売上げアップの秘訣は従業員のやる気「なかよくコンセルボ・岡野食品広報誌」売上げアップの販促手法 第四回原稿

皆さんはスターバックスと言うコーヒーチェーンをご存じでしょうか? 96年に日本
に開店して4年で200店舗、今年だけで100店舗の新店舗を開店する勢いです。店舗
は禁煙で、セルフサービスなのに競合のドトールよりも遙かに高い値段でも行列が出来て
います。スターバックスはテレビコマーシャルや新聞広告、値引き販売、チラシ広告、等
一切行いません。それでも売上げが好調な秘密を米国スターバックス社の会長ハワード・
シュルツさんに聞いてみると、「従業員のやる気を引き出すために色々な努力をしていま
す。まず、給与や福利厚生の充実は勿論のこと、社員とアルバイトの区別なくストックオ
プションという利益配分を行います。また、店舗を廻り、定期的に店舗で働いている人を
集め、ラウンドテーブルディスカッションを開き、そこで従業員たちの悩み、問題点、提
案を聞き出して、すぐに改善をする努力をしているのです。」と答えてもらいました。当
たり前のようなことですが経営者のそのような姿勢が従業員をはつらつとして働かせてい
るのです。それがお客様に伝わり、1年間に100店も開店できるのでしょう。
筆者の経験をお話ししましょう。マクドナルドでスーパーバイザー(複数店舗管理者)
をしていた時に売上げ不振店を抱えて苦労したことがあります。当時は日本進出して4年
ほどたち、60店舗ほど開店した頃でした。当初は歩行者天国が行われている繁華街の百
貨店の1階など1等地に立地していましたが、出店ペースを上げるために色々な立地に出
店を開始し、お茶の水の本屋街に2階に100席の客席を持つお店を開店しました。当初
の歩行者天国のお店は客席無しでも売上げが高かったので、客席があればもっと売上げが
上がるだろうと思ったのですが、思惑がはずれました。もう店を閉めなければいけないと
言うところまで追いつめられ、お店の2階でじっくり考えてみました。マクドナルドはセ
ルフサービスです。1階のカウンターでハンバーガーや飲み物を購入して、2階に上がっ
て食べるのですが、暇な時間帯に人気のない客席で1人ぽつんと食べるのは寂しく感じる
のです。その反面、昼時の忙しい時には4人がけのテーブルに2名ほどで座ると、100
席あっても50人で満席となってしまいます。暇なときには寂しいし、忙しいときには客
席が不足するという矛盾です。
 その時にふと厨房の調理機器が他のお店よりもきれいで、壊れていないことに気がつき
ました。その理由を店長に聞くと「調理機器が壊れた時に、ある女子アルバイトに本社の
設備担当の人に電話をさせると、直ぐに治しに来てくれる」と言うのです。本社の人に聞
くと「店舗に来たときに名前で呼んでくれたのがうれしくて、電話をもらうとつい修理に
飛んできます」と言っていました。
そこで、その素晴らしいサービス精神をもった女子アルバイトに特別のユニフォームを
着せ、お客様が荷物を持っている場合には2階まで食べ物を運んであげたり、テーブルを
拭いたり、灰皿を交換したり、テーブルを片づけたり、等、暇があれば客席を回らせるよ
うにしました。本社の人間が飛んでくるような愛想の良い女子アルバイトでしたから、客
席にいるお客様と会話をするのは得意でした。また、昼のピーク時にはニコニコと笑顔を
作りながら、相席のお願いをして、客席の効率を上げるようにしました。折角のセルフサ
ービスの効率を低下させるようなやり方ですが、今までは寂しかった客席は生き生きとし
、昼の回転も良くなり、数ヶ月で売上げは30%も延びました。
 効果は売上げだけではありませんでした。女子アルバイトに特別な服装をさせ、客席を
担当させる、ある意味で従来は社員マネージャーに担当させていた仕事に従事させる事に
より、女子アルバイトのやる気がでたのです。当初は1人だけに担当させていたのですが
、他の女子アルバイトも皆その仕事をやりたがり、モラルと接客技術がより向上しました
。売上げアップの秘訣は従業員のやる気だったのです。

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