weekly Food104 Magazine 2005年11月2日号

メルマガバックナンバー

● 米国レストランNEWS
● 赤石貴麻の酒蔵探訪記
● 米穀情報
● 食ビジネスニュースリリース
● ジーン中園の世界一蹴の旅
● 王利彰のレストランチェック

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● 米国レストランNEWS———————————————■□

■ マクドナルドがオーガニックのコーヒー発売

McDonald’s(マクドナルド)は11月よりマサチューセッツ、コネチカット、ロ
ードアイランド、バーモント、ニューハンプシャー、メインと一部のニューヨ
ーク州の650店舗にて、バーモント州のコーヒー豆ロースター業者、グリーン
マウンテン・コーヒーと提携し、「ニューマンズ・オウン」と言うブランドの
オーガニック・コーヒーを販売します。グリーンマウンテン・コーヒー社はフ
ェアートレードのコーヒー豆を仕入れローストしてこのブランドで、主にスー
パーマーケット、レストランへの卸売り、メールオーダー販売をしており、そ
の分野のトップブランドとなっています。

またマクドナルドは、来年よりほとんどのメニューのパッケージに栄養成分記
載を開始するということです。現在マクドナルドは他のファーストフードチェ
ーンでも行っているように、ウェブサイトに栄養成分を掲示しています。過去
に肥満の原因はマクドナルドだという理由で訴訟を起こされたことや、マクド
ナルドのメニューをたて続けに食べて健康を害したというドキュメンタリー調
映画「スーパーサイズ・ミー」などマクドナルドへの批判的な意見が多くなっ
てきています。それらの、マクドナルドの食事は不健康だというイメージへの
対策として、食べ物の質を表示しバランスのとれたライフスタイルを推奨する
ようです。
http://www.mcdonalds.com
http://www.greenmountaincoffee.com

■ 創作ロールが人気、回転寿司: Sushi Station

シカゴ郊外にある回転寿司屋に行って来ました。この日は金曜日の夜、米人の
お客さんが半分以上です。久しぶりの回転寿司、ここは寿司が流れるコンベイ
ヤーが透明な筒状のドーム型になっていて、お寿司を取るときに上にスライド
するウインドウを開けて取ります。ワサビは通常のにぎりや巻き物には入って
いません。食べたいときにはワサビを入れてほしいと注文します。

回っている寿司の中で目立つのがロールものです。お馴染みアボガド入りのカ
リフォルニアロールの他に、いろいろ風変わりな創作ロールがあります。中で
もマイアミロールは太巻きを天ぷらの衣をつけて揚げてあり、外はカリッとし
ています。中身はアボガドやクリームチーズが入っており、独特の食感です。
天ぷらをドラゴンに見立てたドラゴンロールや、色とりどりの具で巻いたレイ
ンボーロール、アボガドやピリ辛ソースのメキシカンロール、クリームチーズ
とスモークサーモンのフィラデルフィア・ロール等、見た目が派手な巻き物が
目を惹きます。マヨネーズベースのソースがかけてあるようなロールが米人に
は人気のようです。
Sushi Station
1641 Algonquin Rd. Rolling Meadows, IL 60008

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● 赤石貴麻の酒蔵探訪記~日本の酒~——————————■□

■ 地元で育まれた「千葉発、日本一の夢」(千葉県・守屋酒造)

今はもう秋。海水浴シーズンも終わり、九十九里に面した蓮沼村には静かな空
気が流れています。今回訪ねた「守屋酒造」は、そんな蓮沼の空気とは対照的
に活気に満ちております。というのも守屋酒造では、日本酒の他に米からもろ
みをたてたものを蒸留する『米焼酎』を80年前から生産しており、今の時季は
焼酎の出荷と11月1日からの日本酒の仕込みの準備で大忙しという時季。にも
関わらず、5代目の守屋雅博社長は快く蔵内を案内してくださいました。

本蔵の手前に、以前杜氏やその一行が寝泊りするのに使われていた広敷(ひろ
しき)があります。広敷は警備上、蔵の中心に設けられたそうで、昭和16年に
本蔵と棟続きで建築。若干改装して現在は見学者の休憩などに利用されていま
す。この後も見学者がバスでこられると伺いびっくり。「平日でバス1台、休
日で平均4~5台は来られますね」と伺い更に驚きました。

