピンジメントオーブンを使用するメリットを見てみましょう。

<1>調理上のメリット
調理時間が早い。そのためサービスのスピードが早くなる。
また、調理時間が短くてすむので、食材の歩留がよい。食材が柔らかくジューシーに仕 上がるので味が良く、利益率も高くなる。
時間、温度を予めセットしておけるので、オーダーが入ったらすぐに調理を開始できる。
時間、温度をセットしておけるので、アルバイトでも失敗がない。
バッチ式と違い、調理が終了したら自動的に出てくるので、焦がす心配がない。
オーダー順にいれるので、同時に調理ができ、間違えない。
調理のみだけならず、調理済みの冷凍冷蔵食材を再加熱することが可能である。
<2>人件費の削減、連続式のメリット
途中で調理を監視する必要がないので生産性が高く、人件費の削減ができる。
自動調理が可能なので、熟練したコックが不要であり、人件費が安く、トレーニングコストやトレーニング食材のロスがなくなる。
同じオーダーが連続調理できるので、同じテーブルに同時に出すことが可能で冷めることが少ない。
例えば1日に400個のハンバーグステーキを焼くとして、調理時間が従来グリドルの上で焼いた後自然対流型のオーブンにいれて8分間焼いていたとして、現在は6分間で焼けるとすると、2分間の時間が短縮できる。
また、料理の最中ついている必要はないので、合計最低でも4分間の時間が節約できる。平均して、1度に焼く量が6個として1日に67回焼くわけであるから、268分間つまり4時間30分間ほどの時間の節約になる。

時給を900円として、1日4、050円、月間121、000円の節約になる。売上が1800万円とすると、0.67%の人件費が下がるのである。これはハンバーグステーキのみであり、ほかのピザ、ドリア、サイコロステーキ、ランチ、フライものを含み、さらに、トレーニングが容易であることから、トレーニング時間の削減も可能です。少なくみても、調理に関わる人件費は1.5%は最低コストダウンできると思われます。

<エアーインピンジメントを使用してのメニュー開発>
なるべく、エアーインピンジメントで調理が全て出来るようにする。

例:
<1>
最初はハンバーグステーキのガルニはフレンチフライであったが、それでは、ふたつの機械のコーディネーションが必要であり、時間がかかったが、それをグラタン にすることにより、手順を簡素化した。
まず、鉄皿を熱く加熱しておきます。オーダーが入ったら、ハンバーグをグリドル 焦げ目をつける。(小さいハンバーグの場合は焦げ目をつけないでも大丈夫 である。)鉄皿にグラタンポテトとハンバーグをおきオーブンにいれる。

肉が大きい場合は、グリドルでやや長くやく。または、2回オーブンを通す工夫を する。

ステーキ、サイコロステーキ、グリルチキンも同じ要領である。 チキンの場合は、骨付きのもも肉であると火の通りが悪いので、骨をはずす必要が ある。

<2>
ビーフカツを揚げておき、それをオーブンで加熱する。
フライヤーの数が限られているので、アイドルタイムにフライしておく、オーダー が入ったら、鉄皿にいれ、オーブンで加熱する。そうすることにより、調理時間が 安定し、他のグリル料理と同時にあげる事が可能である。

これは、骨付きのフライドチキンなど調理に時間がかかるものに応用すると短時間 で再加熱が可能である。

<3>
チキンのカレー煮をオーブンでつくる方法。 ランチなど短時間に大量に調理しなければならない場合、かなりの工夫が必要であ る。
たとえば、チキンのカレー煮がある。暖めた、鉄鍋に冷凍のウドンをいれる、ほか の鉄皿にチキンをいれ同時にオーブンで調理をする。出来上がったチキンをウドン の上に乗せ、カレーソースをかける。

以上のように、ガストは調理の先入観念から離れ大胆に調理方法を開発しているのである。
ガストのメニューで注目するべきなのは毎日のランチメニューである。定番商品ではそう冒険をしないが、ランチメニューではコストを落とすため必ずエアーインピンジメントオーブンを使用するようにしており、かなり大胆なメニュー開発を行っているのである。

<調理レシピーの開発上の注意点>
調理食品の厚さが余り厚いと火が通りにくい。食材の厚さは15mm以上であると火が 通りにくい。

ハンバーグステーキなど野菜などの水分が多いものが入っている場合は、中で水蒸気が 発生し、火が通り難くなる。 冷凍品を直接加熱調理する事は可能ではあるが、5分間くらいの短時間では無理である 。そのため十分に解凍しなければならない。冷凍品を冷蔵庫で解凍するには24ー36 時間かかる場合がある。

デリケートな食材の場合は場合によっては容器にいれ蓋をして調理する場合もある。 たとえば、ピザの調理で、パンピザを焼くには時間がかかり、内部に十分火が通らない 事があるので、特殊な金属ピンを差し込みその熱伝導を利用して調理を早くする事があ る。

*ガストでは285℃で4分間の時間で調理をしている。
冷蔵状態のハンバーグステーキを焼くには6ー8分間かかるので、事前にグリドルで焦げ目を付けておく必要がある。
生のハンバーグで260℃で8分間かかるので、事前に鉄板を加熱したりグリドルで焦げ目を付け温度を上げておく。

鳥のもも肉は骨がついていると火の通りが悪いので、骨をはずす必要がある。場合によっては事前に調理を終了しておく必要がある。

グラタンは電子レンジなどで内部温度を上げおき、オーブンでは焦げ目を付けるだけとなる。

ピザは、野菜の多いものは水が出て焼けが悪くなる。

温度計を使用し中心温度を計測しながら、温度、時間を決定しなければならない。 また、商品の事前加工の精度が必要であり、ハンバーグステーキのコネ方、厚さ、は安定しなければならない。

