フィノッキオ

南イタリア美食便り

我が家の畑ではプーリアの冬野菜の代表格、フィノッキオ(フェンネル)とチーマディラーペの苗を育ち始めています。先週までうるさいほどだった蝉の声も聞こえなくなりました。家の中では夏の名残りの手仕事、乾燥イチジク作りの準備です。天日干ししたイチジクの中に挟むレモンピール、フェンネルシード、アーモンドを刻むときの香り、最後にイチジクを低温のオーブンに入れて焼くときの香り。爽やかさと芳醇さ、行く夏と秋の訪れを感じる香りです。

先週は夫ジョヴァンニと親しい友人の誕生日が続いたこともあり1週間で3度も家に招かれて会食をしました。チステルニーノではご馳走の定番は焼肉です。オープンな炭火焼きだったり、薪釜だったり、電気オーブンだったりと焼き方は違えどボンベッテ(小爆弾という意味)と呼ばれる薄切りの豚肉をチーズなどを入れて巻いたものがどこのお宅でも出てきました。「えーっ、また~っ?」と思わなくもありませんでしたが、お呼ばれした方なので文句は言えません。もちろん美味しくいただきました。チステルニーノはお肉屋さんが営む焼肉レストランが旧市街地の路地にテーブルを広げているのが名物で観光客も多く訪れます。最近はカレーなどのハーブ類やピスタチオなどのナッツ類などを使ってバリエーションを効かせた新作のボンベッテを売り物にする店も出来てきています。海抜400mの丘の上にありアドリア海までは15kmほどの距離。今の感覚だと車で20分もあれば行けるので海の近くとも感じますが、伝統的な食文化の基本は肉。地元民も肉好きなことを実感しました。

そんなチステルニーノですが、「9月1日に日の出とともにアドリア海に浸かると1年風邪をひかない。」実はなぜかそんな言い伝えがあって今年も多くの人々が夜明け前から海岸に向かいました。周辺の他の町ではそんな習慣はなくこの町の住民だけはがこの言い伝えを今でもよく守っています。今朝の気温は肌寒い程だったにも関わらずコロナ禍2回目の9月1日、祈りの意味もあってか例年より多い人出だったようですが、逆効果にならないことを心から祈っております。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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