「創業は明治26年、今年で113年になります。杜氏は来週岩手から南部杜氏が
やってきます。他に蔵の者4名程で年間500石を生産してます。先代が設備投資
を惜しまないので、うちより生産高が何倍も上回る蔵が導入するような設備を
完備しています。少人数でも、お米に負担をかけずいい酒造りができます」。
連続横式蒸米機や大型冷蔵室などの近代的な設備を取り入れながらも、蒸米機
はコンピュータ制御に頼らず、その日の気候や温度によって杜氏が長年の経験
で微調整をする。搾りはヤブタを使わず槽だけで搾るというこだわり。また大
型冷蔵室では清酒の特徴を損なわない低温熟成が可能となり、秘蔵酒や純米酒
などはここで3年程眠りにつきます。伝統・近代にこだわらず、双方のいいと
ころを上手に生かした酒造りをされています。

販売は蔵の売店や注文、近くの「オライはすぬま 道の駅」等での直売が5割。
3割が酒販店、2割が卸で、大半が県内で消費されるそうです。仕込水は灘に近
い水質の硬水で地下15mから汲み上げており、酒米のほとんどは県内産のコシ
ヒカリを使用し、地元にこだわっている。

「実は『地酒』に対する定義というのが人それぞれ違い、とても曖昧なんで
す。それだけに『地の米・地の水・地の気候・地の風土・地の人情で醸す酒
』にこだわりたいのです」。反対に「赤石さんの『地酒』の定義は?」と質
問されてしまった時には一瞬慌ててしまいました。

そして「お酒は楽しく飲んでもらえるのが一番ですね」と守屋社長。「お客さ
んも売り手も造り手も、みんなが楽しくなるそんなお酒を造っていきたいで
す。楽しい席のメインじゃなくても傍らにおいてもらえるそんなお酒を」。
先日の千葉マリンスタジアムの日本シリーズにも出店され、各イベントで出店
の枠があると積極的に出店される。中山競馬場のG1には樽酒の量り売りという
楽しい催しをされた。結果、レースそっちのけで7合飲んだお客さんもいらっ
しゃったとか。

歴史を感じさせる本蔵では、毎年4月の新酒の時季に「酒蔵コンサート」を開
催。毎年満席になるほどの人気でその歴史は10年以上。毎年足を運ばれる方や
遠方よりトンボ帰りをしてまで来られるファンもいらっしゃるほど。

また、酒蔵サロンでは「酒蔵大学」を開講。造りやお酒の話を直接杜氏から聞
きたいという希望が多く、杜氏のいる仕込みの時季に勉強会を開催していてこ
ちらも毎年好評。サロンにある2卓のテーブル、よくみると昔使っていた槽の
側板を再利用したもの。酒造りに使った道具の上で酒の勉強をするなんて浪漫
を感じます。

話の間も、お酒を買いにくるお客さんがたえず蔵に訪ねてくる。地元で育まれ
、愛されている「地酒」だなと感じた。そしてハツラツとお客さんに接してい
る守屋社長の笑顔がとても印象的でありました。

○おすすめの酒
「舞姫 寒造り生原酒 心醸」
精米歩合:60%
アルコール度数:19~20度
低温熟成させた濃醇辛口の売れ筋商品であります。
(また、期間数量限定の「百年の雫」は「心醸」を熟成させないフレッシュな
新酒を年末に発売)。

「九十九里浜ものがたり 純米吟醸」
原料米:コシヒカリ 精米歩合:60%
アルコール度数:15~16度
日本酒度:+3 酸度:1.3
口当たりやわらかな吟醸酒。

「九十九里浜ものがたり 吟醸辛口」
原料米:コシヒカリ 精米歩合:60%
アルコール度数:15~16度
日本酒度:+3 酸度:1.3

○筆者撮影の写真:http://photos.yahoo.co.jp/bc/tafdmail5/slideshow?&.
dir=/0510%bc%e9%b2%b0%bc%f2%c2%a4&.src=ph&.view=t

○おすすめの肴
いわしの胡麻漬け
さばいてお酢でしめたいわしを、胡麻や生姜などと一緒に漬けたもの。家庭に
よって、お酢のしめ具合が違ったりするそうです。

○オリジナルラベルのお酒
オリジナルラベルのお酒を1本から作ってくれます。ラベル加工料はサービス。
お誕生日の記念や開店祝いなどにいかがですか。

○酒蔵見学のご案内
守屋酒造では一般の方の見学を受け付けてます。(要予約)
酒蔵大学と合わせていかがでしょうか。

○酒蔵見学・大学、酒蔵コンサート、また各種商品のお問合せはこちらへ。
守屋酒造株式会社
千葉県山武郡蓮沼村ハ-2929
TEL 0475-86-2016 FAX 0475-86-2173
URL http://maizakura.com/
mail info@maizakura.com

