2021年10月06日 ファストカジュアルその3

レストランチェック

 先週ファストカジュアル各店をご紹介したが、今回は突出した、ファストカジュアル企業2つを紹介しましょう。

1)チポトリChipotle

 ファストカジュアルで最強なのはチポトリとパネラブレッドです。西海岸などヒスパニック(メキシコや中南米などスペイン語を話す人たち)の多い地域で強いのは、メキシカン(肉の少ないテックスメックスといったほうが正確)のチポトリです。内装はメキシコの朽ち果てた店をイメージした、モダンな内外装です。恵比寿にあったグローバルダイニングのZESTの小型店舗のイメージです。

 料理はブリトー(Burrito)、丼(Bowl)、タコス(Tacos)、サラダ(Salada)だけです。組み合わせるたんぱく質(主に肉類)が、鳥、牛、豚、豆腐など。肉により値段が異なります。付け合せの野菜、豆、ご飯、などを選べ、6~7ドル程度です。
 組み合わせる素材は一緒で、トルティかタコス、トルティア製ボールなどが異なるだけです。カウンターでブリトー(Burrito)、丼(Bowl)、タコス(Tacos)、サラダ(Salada)のいずれかを注文すると目の前で流れ作業のように具材を組み合わせてくれます。注意しないといけないのは激辛のソースや調味料を入れられることです。
一番人気はボリュームたっぷりのブリトーでメキシコの屋台風にアルミフォイルで巻いてあります。

 豆やとうもろこしの粉で作った皮などの繊維質が多く、ボリュームがあるのに健康的だと大人気です。でも、日本人にはわからない味です。現在2000店舗近くある急成長しているチェーンです。創業時にはマクドナルドが出資していたことでも有名。
http://www.chipotle.com/

チポトリの歴史
社名
Chipotle Mexican Grill, Inc.

発音 (chi-poht-lay)

 店舗は米国、カナダ、英国、フランスにあります。主な料理はブリトーburritosとタコスtacosです。製造が目の前で流れ作業のように行われます。店名のchipotleはメキシコの劇辛唐辛子ハラペーニョjalapenoを乾燥させたり、燻製にした調味料からきています。会社のモットーは「自然な食材と自主的な真心サービス」です。
 創業者は スティーブ・エリスSteve Ells氏で1993年創業。Steve Ells 氏はニューヨークの料理学校CIA(Culinary Institute of America)を卒業し、サンフランシスコの高級店であり、高名な Jeremiah Tower 氏のレストランでもある、Stars (Jeremiah Tower at Stars in San Francisco)で見習いコックとしてスタートしました。将来は高級なテーブルサービスのお店を持ちたいと夢見ていたのです。 Steve Ells 氏がサンフランシスコの街(Mission District)で大繁盛のメキシカン料理の屋台を見て起業したのです。数年後に高級店を開業しようと思ったのですが、資金がないのでメキシカン料理の店舗を開業し資金をためようと思ったのです。
 1993年に故郷のコロラド州デンバー(Denver, Colorado)で閉店したアイスクリーム店の跡地で1号店を開業しました(近くにデンバー大学があった)。開業資金は父親から借り入れた8万5千ドル。損益分岐点は1日107個のブリトーを売ればよかったのですが、なんと日に1000個も売れる大繁盛だったのです。

 1995年には1号店の利益で2号店を開業。3号店は借り入れ資金で開業。多店舗展開するため父親が1.5ミリオンドルを調達してくれました。その後、きちんとした会社組織にして自ら1.8ミリオンドルを調達しました。1999にはコロラド州から出て、オハイオ州コロンバス(Columbus, Ohio)ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis, Minnesota)などに店舗を出しました。最初は儲けた資金で、高級レストランを開業するはずが本気になったのです。
 その成功を見て1998年に McDonald’s が小額出資をしてくれ、2001年までに主要な株主になってくれました。マクドナルドのバックアップにより1998年に16店舗にすぎなかったのが 2005年には500店舗以上に急成長。そして、2006年の1月26日に,株式上場し、上場後株価は倍になる人気でした。

 2006年10月にMcDonald’sはChipotleの株式を本業に専念するため売却。マクドナルドはChipotle以外に, Donato’s Pizza, Boston Market なども売却しました。 マクドナルドは360ミリオンドルを投資して、1.5ビリオンドルで売却と、大儲けしました。現在チポトリはニューヨーク上場。競争相手はQdoba Mexican Grill,Moe’s Southwest Grill,Rubio’s Fresh Mexican Grill,Panchero’s Mexican Grill,Baja Fresh等ですが、ダントツの首位です。
 消費者の人気が高く、消費者向けの評価雑誌Consumer Reportsでメキシカンレストランとして一位と評価され店舗は全て直営店舗展開です。

メニュー
 burritos, fajita burritos, burrito bowls, tacos, salads.の5種類。

 付け合わせは ご飯、豆、4種類のサルサソース、サワークリーム、チーズ、レタス、トマトなどです。

店舗調理が中心
 店舗でほとんどの食材を調理し鮮度を大事にしています。シカゴのセントラルキッチンでは豆や一部の肉の加熱調理を行うだけです。どの店舗にも冷凍庫や電子レンジ、缶切りは置いていません。ほとんどの店舗でビール、マルガリータなどの軽いアルコールドリンクを売っています。

栄養 Nutrition
 健康的だという評価ですが、2003年に Center for Science in the Public Interest が商品分析をしブリトーは1,000 calories以上あると発表し大騒動になりました。MSNBC Health.com も「Big Macより脂肪分、塩分、コレストロール、炭水化物が多い」と非難しています。でも、同時に、植物繊維やたんぱく質は豊富で、健康的な料理だと Health.com は評価しているのです。