<エアーインピンジメントオーブンの使用上の注意>
メインテナンスの重要性
コンベアーを汚れに応じて清掃する必要がある。 コントロールの冷却ファンにフィルターがついている場合はよく清掃しないとコントロールが駄目になる。機械の置く位置は余り熱いところは駄目であり、特にファン用のモーターの冷却に注意する事が必要である。
ステンレス内装
塩、とか醤油などの塩分を含んだ食材を調理するときには、必ず、内部をよく清掃しないと、内部がぼろぼろになる。
ステンレス内装を使用すると良い場合がある。

多段式の検討
機械であるから壊れる事があるので、多段式を使用する方が安全である。金額で問題があるのであれば、壊れたときどうやって調理するか考えて置く事。
<今後の活用が考えられるその他の自動化調理機器と革命的な調理技術>
実例
タコベルの自動タコ製造機、自動化のフライヤーの開発、
大手フライドチキン社のスチームコンベクションオーブン商品の開発
ミスタードーナツの飲茶と、冷凍ドーナツ、高速スチーマーと、保管庫、冷凍ドーナツ用ドウコンディショナー
スターバックス社の大量のコーヒーマシン
スチームコンベクションオーブン
エアーインピンジメントオーブンに電子レンジを組み合わせたもの
クオーツランプ加熱型オーブン
クックチル
味噌汁ディスペンサー
ホットドリンクバー用コーヒーマシン
調理コンピューターと自動フイルタリング内蔵型フライヤー
調理コンピューター、タイマー
電子レンジ
保温庫
濃縮液体コーヒー機器
コーヒー機器の応用
ビールディスペンサー
水の浄化装置
< < 参 考 資 料 > >

<エアーインピンジメントオーブン 製造会社 資料 >

<1> インピンジャー(製造メーカー Lincoln社 代理店トーエイ工業)
2型 重量 180Kg
本体寸法 W1425×D994×H444/1107
コンベアー寸法 L1425×W457
コンベアー内部寸法 610mm(2フィート)
価格 ¥1,815,000円
電気タイプ入力 10.1KW
ガスタイプ入力 10,000Kcal
1型 重量 400Kg
本体寸法 W1994×D1432×H686/1414
コンベアー寸法 L1900×W812
コンベアー内部寸法 910mm(3フィート以下)
価格 ¥3,390,000円
電気タイプ入力 27.0KW
ガスタイプ入力 30,000Kcal
<2>ジェットオーブン(製造及び販売 フジマック)
FGJ05 重量 280Kg
本体寸法 W1950×D1023×H595/1194
コンベアー寸法 L1900×W457
コンベアー内部寸法 920mm
価格 ¥2,400,000円
電気タイプ入力 無し
ガスタイプ入力 18,000Kcal
FGJ05W 重量 315Kg
本体寸法 W2050×D1425×H705/1075
コンベアー寸法 L1900×W812
コンベアー内部寸法 920mm
価格 ¥3,000,000円
電気タイプ入力 無し
ガスタイプ入力 30,000Kcal
<3>ミドルビーマーシャル(製造 米国ミドルビーマーシャル社,代理店国際コマース)
PS200ー20 重量 450Kg
本体寸法 W2032×D1066×H760/1308
コンベアー寸法 L1943×W508
コンベアー内部寸法 1,028mm
価格 ¥2,400,000円
電気タイプ入力 無し
ガスタイプ入力 25,200Kcal
PS200 重量 498Kg
本体寸法 W2032×D1372×H760/1308
コンベアー寸法 L1943×W812
コンベアー内部寸法 1,028mm
価格 ¥3,000,000円
電気タイプ入力 無し
ガスタイプ入力 30,240Kcal
PS310 重量 570Kg
本体寸法 W2286×D1067×H705/1075
コンベアー寸法 L2286×W610
コンベアー内部寸法 1,384mm
価格 ¥3,200,000円
電気タイプ入力 無し
ガスタイプ入力 34,000Kcal
PS360 重量 612Kg
本体寸法 W2286×D1270×H978/1143
コンベアー寸法 L2286×W812
コンベアー内部寸法 1,384mm
価格 ¥3,700,000円
電気タイプ入力 無し
ガスタイプ入力 34,000Kcal

上記の資料は各メーカーの全ての機種を網羅しているわけではないので、仕様など正確な資料を必要な場合は各代理店にお問い合わせいただきたい。

ジェットオーブン及びミドルビーマーシャルは2連3連式の連続型に出来る。

各メーカーとも2段、3段など重ねられるようになっている(機種により異なる)

一般的にガスタイプが主流で、電気、ガス 仕様があるのは1社のみである。

同じ特許を元に製造しているため、基本的な構造は同じである。異なるのは、オーブン内部のコンベアーのサイズである。特許はコンベアーのサイズにより許可されているのであり、それと異なる幅のコンベアーの製造はできないようになっている。

購入する際はサイズに注意されたい。特別注文でサイズの異なるオーブンをつくることはむずかしいのである。

そのほか、メンテナンス上で各社はやや異なるようであるが大きな差はないと思われる 。

コンベアータイプ以外のエアーインピンジメントタイプオーブン

D.P.スミス氏の特許を逃れた風を吹き出すオーブンはあるが、日本では余り見られず実績もない。米国では比較的多く使われており、ベルト無しのデッキタイプのエアーインピンジメントタイプのオーブンがハンバーガーチェーンなどで使用されている。

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