○食文化研究家 赤石貴麻(あかいし・たかお)
E-Mail:tafdmail5@yahoo.co.jp

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● 米穀情報報 —————————————————-■□
※この情報は、米穀データバンクのご協力により、「米穀市況速報」(日報)
から、一部記事を要約したものを掲載させていただいています。(月1掲載)
記事・図表の無断転載・引用を禁止します。

■ 青系138号、18年産は2万トン計画

全農青森県本部は10月27日、県内外の卸13社を招き青森市で「JA青森米産地懇
談会」を開催した。

17年産県産米は「県内全域でおいしい米が生産されている」と報告。県奨励新
品種・青系138号について同本部は「ポストゆめあかり」の位置づけで取り組
み、17年産は18年産以降の取扱いの方向性を探るため、県と連携して普及展示
ほで栽培、県内24カ所・約7haを設置した。10月中旬、卸14社にサンプル米の
分析及び試食アンケートを実施してもらい結果を取りまとめた。

総合的には、ゆめあかり以上または同等の評価が得られた。特に、ご飯にした
場合の粒揃い、白度、つやで高い評価。18年産は2万トンの販売計画で、県産
米の販売戦略米として、新規需要のためのサンプル提供と市場評価の積み上げ
を図る。

17年産主食うるちの販売計画は、つがるロマン約8万4,000トン、ゆめあかり約
6万2,000トンなど計約14万8,000トン、JA米8万5,000トン、農薬や化学肥料を
減らした青森クリーンライス2万4,000トン、一般米3万9,000トン。クリーンラ
イスは生協を中心に家庭用で取り組んできたが、「学校給食や企業給食、外食
産業など業務用で拡大していきたい」と述べた。
(2005年10月31日)

■ たんぱく質調整ごはんを新発売(キッセイ薬品工業)

キッセイ薬品工業(株)・ヘルスケア事業部では、たんぱく質調整ごはん「ゆ
めごはん1/25」をトレーに入れた製品「ゆめごはん1/25トレー」を19日から発
売した。

「ゆめごはん1/25」は慢性腎不全患者など、たんぱく質の摂取制限を必要とし
てる人向けに、たんぱく質含量を通常のごはんの1/25まで低減したたんぱく質
調整ごはん。180g当たりのたんぱく質含有量が0.2gと通常(4.5g)より少なく
、リンやカリウムの含有量も少ない。

今回新発売となった「ゆめごはん1/25トレー」はレトルトパック入りの「ゆめ
ごはん1/25」を取り扱いが簡便なトレー入り製品としたもの。電子レンジ等で
の加熱後、茶碗等へ移しかえることなくそのまま食べることもできるなど、取
り扱いが簡便なうえ、ごはん粒がつぶれることなく、ふっくらとした炊き上げ
のおいしさを保つことができるという。同商品は1食210円(180g)、インター
ネット、電話等で通信販売される。
同社HPは http://healthcare.kissei.co.jp/ 。
(2005年10月24日)

■ ロイヤルホストが秋田白神地区こまち表示

大手外食のロイヤルホールディングスは、“安心提供”でレストランチェーン
「ロイヤルホスト」で使用している米の原産地表示について、10月4日から、
関西の一部を除く260店舗で使う米を対象に店頭の掲示板(ボード)やホーム
ページなどで明示した。

ボードでは東京、神奈川の8店舗で実施した。ホームページでは全国で産地共
通の食材として米も秋田県産と表示。

一方、ボードでの表示では秋田県白神地区のあきたこまちと紹介。「秋田県で
開発された、コシヒカリと奥羽292号をかけ合わせた品種です」とアピール。
農水省が今年7月に外食業者の原産地表示ガイドラインを提示したことを受け
て各種業態の大手業者に表示の動きが見られる。業界関係者によれば大手洋風
レストランチェーンでも年内に表示を開始する計画という。
(2005年10月20日)

■ 発芽米の白米仕立てを発売(ファンケル)

(株)ファンケル(横浜市)は10月21日から、発芽米シリーズの新商品として
『おいしい発芽米 ふっくら白米仕立て』を通信販売及び直営店舗で販売を始
めた。仕様は500g:525円、1キロ:995円、4キロ:3,780円など。

同商品はギャバが現行品の発芽米と同じ含有量で、ヌカの部分を半分削り白米
のように仕立てたタイプ。栄養価に加え、白米と同様に、手軽に炊飯出来る、
炊きあがりは白くふっくら、ヌカを削ったことで「甘味」をいっそう感じるこ
とが出来ることなどが特徴。

