「魚が獲れん。」 鞆の浦漁業協同組合

立教大学生インタビュー

「魚が獲れん。」

 この一言からインタビューは始まりました。漁師町として知られている鞆の浦。2018年には「瀬戸の夕凪が包む国内随一の近世港町」として日本遺産にも認定されています。そんなこの町で、ここ2~3年で魚が獲れなくなってきているという現状を、鞆の浦漁業協同組合 代表理事組合長羽田幸三様からお聞きしました。

夕暮れの港町「鞆の浦」

 かつての鞆の浦では、鯛やネブト(天竺鯛)、シャコをはじめ、たくさんの海の幸が獲れていたそうです。食べきれないほどの量が獲れていたことで、水産加工を行う企業も鞆の浦には多く生まれました。しかし、20~30年前をピークに漁獲量が減少し、今ではタコなどの甲殻類も獲れず、「地のもの」がいないという状況になっているそうです。さらに、鞆の浦の人口減少・高齢化も加わり、漁師の数も10分の1となってしまっています。

 このような鞆の浦の漁業の現状を変えていこうと、羽田様は様々な取り組みを考え、実行されておられます。その1つが、「鞆の浦わかめプロジェクト」です。わかめの養殖をオーナー制にし、お客さんが種をつけ、収穫まで行うという「育てる楽しみ」を提供する体験です。個人の方だけでなく、飲食店、病院などもオーナーとなっていたそうですが、そのわかめも今年は大不作となり、希望に添えない方もでてきてしまったそうです。

 羽田様は、「漁師だけでは、生活ができない」とおっしゃっていました。これは、地球温暖化などによる環境の変化だけではなく、「漁業」というもの自体にも問題があるそうです。例えば、「規制の甘さ」。漁業協同組合が放流した稚魚を、レジャーとして訪れた釣り人が釣ってしまうのです。農家が育てた野菜や果物は勝手に獲ってはいけないのは当たり前ですが、漁業協同組合が育てた魚は釣ってよいのか。この言葉にハッとしました。海はみんなのものと言われていますが、漁師にとっては職場なのです。普段の生活では気づくことができない漁業の問題について、考えさせられるお話でした。

 漁師町「鞆の浦」とは程遠い現実に啞然としてしまいました。鞆の浦の「漁業」を守っていくためには、何が必要なのでしょうか。漁業の未来を一緒に考えていきませんか?

鞆の浦漁業協同組合

住所:広島県福山市鞆町鞆1003−3

電話番号:084-982-2220

Facebook:https://www.facebook.com/tomonouraGK/

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