ベジタリアン
 vegetarianメニューが豊富です。

肉の種類
 1999には肉の調達を見直し、放し飼いの鳥や、動物虐待のない飼育牛に切り替えました。ホルモン剤や抗生物質も使用しないことを心がけた農場にも切り替えているのです。

 ファストカジュアルの勝ち組チポトリChipotleは抗生物質を与えない牛豚鶏に切り替えて大成功しています。
The Salt/NPR
http://www.npr.org/blogs/thesalt/2012/05/31/154084442/antibiotic-free-meat-business-is-booming-thanks-to-chipotle

 ただしチポトリにはある問題を抱えていました。新鮮な野菜による食中毒問題です。チポトリの売り物は新鮮な野菜を店内で加工して、フレッシュさを売り物にしているのです。米国だけでは年間を通して新鮮な野菜を供給できないし、人件費が高いのです。そこで地続きのメキシコや、中南米から調達しています。牛肉の食中毒で有名なのが、サルモネラ菌や、腸管出血性の大腸菌Оー157などですが、牛の糞が土壌や河川を汚染して、栽培してある野菜を汚染するのです。肉類は十分加熱すればそれらの有害菌は死滅するのですが、生食の野菜は金が残っています。そのため、2000年の初めに数年程、食中毒事故に見舞われ苦労しました。

2)サンドイッチとフレンチブレッドのパネラブレッド
 本社はミズリー州、リッチモンドハイツにあり、直営店を200店弱とFC400店弱を現在全国にわたり展開しています。

Panera Bread, ベーカリーカフェ
http://www.panerabread.com/
王記事
https://www.sayko.co.jp/food104/post-3640/

 パネラブレッドは元々はフレンチ・サンドイッチ・ショップ・カフェを経営していた、Au Bon Pain Co., Inc.(オー・ボン・パン)として1981年3月にボストンで設立されました。
http://www.aubonpain.com/
http://www.nrn.com/sitesearch/search.cfm

 その後、東海岸を中心にチェーン展開をしていった、Au Bon Painの店舗は、店内で冷凍生地のパンを焼き上げ、そのパンで新鮮なサンドイッチを作るという物で、サブウエイなどのサンドイッチより高級なイメージで80年から90年にかけて急成長を遂げました。サンドイッチだけでなく、欧風の濃いブレンドのコーヒーを特別開発のコーヒーマシンで抽出し、提供するグルメコーヒーとしても人気を呼んだのです。そのコーヒーマシンに注目したスターバックスは同社の主力のコーヒーマシンとして採用するようになった程です。

 急成長する勢いで、1993年の12月に同社はSaint Louis Bread Co.(セントルイス・ブレッド) と言うセントルイス市にサンドイッチカフェを直営19,フランチャイズ1店舗を経営する会社を買い取りました。このお店はサンフランシスコ名物のサワードー(天然酵母で造る酸っぱい独特の香りのするパン)を売り物にしました。その後、冷凍でない天然酵母で造ったパンやベーグル、ビスケット、等だけでなく、客の好みで組み立てるサンドイッチや、健康的なイメージのサラダ、サワードーをくりぬいて入れたスープ等を加えるようになりました。1998年、当時の社長のRon Shaich氏は、Saint Louis Bread Co.と言うチェーン名をPanera Bread.に変更しました。
 そして、Au Bon Pain用に大規模な製パン・冷凍生地工場を設立し、チェーン展開へ加速を付け、かつ、原材料費を削減しようと目論んだのです。しかし、その大規模な製パン工場の投資額は多額で、大きな負担となってしまったのです。また、同時期にニューヨークなどの大都市に展開をしていた、Au Bon Painのサンドイッチショップはスターバックスなどの競合相手の進出により売上に大きなダメージをうけ、前年対比売上が低下し、同社の資金繰りを圧迫し始めたのです。

 やむなく、1999年5月にAu Bon Pain Co.は母胎であったAu Bon Pain bakery-cafe business 部門を売却し、会社の名前をPanera Bread Company.に変更し、Panera BreadとSaint Louis Breadと言うブランドに専念しだしたのです。

 結果的にイメージの古くなったAu Bon Pain Co.のサンドイッチ業態から、より高所得者層にアッピールする、健康的なイメージの天然酵母を使った焼きたてパンとスープ、サラダに商品を転換することで、ファーストカジュアルのジャンルの中で大人気となったわけです。
 パネラブレッドは天然酵母とフレッシュ生地にこだわりました。店舗の近くに、カミサリーを設置し、天然酵母の記事を練り店舗にフレッシュな状態で配送します。店舗で成形発酵させ焼き上げます。

 ファーストカジュアルが注目されているのは規模が小さいのにも関わらず、顧客のブランドに対するロイヤリティが高く、それが企業イメージをあげ、売上の対前年伸びが大変高いと言うことです。

 Panera Bread店舗ではより落ち着いた自然な色彩、ソフトな照明、広いくつろげる居心地の良い家具、暖かい印象の床や壁、活きた植物、等を取り入れています。具体的には、ブース席、テーブルに始まり、自然な色を使ったナチュラルな店内、大胆なグラフィックスの採用、吊り下げ照明の採用、タイルフロアー、地域性に合わせたバックグラウンド音楽、お洒落なメニューボード、カジュアルでお洒落なユニフォームの採用などです。
 日本にも進出を考え来日し、私が日本のマーケットや土地の価格の他S傘を説明し、あきらめたことがあります。その後、創業者のRon Shaich氏は煩雑な上場企業の運営につかれ、ドイツ企業の傘下に入り、非上場企業となっています

続く

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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