なお、GMS・SMでは11月上旬より発売される予定。商品の問い合わせなどは同
社(電話0120-750-210)まで。
(2005年10月18日)

○株式会社米穀データバンク:民間のコメ調査会社。生産・流通・市況など
コメに関する情報の提供を行っている。
○問い合せは、ricedata@japan-rice.com
○ホームページ「日本のコメ市場」http://www.japan-rice.com/main.htm

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● 食ビジネスニュースリリース —————————-■□

■ HOTERES & FOODEX KANSAI 2005開催のお知らせ

『宿泊・観光業』『フードサービス(外食・給食)業』『食品流通・小売業』
の方々にむけた専門展示会が大阪にて開催されます。約250社から皆様の課題
を解決する様々な提案がなされます。

○HOTERES & FOODEX KANSAI 2005
日時:2005年11月16日(水)~18日(金)
10:00~17:00(最終日は16:30まで)
会場:インテックス大阪1・2号館
規模:253社/540小間
入場:「招待状」「入場登録券」持参者は無料。
その他有料1,000円(一般、学生の入場不可)。
※「招待状」請求はFAX(06-4797-2051)にて名刺のコピーをお送りください。
ホームページからプリントアウトした「入場登録券」でも参観可(要名刺)。

○詳細はホームページ参照→ http://www.jma.or.jp/hfk/

○HACCPセミナー(10:30~12:00)→HACCPの最新情報を講演
11/16 → 『ウィルス感染症の実態と予防』
11/17 → 『ISO22000の最新動向について』
11/18 → 『給食センターの衛生管理』

○デパチカ・ホテイチセミナー(13:00~14:00)
→「中食・惣菜」の最新情報を講演
11/16 → 『ホテイチ開発者が語る中食市場の新化!深化!真化!』
リーガロイヤルホテル
11/17 → 『ゆっくり未来へ新しく変わり続ける百貨店食料品』
〓島屋
11/18 → 『中食のリーダーが語る-これからの柿安本店の展開』
柿安本店

○カフェセミナー(15:00~16:00)→トップ バリスタによる実演セミナー
11/16 → ワールド バリスタ チャンピオンシップ 2005 準優勝者
11/17 → ジャパン バリスタ チャンピオンシップ 2005 入賞者
11/18 → ジャパン バリスタ チャンピオンシップ 2005 準優勝者

○出展者セミナー →14社の出展企業によるセミナー
※連日開催!詳細はホームページ

○最新の内容はこちらをご覧ください。http://www.jma.or.jp/hfk/

■ JALUX通販「グルメ・ファーストクラス」“自然食おせち”を共同開発

JALグループの生活提案企業:株式会社JALUXは、2005年11月1日に発行する食
品通信販売カタログ「グルメ・ファーストクラス」において、自然食品店「AN
EW」と「自然食おせち」を共同開発し、自然派志向の方を対象に販売しました。
商品は、「和・洋・中」様々な商品を取り揃えており、販売価格は5,500円
(税抜)から28,000円(税抜)まで幅広く設定しています。

今回、マクロビオティックの食事法を取り入れた自然食品「まくろび」(商品
名)でJALUX通販において販売実績のある自然食品店「ANEW(アニュー)」の
協力により、自然派志向のお客様をターゲットに共同開発・販売するものです。

○特徴
・化学合成添加物不使用
・栽培方法にこだわった厳選した野菜を使用
・日本古来の伝統製法や匠の技をいかして製造
・素材本来のもつ旨みをそのままいかした自然な味
・無添加食品販売協同組合(農林水産省認可)の検査合格品

○販売価格:19,950円(税・送料込)
販売期間:11月1日から12月17日まで(お届けは12/30、31日)

食品通販カタログ誌「グルメ・ファーストクラス」、マイルがたまるショッピ
ングサイト「JALショッピング」(http://www.shop.jal.co.jp/)よりご購入
いただけます。

○この件に関するお問い合わせ
(株)JALUX 通信販売部 TEL:0120-25-39-84

■ セブン&アイオリジナル商品『あったか仕立て たまごスープ』新発売

協和エフ・デイ食品株式会社は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンと共同
開発を行い、フリーズドライタイプの具と液体のスープを組み合わせ、お湯を
注ぐだけで簡単に食べられる『あったか仕立て たまごスープ』(セブン&アイ
限定発売 カップ入り・消費税別小売価格140円)を10月31日より首都圏のセ
ブン‐イレブンにて新発売しました。続けて11月14日より全国のセブン-イレ
ブンにて発売します。

今回初めて、具材と調味料を分離することにより、たまごやほうれん草などの
素材本来の色合いと食感が再現できました。また、お湯を注いだ時の香り立ち
の良いスープに仕上がりました。また、当社「たまごスープ」の最大の特徴で
ある“たまごのふんわり感”をだすために、新たな技術を導入し“ふんわり溶
きたまご”を実現しました。スープは、香り立ちの良い液体スープを採用。こ
だわりの味付けとしても使われている丸鶏のスープをベースにスッキリとした
味わいが再現され、見た目にも透明感が増しました。さらに、スープにコクを
あたえ、濃厚感も出しました。

○お客様相談窓口 TEL:03-3282-1525

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● ジーン中園の世界一蹴の旅————————————-■□

■ ジーン中園世界一蹴の旅 第4回 しっかり仕事もやってました!工場訪問

私は、現在、米国ゴールデン・ステート・フーズ(GSF)の子会社であるGSFオ
ーストラリア社に勤務しております。この会社は、現在野菜中心に豪州国内の
ファーストフード(FF)を初め、スーパーマーケットチェーンにカット野菜な
どを供給する会社です。豪州国内の大手のFFチェーン店については現在90%の
シェアを誇っております。

昨年5月、日本から14名、わざわざシドニーにやって来られることに決定しま
したので、私がシドニーの旅をセットアップして、一週間に渡ってシドニーを
ご案内しました。その際、私の工場にもお越しいただきました。従って、ある
会員の方には、既に私の会社とその工場を観ていただく機会があり、多大の質
問をしていただきました。参加いただいた方々には、それなりに評価していた
だいたことは、大変嬉しいことでした。
http://users.bigpond.net.au/zt/gsf/overview.html

今回、私が世界を廻る計画を立てましたので、この機会に他国の野菜工場も観
てこようと、次の3工場を訪問しました。そのご報告をいたしましょう!

米国:ダラス、テーラーファームズ
英国:ロンドン郊外、ナチュレス・ウェイ・フーズ
エジプト:カイロ、GSFエジプト

1.まず、最初は、ダラスの郊外にあるテーラーファームズを訪問しました。
このテーラーファームズ、実は、私の会社の株主でもあるので、いわば、親会
社の支社を訪問してきたということになります。テーラーファームズは、日本
ではあまり知られてはおりませんが、米国ではかなり有名な野菜専門の大規模
工場を米国内に8都市に所有しているのです。

今回はテキサスにあるダラス工場を訪問しましたが、これ以外に、本社はカリ
フォルニアに所在します。それ以外には、アリゾナ、コロラド、テネシー、ジ
ョージア、フロリダ、メリーランドに位置しており、年間売上高は、5千万ド
ル(約600億円)を誇っております。
主力顧客は次のようになっています。
FF/レストラン、マクドナルド、ウェンディーズ、バーガーキング、サブウェイ
ドミノピザ、レッドロブスター、オレンジ・ガーデン、リテール(小売業)、
アルバートソンズ、セーフウェイ、HEB、ハリス・ティーター、ウィン・ディ
クシー、サムズクラブ、ウォルマート

スーパーマーケットなどを廻ったときに、このテーラーファームズのロゴの付
いた商品をかなりの場所で見かけることができました!

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当然、その食品安全に対する取り組みは、上記の顧客満足を得るために最大限
に考慮されており、品質管理システムは万全の体制をとっています。HACCPは
もとより、GAP(グッド・アグリカルチャラル・プログラム)、GMP(グッド・
マニュファクチュアリング・プラクティス)、バイオセキュリティ(バイオ安
全システム)などが導入されて、完璧なまでに食品工程管理がなされているの
です。

また、運送についても、総てのトラックは2年以内の新車のみを使用し、また
その運転手は、総て自社の従業員ですから、運搬についてもその商品について
の運送責任を果たすことを確約しているのです。また、全トラックについては
GPSシステムが搭載されているため、運搬車両が現在どこを走っているのかと
いうことまでも、各工場で把握できるというシステムが配備されて、運送コン
トロールを行っているのです!当然、荷物の積載については、0.5度Cの温度管
理がなされて、必ずこの温度でなければ、トラックへの積載は容認されないと
いうシステムが確立されています。

また、原材料である野菜類は、契約農家からだけの納入ですから、いわゆるト
レーサビリティについても、完璧なまでにシステムが完成されているのです。
野菜類は、カリフォルニア州では、サリーナス、ヒューロン、オクスナード、
アリゾナではユマから納入されております。従って、原料野菜に始まり、工場
での生産、それを顧客に届ける運送業務にいたるまで、一貫した運送、製造、
配送体制が完備され、顧客満足度を120%にまで上昇させているのが大きな特長
といえましょう。
ということで、工場も2000年に建築されたばかりの新工場で、最新鋭の機械
設備を使用しての製造をしておりました。

2.次に訪問したのは、ロンドンです。
GSF社は、マクドナルドに納入しておりますので、全世界のマクドナルドの工
場ともコミュニケーションが容易に取ることができるシステムが構築されてお
ります。英国マクドナルドにレタスや野菜サラダを納入している、この会社と
は、電子メール上でいつもQAマネージャーと情報交換をしております。その関
連で、今回、工場訪問をすることになりました。

会社名は、ナチュレス・ウェイ・フーズという企業です。工場は、ロンドン市
内から電車に揺られて約1時間半南西に走っていったところにチチェスターと
いう街があります。近隣の大きな街では、歴史上有名なポーツマス条約のポー
ツマスがあります。ここは、イギリス海峡に面しており、温暖な気候からロン
ドンの野菜の供給場にあたるところで、工場はいわば農場のど真中に建てられ
ているという感じです。ただ、冬場はかなり寒くなり、ここからの供給は不可
能になるため、海峡を渡ったスペインからその供給を受けて製造を継続してい
るのです。
http://www.natureswayfoods.co.uk/

FFでは、マクドナルドが20%の売上を占め、あとの80%はリテール関連のサラダ
パックを製造しているのです。マクドナルドでは、ビッグマック用のレタスの
千切りと、サラダに必要なサラダミックスを提供しています。ロンドン市内で
レタスの入っているビッグマックを購入して試食してみましたが、そのレタス
の品質はかなりよいものでした。

この工場でも食品安全に対する取り組みは、並々ならぬものがあり、特異な工
場管理をしていましたので、御紹介してみましょう!
まず、野菜は土の中で育ちますから、基本的にはいわば汚れているものです。
ところが、それを工場内に入れますと、工場が農場から運ばれた土などで汚染
される畏れがあるわけです。そこで、この会社では、次の3つのカテゴリーに
分けて、工場を完全に分離するというやり方を取っているのです。

まず、野菜が入荷して前処理されるところまでを、汚染地域として工場内でも
間仕切りをして、土壌菌や昆虫などが次の製造場所に移動しないように工夫し
ています。従って、ここをローケア(低注意)地域と呼び、そんなに神経質に
ならないようにしています。また、ここ専用のユニフォームと靴が区別されて
います。ユニフォームはグリーンの色で識別され、このユニフォームを着てい
ると、ローケア地域に入室することが可能なのです。

次は、前処理された野菜が、壁を通って次の製造室にコンベアで運ばれます。
ここでは、野菜はカットされ、次亜塩素酸(クロリン)の洗浄槽で洗浄され、
遠心分離機で脱水されたあと、自動計量機に運ばれて重量が規定量だけ計られ
ます。それが袋詰め機械に送付され、ここで自動包装されるのです。この段階
で、汚染が起こると問題が生じますので、ハイケア(高注意)地域と呼んで、
ローケアとは隔絶した製造段階を構築しているのです。この部屋にはいる従業
員は、再び靴を履き替えて、ユニフォームも着替えるのです。この部屋に入る
ときはオレンジ色のユニフォームを着ますので、一目でハイケア製造場にいる
ということが外からでも識別できるようにしているのです。

最後に、ビニール袋で包装された商品は、再び間仕切りされた次の部屋にコン
ベヤで送りこまれます。ここでは、商品は既に袋詰めの状態ですから、そんな
に神経質になることもありません。つまり、この部屋は、ローケアの部屋とな
り、グリーンのユニフォームの従業員が働くということになっているのです。
つまり、最初のローケアから、次のハイケアに移り、最後にローケアになると
いうのを、ユニフォームの色を完全に変えることによって、識別しているので
す。

私は、世界各国の食品製造現場を見てきましたが、ここまで、ローとハイを区
別している工場を観たのは初めてでした。さあ、日本の工場でここまでの管理
を野菜工場でできるかは、これからの課題ではないかと思いました。

3.さて、最後は、わがGSFのエジプト工場です。
この配送センターは、なんとあのピラミッドで有名なギザにあり、会社の事務
所の窓から、毎日3つのピラミッドを見ながら仕事ができるのです。この工場
を訪問する前日、ギザのピラミッドとスフィンクスをみたばかりでした。
http://homepage1.nifty.com/yukiko_world/Egypt.html

ここでは、ピラミッドは食品とは別物であるため、詳しくは述べませんが、と
にかく世界7不思議のひとつに数えられるくらいのものですから、その偉容に
はほとほと感心をせざるを得ませんでした。

さて、GSFですが、当社は、米国のロサンジェルスに本社を置き、現在は、米
国を初めとして、メキシコ、ここシドニー、豪州の西海岸であるパース、東南
アジアのマレーシア、クアラルンプールと、カイロにその工場とディストリビ
ューション(配送)センターを置いているのです。

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年間売上約2,400億円と、世界の従業員約2,000名、関係国は全世界で60カ国を
超えています。カイロでは、ここギザで配送業務を行うのと同時に、ここから
約20分ほど車で走った工業団地に、リキッド(液もの)工場とバンズ(パン)
工場があります。リキッド工場では、ケチャップ、マスタード、シロップ、ト
ッピング、シェイクミックス、サンデーミックス、タルタルソース、ビッグマ
ックソース、マヨネーズ類を製造しており、中東の各国にここから輸出をして
いるのです。また、バンズ工場では、FF用にバンズを製造して、それを冷凍し
、冷凍バンズとしてやはり、FF各社に配送をしているのです。

ということで、中東における工場見学をしてきたという次第です。
私は、90年に豪州に移動し、92年からシドニーに移り住んできて、それ以降ず
っとGSFの工場で働き、13年の歳月を過ごしてきたことになります。納入先も
マクドナルドを皮切りに、有名ファーストフード企業に納入をするようになり
最初は、レタスだけでしたが、ほとんどの野菜を扱うようになり、その間に果
物も手がけましたので、その品種も数限りないものとなっております。従って
私もその間、手がけた野菜をQAマネージャーという立場から、ありとあらゆる
角度で品質管理、品質保証業務を担当してきました。

その業務実績は、昨年、シドニー研修の旅に参加していただいた方々に実地検
証していただいたという経緯がありますので、御存知の方がたも多々おられま
す。また、現在、マクドナルドのアジア・パシフィック・中東・アフリカ地域
の野菜サプライヤーを集めて、野菜会議を開催しており、その議長役を仰せつ
かっており、世界の野菜の情報を収集する立場にもあります。また、ここシド
ニーでは、ニューサウスウェールズ州のフードオーソリティ(食品局)のアド
バイザリー工場担当者という立場で、州政府への意見上申や、政策決定の意見
具申などに注力をさせていただいております。
今回、世界の工場を観ることで、また私の視野を拡大することができる機会を
持てたことは大変ラッキーだったと思っているところです。

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

■ 韓国の食 その3 韓国に進出の米国企業

日本の飲食業が外食産業としてスタートしたのは、1970年3月に大阪で開催さ
れた万博にケンタッキーフライドチキンとロイヤルのカフェテリアが出店した
のがきっかけです。その後、KFCが三菱商事と合弁で第一号店を開店し、ミス
タードーナツ、ダンキンドーナツ、マクドナルドなどの米国外食企業が、技術
提携や合弁の形態で続々と開店しました。それに刺激され、ドムドム、すかい
らーく、ロッテリア、モスバーガー、等の日本の外食企業が誕生しました。そ
の後、外資系の企業としてはイトーヨーカ堂とデニーズ、ダイエーとビックボ
ーイ、ダイエーとビクトリアステーション、などが進出をしてきました。

しかし、35年を経過した現在では外資系として生き残っているのは、KFCとマ
クドナルド位で後の外資系外食チェーンは日本側がブランドを買い取ったり、
撤退したりの惨状です。例外は世界で寡占化をしつつある、給食産業のアラマ
ーク、コンパス、ソデクソグループだけです。

この外資系外食チェーンが日本で生き残れないのは消費者の味に対する嗜好が
異なるからだと言われています。さて、人口比で日本の外食産業の1/3の規模
で、これから飲食店がチェーン化し外食産業となると言われている韓国はどう
かと言うと、ちょっと状況が異なります。

韓国に進出した米国系外食チェーンは元気一杯なのです。米国系外食チェーン
として日本に2000年に進出したアウトバックステーキハウスは日本に10店舗を
展開していますが、同時期に進出した韓国では今年末で何と70店舗になる快進
撃です。担当者に言わせると、開店コストは日本の70%と低いにもかかわらず
1店舗あたりの売上げは日本よりも5割高く、収益性は比較にならないといって
います。

ロッテグループは日本では食品企業ですが、韓国では食品企業だけではなく、
ゼネコンからコンピューター、百貨店の小売業まで経営している大財閥です。
百貨店では韓国で最大規模となっており、その情報量を生かして、日米の成功
している外食企業と提携するか、自社開発して色々な外食ブランドを展開して
います。

明洞(ミョンドン)にある巨大なロッテ百貨店にロッテの最新の外資との提携
店クリスピークリームが最近開店しました。当マガジンでも報告していました
が、今年に入ってアトキンスダイエットなどの影響を受けるまで急成長してい
たクリスピークリームを見て、ロッテが提携し、ロッテ百貨店に開店したので
す。未だに行列の絶えない大繁盛店になっています。

余談ですが、百貨店の駐車場のサービスには感心します。ソウルでは東京より
も自家用車を利用する人が多く、百貨店には巨大な駐車場が必要不可欠です。
日曜日などは日本と同様に車の行列ができますが、その行列を捌く従業員のサ
ービスは面白いのです。日本の百貨店ではエレベーターの運転を綺麗な女性従
業員が行いますが、ソウルではエレベーターは無人で、その代りに綺麗な女性
従業員が駐車場の案内を行います。手をひらひらさせて丁寧にお辞儀をしなが
ら見事に車を誘導するのに見とれてしまいます。その案内に見とれて駐車場に
車を乗り入れると駐車場から出る車と混同されないように、ハザードランプを
点灯します。そうすると駐車場の案内係が空きスペースに車を誘導してくれる
のです。

さて、本題に戻りましょう。ファストフードでは、日本でJTと鳴り物入りで提
携し、直ぐに撤退したバーガーキングがマクドナルドと互角の勝負をしていま
す。その他、ピザではピザハットの他にパパジョーンズ、UNOが出店していま
す。ファストフードの覇者は地元企業であるロッテリアでマクドナルドは歯が
立ちません。しかし、最近合弁相手から株式を買い取り、米国マクドナルド
100%出資の企業として本格的に展開をしようとしているようですから、これか
らどうなるか注目されています。

その他日本と異なるのは、アウトバックステーキハウス、TGIフライデーズ、
ベニガンが大型の駐車場の店舗を展開しています。韓国ではそれらの米国カジ
ュアルレストランがファミリーレストランとして顧客の支持を集めているよう
です。

ランチにアウトバックステーキハウスに入りましたが、女性のグループ客が多
く、結構ボリュームのある料理を食べているのが印象的でした。

さて、米国系外食チェーンが元気な韓国ですが、その状況はファストフードと
ファミリーレストランで異なるようです。2005年の7月時点での現地の専門家
意見は、ファミリーレストランの分野は好調でアウトバック・ステーキハウス
は今年上半期の総売上げが634億ウォン(33店舗)で昨年同期比13%増。新規
に出店した19店を合わせれば、売上げ伸び率は60%です。アウトバック・ステ
ーキハウスは下半期に6店舗を増やして年末までに70店にする計画。今年下半
期の売上げ目標は、昨年同期比より38%増の1300億ウォンとなります。

ベニガンも、今年上半期の売上げが462億ウォン(20店舗)で昨年同期より13
%増えました。8月にソウル・クァンファムン(光化門)店を皮切りに首都圏
とテジョン(大田)など中部地方で8店舗をオープンさせ、今年末までに店舗
数を30に増やして1000億ウォンを売上げる計画です。

反面、ファストフード各社はウェル・ビーイング(健康志向)の影響を受け
不振です。ロッテリアは2003年7月900店だった店舗数が現在は810に急減。
88年に韓国に進出したマクドナルドは2002年10月の350店から、現在は328店に
減り、今年の新規出店計画はありません。韓国のマクドナルドは合弁会社2社
で地区を分け運営していますが、そのうちのソウル地域を統括するシンメク社
は、昨年度売上げが1300億ウォンで前年対比7%減です。バーガーキングは、
2002年2月117店が現在90店に減りました。KFCは、2003年初215店が現在178店
に減り、今年末には173店になる予定です。KFCに続く米国系フライドチキンチ
ェーンのポパイも同様で2003年210店が現在162店に減っています。

と言うことで、ファストフードが現地の健康志向の波に影響を受けていますが
、その反面ファミリーレストラン(米国のカジュアルレストラン)は元気一杯
ですね。
これから注目される韓国外食チェーンの情報です。

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